2018
09.17

黒川文雄のEyes Wide Open VOL.21「冒険川下りVR ラピッドリバー」経験則に基づく3D酔い対策の結晶

EyesWideOpen

開催前日の御案内でしたが・・・

おかげさまで各ゲームパブリッシャー様からプレスリリースの御案内や体験会のお誘いなどをいただく機会が多いのですが、今回、バンダイナムコアミューズメントさんから、御案内をいただいたのは開催前日でした・・・。

「さあ、取り乱せ!」感にあふれる御案内でしたが、その文面からは「ご案内から開催まで時間がなくてスミマセン、でも体験してみてください!絶対に損はしません…」そんなニュアンスを感じました。その御案内ですが、ひとつは9月13日に開業するVR ZONE OSAKAのお知らせ、もうひとつが、このコラムで御紹介するVR新アクティビティ「冒険川下りVR ラピッドリバー」です。

あの作品のリメイクです

「冒険川下りVR ラピッドリバー」と聞いて、「むむっ」と思う方はかなりのアーケードゲーム通(痛かも)でしょうね。

実はこのVR新アクティビティ「冒険川下りVR ラピッドリバー」は、1997年、旧ナムコからリリースされた業務用のゲームをベースに開発されています。

ちなみに、当時はGORgON(ゴーゴン)という業務用の開発基盤を用いて開発されたもので、ちょうどSYSTEM22とSYSTEM23途中に生まれた基盤です。時代のすきまに生まれて消えた基盤ですね。

旧アミューズメントマシンの写真でもおわかりのように、タイトルはそのまんまの「ラピッドリバー」、謳い文句は「遊園地にいかなくても大丈夫!街中のゲームセンターで絶叫マシンが体験できる」「デートにおすすめ!ゴムボートをイメージしたラブラブソファーに乗って、二人だけの冒険の旅へ出発!」というものです。

いい味の出ているコピーです。おそらく当時の開発担当者も、本当に川下りを再現したかったのでしょうね。そんなクリエイターならではの悲願というか、熱い想いが伝だってくるようなコピーです。

さて、では肝心のVRアクティビティを御紹介しましょう。元ネタのアーケードゲーム「ラピッドリバー」(急流)をそのままVR化したわかりやすいアクティビティです。

上流から激流をミスを少なく下り、時間内にゴールの遺跡を目指すというものです。

旧ナムコ ラピッドリバー アミューズメントマシン

コースは「東名高速」と「新東名高速」

激流(ラピッドリバー)コースは途中で「東名高速」と「新東名高速」みたいに二手に分かれるのですが、これはタイミングとオール型の特製VRコントローラでの微妙な舵とりが必要で、リピート要素も十分に考えてあります。

個人的には洞窟がある謎のコースの方に行ってみかったんですが、やはり初回からはプレイヤーたちオールの動きや舵取りが揃わないと難しいようです。・・・残念!

特製VRオール

ゴムボートは4人一組、最低2人からで、3人でも体験は可能ですが、やはり全体のVRバランスや連携してプレイするためには4人がベストとのことでした。

いやー「冒険川下りVR ラピッドリバー」、凄くよく出来ているんです!

「これ本物の水じゃねーの」という素晴らしい演出

とにかく凄いなと思うのは、激流を下るゴムボートの動き、そしてそれを操る乗員たちのオール捌きが見事にシンクロしているんです。さらには、演出面で言えば、ゴーグルにかかる水しぶきが「これ本物の水じゃねーの」と思うくらいに、雫(しずく)のタレ具合がVR感満載なんですよ。

もう完全に映画「インディ■―ンズ」の世界に没入できます。

You wanna. 酔わないアクティビティ

さきほどちょっと触れたように「冒険川下りVR ラピッドリバー」での特筆すべき点は、特製筐体とVRヘッドマウントディスプレイ(以下:HMD)の動きが完全にシンクロしているところです。乗車ポジションは2人ずつで、背中合わせなのですが、実際にアクティビティが始まると全員が前向きになっているというのはちょっと異次元体験でした。

このゴムボート筐体は上下のみならず、左右90度に横回転しており、あたかも激流を下っているかのような横Gも演出しています。乗船前に懸念した「酔い」は個人的には全く感じませんでした。かなりのそのあたりは対策を考えて筐体とHMDとの動きを綿密に詰めたようです。

(※説明動画もありますのでご参照ください)

やはり、このように文章で説明するよりも体験してもらうしか無いと思います。

すでに、「冒険川下りVR ラピッドリバー」は9月13日からVR ZONE SHINJUKUとVR ZONE OSAKA(新規開業)にて展開中です。

今回の新作「冒険川下りVR ラピッドリバー」は、VR ZONE SHINJUKUのときに発表、導入された「プロップサイクル」(1996年導入)を基にVR的アレンジを加えてリメイクしたVRアクティビティ「極限度胸試しハネチャリ」と同じテイストを感じます。

バンダイナムコアミューズメントの過去コンテンツの良質なリサイクル思想を感じました。

開発を主導したメンバーお馴染みのコヤ所長こと小山さん、田宮さん、齊田さん

黒川文雄的視点の希望

願わくば改善点ですが、ゴムボートと特製VRオールの相関性で、今のコンテンツの状態だとオールがゴムボートにのめり込んでしまうシーンが必ずあります。このあたりも、ゴムボートとの接触(コリジョン感覚)を演出して、プレイヤーのオールを激流の川面に浸けるようにするのも一興です。

それと激流の途中に特殊ポイントがあって、そのポイントをVRオールでぐいっと押すとゴムボートの進路が変わるようなもの、うーん、うまく言えないけど、壁とオールを利用した方向転換ポイントが「隠しモード」であったら面白いと思います。

この満足げな笑顔を見ればわかるでしょ?そんな「冒険川下りVR ラピッドリバー」皆さんも体験してみてください!楽しいですよ!!

冒険川下りVR ラピッドリバー 体験動画

https://youtu.be/hmxS23HZaoM

冒険川下りVR ラピッドリバー 酔わない秘密公開

https://youtu.be/s5Z5pJpFQ7o

©BANDAI NAMCO Amusement Inc.

  • 関連リンク

・冒険川下りVR ラピッドリバー

https://vrzone-pic.com/shinjuku/activity/rapidriver.html

・VR ZONE SHINJUKU

https://vrzone-pic.com/shinjuku/

・VR ZONE OSAKA

https://vrzone-pic.com/osaka/

・バンダイナムコエンターテインメント 旧ラピッドリバー

https://product.bandainamco-am.co.jp/am/vg/rapidriver/

 

筆者: 黒川文雄(くろかわふみお)

1960年、東京都生まれ。音楽ビジネス、ギャガにて映画・映像ビジネス、セガ、デジキューブ、コナミDE、にてゲームソフトビジネス、デックスエンタテインメント、NHN Japanにてオンラインゲームコンテンツ、そしてブシロードにてカードゲームビジネスなどエンタテインメントビジネスとコンテンツの表と裏を知りつくすメディアコンテンツ研究家。ジャーナリスト、コラム執筆家、アドバイザー・顧問。
『ANA747 FOREVER』『ATARI GAME OVER』(映像作品)『アルテイル』『円環のパンデミカ』他コンテンツプロデュース作多数。
黒川メディアコンテンツ研究所・所長。コンテンツとエンタテインメントを研究する黒川塾を主宰。現在、注目するカテゴリーはVR、AR、MR、AIなど多岐に渡る。