2019
09.30

【World MR News】VRでアニメをストレスフリーで作れる新プロダクト『AniCastMaker』が発表!「Unite Tokyo 2019」レポートその②

EyesWideOpen

9月25日(水)と26日(木)の2日間、東京・グランドニッコー東京 台場で開催された、国内最大のUnityカンファレンスイベント「Unite Tokyo 2019」。こちらでは、その2日目に開催されたセッション「VRアニメ制作ツールAniCast!!」の模様をレポートする。

■GOROman氏がロボット姿で登壇!?

昨年のUniteでも講演されたVRアニメ制作ツールの『AniCast』。そのさらなる進化システムについて、今回は解説が行われた。ちょうどこの日はカリフォルニア州サンノゼで、Facebookの独自イベント「Oculus Connect 6」が行われている最中ということで、“GOROman”ことエクシヴィ 代表取締役社長の近藤義仁氏は、なんとロボットの姿での登壇となった。

GOROman氏からは、新プロジェクトの詳細発表の前に、企業理念についての紹介が行われた。

▲ロボット姿で登場のGOROman氏。

エクシヴィの企業理念は、「ストレスフリー」だ。これは、ストレスがあると作るコンテンツにもそれが出てしまうからだとGOROman氏はいう。同社のミッションはVRを普及させることである。それは、VRが次のコンピューティングになると確信しているからだ。

今普通に使っているパソコンも、昔は8ビットでできることも少なかった。しかし、これが道具になり、字が下手でも読んでもらえる文章を作ることができるワードプロセッサや、フォトショップやイラストレーターといったグラフィックツールを使って、簡単に作品が作れるようになった。

出版もコンピューター上である程度完結するDTPが普及し、作曲も楽器が出来なくてもDAWやDTMを使えば曲が作れるようになった。歌が苦手な人は、ボーカロイドという手段もある。

VRを普及させるには、こうしたパソコンが広がったように便利になることが大事である。そこで同社が開発しているのが、『AniCast』だ。昨年発表されたものだが、多くのVTuberに使われている。

こちらが『AniCast』を使用しているクリエイターたちだ。

▲発表中、ロボのフタが取れて壊れるというハプニングも!?

VRでアニメをストレスなく作るために開発されたのが、今回発表された新プロダクトの『AniCastMaker』だ。こちらのコンセプトは、「ファンアートだけではなくファンアニメへ」である。パソコンの普及でイラストレーターの数は増えた。そこで、次はアニメファンが作れる世界を目指すとGOROman氏は語る。

https://www.youtube.com/watch?v=prg4NU41bxQ&feature=youtu.be

■AniCast流アニメの作り方

続いて、エクシヴィ ビジュアルディレクターの室橋雅人氏より、『AniCastMaker』のデモが披露された。このツールでは、「ロールチェンジ」が重要なキーワードとなっている。舞台設営や演者、カメラマン、撮影処理とロール(役割)を切り替えていきながら、アニメを作成していくというコンセプトだ。

はじめに、三人称視点で舞台設営を開始。ここでキャラクターやカメラマンの位置、背景となる舞台などを配置していく。このときに扇風機を設置して、キャラクターに風が当たっているよう動きを加えるといったこともできる。

続いて、画面内に表示されている「ACTOR」と書かれたボタンを押することで、キャラクターから見た視点に切り替わり、演技の収録が行える。カメラから見た映像を確認しながら、「REC」ボタンを押して録画を開始する。ひと通りアニメーションを撮ったら、再び「REC」ボタンを押して録画を停止する。

次にカメラマンの視点に切り替える。このときにプレイをすると、先ほど録画された演技が表示される。そちらを見ながら、カメラマンになってズームや移動などをしながら、「REC」ボタンを押して撮影を行っていくのだ。

最後に撮影処理を行う。アニメは、最終的に2Dで見るものであるため、モニターを見ながら調整をしていく。こちらでは、エフェクト機能を使って色味などを変更することが可能だ。今回のデモでは、夕方っぽい雰囲気に変更する方法が紹介されていた。

『AniCastMaker』には、「Diffusion Filer」というものが用意されており、拡散した光を作ることができる。こちらを入れると、柔らかい光を入れることができる。使い処としては、夕日や、お風呂のもわっとした雰囲気を出したいときに有効だ。また、光源から入ってくる光もFlareで設定することができる。

▲右が「Diffusion Filer」を有効にしたときのもの。違いがはっきりとわかる。

『AniCastMaker』のユニークな点は、アニメーションを作った後でもメガネなどの小物を追加することが出来るところだ。ちなみにメガネから出ている棒は、自分で位置の調整ができるようにするためのものである。

こうして作られたアニメーションは、最終的に通常の編集ソフトを使って編集することができる。

『AniCastMaker』のロールチェンジは、必ずしも順番に行う必要は無い。それぞれを行ったり来たりしながら、好きなところから作り始めることができるのも特徴のひとつといえる。

■「ランタイムアニメーション」記録

エクシヴィ リードオーディオプログラマの吉高弘俊氏から、「ランタイム」のアニメーション記録について説明が行われた。

アニメーション記録は、体の動きを記録してそれを何度でも再生するという機能だ。これはキャラクターの動きだけではなく、カメラの動きなども関係してくる。『AniCastMaker』では、これをエディターではなくランタイムでおこなっている。

「Unity Recorder」というアセットでは、アニメーション記録機能自体はあるもののエディターでしか動かすことができなかった。同社では『AniCastMaker』をEXE形式でかつユーザー側で実行したかったため、それを実現するためにランタイムを開発している。

ランタイムで動かすのは簡単で「AnimationClip.legacy」をtrueにするだけでOKだ。といってもわかりにくいため、サンプルプロジェクト「AnimationRecorderSnippet」が公開されている。

こちらはシンプルなプロジェクトになっており、マウスでボールを動かすとそれを記録できるというものだ。『AniCastMaker』自体のすべての機能が入っているわけではないため、これを参考に同時に組み上げていくものとなっている。

GitHub – XVI/AnimationRecorderSnippet: Unity sample project for runtime animation recording. Unityで実行時にアニメーションを記録するためのサンプルプロジェクト

https://github.com/XVI/AnimationRecorderSnippet

「AnimationRecorderSnippet」やアニメーション記録を使ってできるものの例として、「部分的な取り直しをしたい」という要望を実現している。これは、「指だけ」や「表情だけ」といった感じで、部分的に変更してそれ以外は変更しないというものだ。

普通に撮った体のアニメーションを再生し続ける。「LateUpdate」という関数を使い、一部分だけ入力が有効になるようにする。「LateUpdate」を使う理由は、体のアニメーションの再生が、アップデートのタイミングで行われるためである。「LateUpdate」はアニメーションの後に実行されるため、結果を上書きすることができるのだ。これにより、指や表情だけを別の動きに変えることができる。

最後に、上書きされた手や顔の表情をアニメーション記録するだけだ。注意点として、実行順を最後にしておく必要がある。 

■VRカメラ課題と対策

次に、VR内でカメラ撮影を行うときの課題と対策という話題でエクシヴィ Unityエキスパートエンジニアの狩野成太氏より説明が行われた。

同社では直感的な動作を重視している。3次元空間で撮影をするのではなく、VR空間でカメラを持って撮影をすることで、直感的に操作が行えるようになるのだ。しかし、実際に撮影を行ってみると、手ブレや両手持ち、水平維持など様々な課題が出てきた。これらは、はじめて撮影をした人がやってしまいがちな、細かいストレスだ。それらに対していろいろな工夫で解消している。

まずは「手ブレ問題」だ。アシストをしていない状態だと、コントローラーの細かな動きが反映されてストレスが溜まってしまう。本物のカメラは大きいが、VRでは小さくて軽いコントローラーを使用するため、固定するのも難しい。

そこで、システム側で手ブレ補正を追加している。ローパスという形で細かい動きは反映させないようにしている。しかし、大きく振ってクイックに動かしたいときもあるため、そのあたりは柔軟に対応できるようにしている。

続いて「両手持ち問題」だ。カメラを握りたくても、片手でしか握れない。スマートフォンのような撮影はできるが、がっちりカメラを構えて動かしたいということをやりたくても、実装するのは大変である。

縦方向に寄ったときに、カメラを中心に回転してくれない。こうしたことがストレスになりがちであったため、頑張って両手持ちに対応している。これによって、カメラを捻るような早い動作も思い通りにできるようになった。

3つ目は「水平維持問題」である。カメラを意識して水平を維持して撮影するのは、意外と難しい。斜めに撮影された映像は、不安な気持ちになってします。こうした課題を解決するために、システム的に水平を維持するようにしている。また、VR空間にグリッド表示も追加。意識することなく、撮影ができるようになった。

3つ目は「水平維持問題」である。カメラを意識して水平を維持して撮影するのは、意外と難しい。斜めに撮影された映像は、不安な気持ちになってします。こうした課題を解決するために、システム的に水平を維持するようにしている。また、VR空間にグリッド表示も追加。意識することなく、撮影ができるようになった。

続いてアニメ的な撮影表現に関しての紹介が行われた。背景がスクロールするようなアニメーションの場合、通常の撮影では、すべてのコマが落ち映像がガタガタしている印象が出てしまう。そこで、背景とキャラクターのコマ数を変えるという仕組みを導入している。

キャラクターのコマ数はそのままに、背景のコマが落ちないようにすることで、アニメーション自体も滑らかに見えるのだ。

セッションの最後に、アップルの発表会のように「One More Thing」として『東京クロノス』のPVが公開された。

このPVを作った『東京クロノス』監督の柏倉晴樹氏からは、「AniCastを使用して、東国ユリアというキャラクターにスポットをあてた映像を作らせていただきました。『東京クロノス』のゲームで使用しているキャラクターで、AniCastに入れる作業を関係各所で7日程度で行っていただいた後に、わたくしひとりで12カットほどの映像を2日間で作ることができました。驚いたのは、演技とカメラと背景、カラーの工程にいつでも自由に行き来できるということです。映像のワークフローに可能性を感じました」とメッセージビデオが流された。

▲『東京クロノス』柏倉晴樹監督からのビデオメッセージも流された。

これにてセッションはすべて終了。一刻も早く触ってみたいツールの発表となったが、今後の続報にも注目しよう!

PhotoWords 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑誌の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。