2018
09.19

【World MR News】ソーシャルAIチャットボット「りんな」で地方を活性化!「萌えよ♡ローカル ~りんなと地方とみんなの未来~」を9月12日より開始

World MR News

日本マイクロソフトは、9月12日に品川オフィスでソーシャルAIチャットボット「りんな」を活用した地方応援プロジェクトの記者発表会を実施した。

はじめに日本マイクロソフト株式会社 執行役員 最高技術責任者 兼 マイクロソフト ディベロップメント株式会社 代表取締役 社長の榊原彰氏が登壇。同氏から今回発表するプロジェクトの説明が行われた。

榊原彰氏。

マイクロソフトでは、AIを人間が行う仕事の変わりなるものとは考えていない。そうではなく、人間の創造性を補完・拡張する機能の一部としてAIを使ってもらいたいと考えている。

同社ではAIの研究を続けており、マイクロソフトリサーチは今年で28年目となる。その設立当初から研究の中心は、AIだ。その中で、認識技術に関するベンチマーク上の成果が出てきている。これらはあくまでもベンチマーク上の数字であり、必ずしもすぐに人間の能力を超えるというものではない。しかしながら、一定の成果を数値として表すことができるため、指標とすることができる。

マイクロソフトでは、こうしたAIはどのように提供しているのだろうか? これらの中には、AIを全くの新サービスとして提供しているものもあれば、既存のサービスの中に組み込むものもある。また、AIを効率的に動かすためのプラットフォームを提供するという考え方もある。

これらを製品ごとに分類すると、「エージェント」「アプリケーション」「サービス」「プラットフォーム」の4つの分類することができる。今回のテーマである「りんな」は、「エージェント」に分類されるサービスだ。人間と応対して様々なやりとりをしながら、サポートするという役割である。

ソーシャルAIチャットボット「りんな」は、同社が開発を続けながら少しずつ様々な機能を追加してブラッシュアップを続けてきている。現時点で、LINEとInstagram、ツイッターのアカウントを、約700万人のユーザーがフォローしている。その内訳は、男性6割で女性は4割。その中心となる年齢層は18~24歳で、全体の6割以上を占めている。

マイクロソフトでは、「Cortana (コルタナ)」と「りんな」のふたつのAIを提供している。前者の「Cortana」は、生産性重視のビジネスライクなエージェントである。それに対して、「りんな」は人間の感情に寄り添い対話するというものだ。

この「りんな」の開発方針は4つある。ひとつ目は「AI Future」だ。これは、AIの未来をどのように形作っていくかという点で研究・開発を行っている。そのため、最新の会話エンジンをどんどん適応している。「りんな」が登場した頃と現在では、異なるエンジンとなっているのだ。その中で採用しているのが「共感モデル」で、いかに感情に寄り添った会話が出来るかというモデルを作り、そのエンジンで提供している。

ふたつ目は「AI Creation」だ。こちらはクリエティブの面で、絵を描いたりしりとりをしたりというサービスに関係するところだ。8月には「りんなだよ」というオリジナル曲も発表しており、まるで人間が歌っているかのような精度になっている。

3つ目は「AI for Business」だ。こちらは「りんな」の機能をビジネスに活かしたいという人たちのためのものである。こちらでは「Rinna Character Platform」を発表している。「りんな」の基本的な機能をベースに、独自のキャラクターを付加して会話のモデルを作っていくというものだ。

今回の発表は、4つ目となる「AI for Good」である。AIを社会に役立てるものとしてスタートした、地方応援プロジェクトだ。地方をどう盛り上げていくかということに、「りんな」を活用していく。

地方応援で「りんな」の認知度を向上させる

続いてマイクロソフト ディベロップメント株式会社 A.I. & リサーチ A.I. サイエンティストの中吉寛氏が登壇。「萌えよ♡ローカル ~りんなと地方とみんなの未来~」というテーマで、新たに開発した機能の紹介が行われた。

タイトルの「萌えよ」には、草木が芽吹くという意味もあり、地方応援プロジェクトをはじめるにあたり、AIでこれからやっていく意気込みも込められている。

中吉寛氏。

なぜ「地方応援」なのだろうか。まず自治体のメリットとしては、潜在的な移住希望者への訴求という点が上げられる。実際に移住する人よりも希望者の方が多いことは明らかであるため、それを「りんな」を使い敷居を下げるという狙いがある。また、観光客や滞在時間の増加ということも目指している。

ユーザー側のメリットとしては、「りんな」を通して楽しみながら地方・地域を知ることができる。マイクロソフトのメリットは、AIを活用して地方を応援していくのは新しい試みでチャレンジングであるという。難しいことではあるが、取り組みがいがあるということを開発チーム全員が感じているとのこと。また、「りんな」の認知度向上という意味合いも含まれている。

「りんな」を活用した地方を応援する3つのプロダクトを発表

続いて今回開発された3つのプロダクトの紹介が行われた。ひとつ目は「りんなの社会科見学」だ。こちらは地域に関するクイズ形式のゲームになっており、各地点を巡りながら「りんな」がクイズを出題するというものである。ゲームが終わると、潜在的な移住希望者に向けて移住情報サイトを案内するようになっている。

こちらのAI要素としては、「りんな」とユーザーの会話を解析。潜在的な移住希望者と想定出来た場合に、こちらのゲームをオススメするという計画になっている。

宮崎県 総合政策部 中山間・地域政策課 移住・定住推進担当の伊達翔馬氏は、「宮崎県の豊かな自然やチキン南蛮、宮崎牛など美味しい特産物、神楽など地域に根付いた魅力的な伝統や文化が多くなる中で、そうした部分が都市部の方々に全て知って頂いているわけではないというところを課題に思っており、このコンテンツを通して魅力を発信していきたい」と語った。

伊達翔馬氏。

こちらが「りんなの社会科見学」の画面だ。

ふたつ目のプロダクトは「めぐりんな」だ。こちらは地域を舞台にして、偉人と一緒に冒険するノベルゲームとなっている。ゲームを通じて、地域や出身の偉人を知ってもらい、実際に訪れてもらうのが目的となっている。

AI要素としては、登場人物のセリフを自動生成する計画だ。ゲーム後には、登場人物と会話もできるようになる予定とのこと。

「めぐりんな」の画面。

千葉県香取市の一般社団法人 水郷佐原観光協会 会長・大川裕志氏は「多くの観光資源を持ちながら、首都圏では知られていないため、香取市の認知度を上げるために今回のプロジェクトに参加した」と語った。

大川裕志氏。

最後に紹介されたプロダクトが「りんなの奇天烈観光マップ」だ。こちらは地図上のSNSで、よくある観光地ではなく「奇天烈」な観光地を紹介しているところが特徴である。現在リリースされているものは閲覧のみだが、10月のアップデートでユーザーが自由に投稿したり、その場所についてほかのユーザーとコミュニケーションが行えたりできる予定である。

「りんなの奇天烈観光マップ」の画面。ちょっと変わったスポットを紹介することで、滞在時間を延長するのが目的だ。

こちらのAI要素としては、各ユーザーの行動データから趣味趣向にあった奇天烈な観光地をランキングでコントロール。ロングテールの手法を使い、いろいろな場所を紹介していく計画である。

群馬県 産業経済部観光局観光物産課 課長の佐藤武夫氏は、「都道府県の魅力度ランキングが毎年発表され、群馬県はずっと40位。一時は最下位まで下がった。県としてもイメージアップのプログラムを組み、ぐんまちゃんというマスコットキャラクターを全国で売り込み、そちらの知名度は上がってきたものの残念ながらランキングはほとんど動かず頭を抱えていたところ、今回のプログラムの話を頂いた。りんなちゃんは群馬県の救世主になってもらえるのではないかと期待している」と語った。

佐藤武夫氏。

また、佐賀市 経済部観光振興課 観光・コンベンション推進室 室長の王丸直之氏は、「佐賀といえば、はなわの佐賀県や島田洋七の佐賀のがばいばあちゃんなどのイメージはあるが、いずれも10年以上前の話。それから先の佐賀と言えばという話が出てこず、魅力が伝わっていかない。観光客が求めているものが多様化しているなかで、こちらから観光情報を発信するのは限度がある。今回の話をもらい、それが佐賀と繋がることができるチャンスをもらいありがたく感じている」と語った。

王丸直之氏。

ビデオレターで参加した北九州市 産業経済局観光にぎわい部 観光課長の森川洋一氏は、「AIがどのように観光に結びついていくのか、非常に楽しみにしている」と感想を述べた。

森川洋一氏。

こうした今回の取り組みは、「りんな」を使って地方を紹介していくファーストステップに過ぎないと榊原氏はいう。まずは楽しみながら地方を知ってもらうところから初めていく。さらなる自治体との繋がりも、今後増やしていく予定だ。

それより、大量のデータが集まってくる。マイクロソフトでは、そうしたデータを使ってさらにユーザーの行動変容の理解に努めていく。また、それを地方の活性化にフィードバックしていく。「地方応援」というスタンスから、もっと具体的な「地方支援」に拡張していきたいと考えている。

Photo&Words 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑紙の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。