2019
08.15

黒川文雄のEyes Wide Open VOL.43「第3回全国エンタメまつり VRの基本は人間の感覚を騙すことなり」

EyesWideOpen

「第3回全国エンタメまつり」とは何か・・・?

8月3日、4日の二日間、岐阜県岐阜市の柳ケ瀬商店街を中心に開催されたゲーム・エンタテインメント系イベント「第3回全国エンタメまつり」に参加しました。

「第3回全国エンタメまつり」(以下:ぜんため)は岐阜市柳ケ瀬商店街
を中心にした町おこしイベントで、岐阜新聞と「魔界戦記ディスガイア」シリースなどのソフト開発で知られる日本一ソフトウェア、岐阜市でイベントやプロモーション活動を手掛けるヒラタ産業がタッグを組んで実現したもので、「ぜんため」の主旨はエンタメ系クリエイターを中心にゲストを招聘し、ゲームの体験試遊や、カードゲームの講習会などを通じて、一般のファンとの交流を行い、地域の店舗とのコラボ展開、たとえば喫茶店やレストランなどであれば、ぜんため開催期間中の特別ドリンクやメニューを展開するという町おこしや地元の方との交流をゲームやエンタメを通してとして行うものです。

「第3回全国エンタメまつり」で体験したすごいVR

 ぜんためは全部で6つのゾーニングで構成されています。一般的なゲームパブリッシャーと同じくらいの規模で展開しているインディー系コンテンツも多数展示されていますが、その中でメイン会場からすこし離れたところにあるのが、VR系コンテンツの体験が楽しめるのが「インディー通り2丁目」です。

その「2丁目」会場で目を惹いたVRコンテンツは株式会社ハシラスの代表取締役であり、魔術師の安藤晃弘氏が手掛けた新作「Dino Kickway (ディノ キックウェイ)」でした。

インディー通り2丁目で来場者対応する安藤氏

この「キックウェイ」はハシラスがVR用独自に開発したにパーソナルモビリティ型(セグウェイのようなスタイルで乗降するもの)VRライドデバイス。そのサイズ感は横70㎝、縦77㎝、高さ17cmと非常にコンパクトです。

そのコンパクトはサイズの筐体に前後加速度および左右旋回加速度、そして走行時の振動を生成する機構を搭載。ジェットコースターの重力感や加速感、遠心力などを再現している。また、VR内の動きと現実世界での動きを一致させることにより、VRジェットコースターによるVR酔いを劇的に低減してものだという。前面にはサキュレーターを配置し、キックウェイのVRに風圧と言う体感を付加しています。

ポイントはオペレーションの簡易さと省スペースのVRモーションライド

 安藤氏曰く・・・

「キックウェイはハシラスが独自に開発したもので、乗降のしやすさ、安全性に優れた超小型のライドデバイスです。デバイス自体のサイズを最小化することで、高いスペース効率を実現しています。体験に際してのサポートも少なく済みます。キックウェイの動作は、前後加速度および左右旋回加速度という2軸でリアルな体感を演出し、同時にこの2軸をコントロールすることで、VRでのライドの発進時・停止時に発生しやすい酔いを低減します。旋回加速度は同様に、旋回し始め、し終わりに発生しやすい酔いを低減します。また、底面に備え付けられた振動ユニットにより、地面のデコボコ感や継続的な走行感や浮遊感を体感できます。」

実際に筆者も体験したが、従来型の大掛かりなVRアトラクション系も素晴らしいのだが、このキックウェイに関しては、このセグウェイタイプの乗りアジを十分に活かしたもので、軽い浮遊感がVRの映像体験にさらにリアリティを加えています。

さらに若干の味付けとして足元に配置されたサーキュレーター(送風機)を効果的に用いて疾走感の演出をプラスしています。

テキストにすると陳腐極まりないのですが・・・

「いま自分はセグウェイタイプの自走マシンを操って恐竜のいるパークを必死に疾走している」

・・・という鮮やかな騙され感を味わうことができます。

VRコンテンツも良く出来たもので、S・スピルバーグ監督の「ジュラシックパーク」を彷彿とさせる世界観は素晴らしい演出がなされており、大人のみならず子供(身長制限あり)でも楽しめる内容になっています。

見事に騙された・・・そんな感じです。

ディノキックウェイ体験中の筆者

VRデバイス「キックウェイ」はVR空間をライドデバイスで縦横無尽に動き回るタイプのコンテンツと相性が良く、観光地を散策するVRコンテンツや、不動産内見向けのVRなどへの転用も視野に入れて展開を行うという、インディーの枠を既に超えたハシラスであるが、開発マインドはインディーそのもの、今後の展開に期待します。

筆者: 黒川文雄(くろかわふみお)

1960年、東京都生まれ。音楽ビジネス、ギャガにて映画・映像ビジネス、セガ、デジキューブ、コナミDE、にてゲームソフトビジネス、デックスエンタテインメント、NHN Japanにてオンラインゲームコンテンツ、そしてブシロードにてカードゲームビジネスなどエンタテインメントビジネスとコンテンツの表と裏を知りつくすメディアコンテンツ研究家。ジャーナリスト、コラム執筆家、アドバイザー・顧問。
『ANA747 FOREVER』『ATARI GAME OVER』(映像作品)『アルテイル』『円環のパンデミカ』他コンテンツプロデュース作多数。
黒川メディアコンテンツ研究所・所長。コンテンツとエンタテインメントを研究する黒川塾を主宰。現在、注目するカテゴリーはVR、AR、MR、AIなど多岐に渡る。