2020
08.04

【World MR News】オンライン開催でありながら参加者と出展企業の距離感が近く感じられたxRイベント「VR EXPO 2020 夏」をレポート

World MR News

Moguraは、7月30日にVR/AR/MRのビジネス活用に関心を持つ企業や投資家を対象にしたオンラインイベント「VR EXPO 2020 夏」を開催した。

xR関連への関心が高まっている中、業界企業のつながりが弱いことから、企業同士を繋げるマッチングの場として2017年から開催されてきた「VR/AR/MRのビジネス EXPO」。これまで東京と大阪で年に1回ずつ5回開催されている。

しかし、新型コロナウィルスの影響から、イベントの性質上、不特定多数の人が触れるウェアラブル機器を使うのは難しくなってしまった。また、オフラインではどうしても人が密になってしまうということから、今回は招待者を含めて120名程度に参加者を絞りオンライン上で開催されることとなった。

▲エントランスから、各企業のブースに移動ができるようになっていた。エントランスを挟まずに、サイトから直接企業ブースに飛ぶこともできる。

オンラインイベントというと、これまでの期間様々な企業が実際に開催している。いくつか面白い試みも見られたが、どうしても出展側と参加者の間で距離ができてしまう感じがあった。しかし、それでは本来こうしたイベントが持つべき「イベントに参加している感覚」を体験することができない。そこでこの「VR EXPO 2020 夏」では、参加者の距離感を縮めるということも意識されたイベント作りが行われている。

実際に今回出展されていた各企業のブースに足を運んだのだが(オンライン上で)、すぐさま担当者がボイスチャットで話しかけてくれた。参加者側もボイスチャットで会話をすることができ、思った以上にリアルなイベントに近い感覚を味わうことができた。

▲公式サイトから企業ブースにアクセスすると、バーチャルブースに移動する前に担当者と名刺交換が行えるようになっていた。

▲参加者は、入出時にアバターが選択できる。比較的パンダ姿のアバターを見かけることが多かったが、この中では一番変わっていたため選ばれていたのかもしれない。

▲こちらは、ポケット・クエリーズのブース。担当者がボイスで話しかけてくれる。参加者側もボイスで話すことができるほか、チャットも利用できるようになっていた。

▲ブース内には、個別で詳しい話しが聞けるようにZoomへのリンクも用意されていた。こちらも準備されており、いつでも対応可能な状態になっていた。

ひととおり今回出展されていた8つの企業ブースを見て回ったのだが、最初はすべて同じスペース内で工夫を凝らしているのかと思っていたところ、想像以上に各企業の個性が出ていたところに驚いた。

たとえば日本HPのブースの場合は、どーんと大きなスペースを取り同社の製品やサービスのアピールが行われていた。実際のオフラインイベントでもこんな感じで展示が行われていそうで、オンライン上でもその特色があらわれていた感じだ。

▲日本HPのブース。リアルでもこうした規模で展示を行っていそうだ。

▲こちらはスペースリーのブース。社名から受けるイメージ通り、宇宙空間をバックに展示が見られるようになっていた。こうした演出はオンラインならではかもしれない。

個性的な展示が多い中、特に感心させられたのが積木製作のブースだ。こちらでは、球体に同社の『安全体感VRトレーニング』シリーズの映像が映し出されていた。360度映像が元になっていることからあらゆる角度から見られるようになっていたのだが、もっとも驚いたのはこの球体の中に入ったときだ。

VRで実際に360度映像を見ているのと同じ映像が見え、まさにその世界に入り込んだかのような体験をすることができた。通常のオフラインイベントではゴーグルを付けて体感してもらっているそうだが、こちらはそれがよりスムーズになっていたため、その分驚きも大きかったのかもしれない。

▲積木制作のブース。球体には、360度の映像が流れていた。

▲なんと、この球体の中に入るとそのまま360度の安全体感VRが体験できるようになっていた。

「xR技術によって加速するDX。リモート社会におこなえる『iVoRi360』の実績と役割」 by 小林靖司氏

この日はブース展示だけではなくいくつかのセッションもズームを使用して行われた。今回はその中から、ポケット・クエリーズの小林靖司氏によるセッション「xR技術によって加速するDX。リモート社会におこなえる『iVoRi360』の実績と役割」をピックアップしてご紹介する。

『iVoRi360』は、Oculus QuestとOculus Goを利用して現場VRを作ることができるサービスだ。360度カメラの『RICOH THETA』で現場を撮影し、それをサーバにアップしてコンテンツをユーザー自身が作ることができるのが特徴である。

作成したコンテンツは、VRのヘッドセットやiPadなどを使って最大10まで同時に利用することができる。もちろん、閲覧は遠隔地など別々の場所にいても問題ない。

▲こちらが『iVoRi360』の利用環境。『RICOH THETA V』は、ワンショットで360度撮影が可能だ。

実際の利用イメージはこんな感じだ。360度カメラの『RICOH THETA V』で撮影した映像を、アマゾンのAWSの中に保存をする。こちらには、編集用のアプリも入れられており、そちらを使って空間内にテキストや写真などを貼り付けていくことができる。

完成したコンテンツはサーバの中に保存しておき、そちらを遠隔地から各種のデバイスを使って見ることができるという感じだ。

『iVoRi360』はおもにトレーニングに活用されることを想定しているが、そこから派生する形で遠隔現場支援にも利用することが可能だ。こちらは、現場の中に『RICOH THETA V』を設置し、5秒に1度撮影された映像を自動でサーバ側に転送する。そちらを遠隔支援者が確認しながら指示を出すというイメージである。

また、現場作業員のPC映像なども合わせて見ながら作業に反映させることもできる。

この『iVoRi360』を使ったトレーニングはすでにいくつか導入事例があるほか、遠隔現場支援についても現在交渉が進んでいる。日比谷総合設備では、現場を撮影して新人の現場研修などのトレーニングに使用している。同様に、サン・シールドでも新人研修用に現場の状況がわかるようなトレーニングに利用されている。

これらに加えて、新たに開発したのが『iVoRiXR』だ。こちらは名前が似ているが、VRとは少し異なるものとなっており、FBXやPLYといわれる配置情報を、デバイス間で情報共有することができるアプリである。

ユースケースとしては、現場でのレイアウト確認や完成データ、接触確認、申し送りやマニュアル表示などが行える。LIDARの一番新しい機能が入っていることから、iPadでの利用が推奨されている。

▲3DCGで作ったデータを、現場の空間にダイレクトにレイアウトすることができる。これにより、レイアウト確認や干渉部分などをチェックすることができる。また、付箋を置いておくことも可能だ。

12月8日~10日には、日本最大のVR/AR/MRカンファレンス「XR Kaigi 2020」がオンラインで開催

イベントを主催したMoguraでは、今回はあくまでも実験的位置づけのイベントとして行われ、こちらの経験を元に今後開催される予定のイベントにも活かされていく予定だ。また、今年の12月8日~10日には、日本最大のVR/AR/MRカンファレンス「XR Kaigi 2020」がオンラインで開催されることが同社から発表された。

昨年12月に第1回が東京・秋葉原で開催され、約700名もの参加者がイベントに訪れている。2回目となる今回は、1日目に基調講演が行われ、3日間で50以上のセッションと15社以上の展示が予定されている。

さらなる講演の詳細やチケットの販売開始時期は2020年9月下旬の予定だ。

  • 「XR Kaigi 2020」イベント概要

日時:2020年12月8日(火)、9日(水)、10日(木)

場所:オンライン

入場料:7,000円(早割5,000円)

チケット発売:2020年9月下旬

主催:株式会社Mogura

公式サイト:https://xrkaigi.com/

PhotoWords 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑誌の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。