2019
10.04

【World MR News】話題のVRカメラの選び方から楽しみ方まで紹介!【VR未来塾】

World MR News

VR未来塾は、8月3日にここ最近注目を集めることが多くなってきたVRカメラをピックアップしたイベント「VRカメラの選び方・楽しみ方~コンシューマー製品編」を開催した。

当日は、映像作家、写真家、VRコンテンツ・クリエイターとして活動する染瀬直人氏と、デジタル・コンテンツ・デザイナー、パノラマ写真家、YouTuberで活動中の高松勝範氏が登壇。トーク形式でイベントが進められていった。

▲染瀬直人氏。

▲わっきこと高松勝範氏。

▲会場には、見たことがないぐらい大量のVRカメラが!?

ちなみに今回のイベントは、東京・汐留に先ごろオープンしたVR映像の実験場「先進映像TECH共創LAB(店舗名:EJEVAR)」で開催された。店内には半天球型スクリーンや、壁面に360度映像を映し出すようなスペースも設けられており、そこで飲食も楽しめるというユニークな施設となっている。今後、人の目に近い解像度を持つVarjoのVRヘッドマウントディスプレイなど、VR関連の機器も充実していき体験できるようになるそうだ。 

■リコー『THETA』から始まったVRカメラの紹介

コンシューマー用のVRカメラの歴史は、2013年にリコーから発売された初代の『THETA』からスタートしている。こちらはワンショットで360度の写真が撮影できる、世界初のVRカメラだ。その後世代を重ねて現在に至るが、この『THETA』の歴史が、そのままVRカメラの歴史になっているともいえる。

初代の『THETA』は写真しか撮影できなかったが、2014年11月に発売された『THETA m15』で動画撮影機能が追加されている。それに先駆けて、世界初のフルHD360度パノラマカメラ『360cam』がクラウドファンディングのキックスターターに登場している。しかし、こちらが届いた頃には『THETA m15』が発売済だったため、世界初ではなくなってしまっていた。

▲わっき氏が手に持っているのが、『360cam』だ。

2015年10月に『THETA S』が発売されている。動画機能はそのままだが、静止画の解像度が向上している。翌年の10月には今でも販売中の『THETA SC』が登場した。

2017年9月に発売された『THETA V』は、中身にAndroidが採用されている。4K動画が撮影可能になり、最新機種の『THETA Z1』では1型センサーふたつを搭載して、写真性能がずば抜けて向上している。ハードの進化に伴い、『THETA』の静止画解像度も向上してきた。画素数では、初代と『THETA Z1』とでは、4倍以上もの違いがある。

▲『THETA Z1』は、JPEGとRAWで解像度が異なる。

■もうひとつの人気VRカメラ『Insta360』シリーズ

リコー『THETA』とともに、もうひとつの柱として存在するのが『Insta360』シリーズだ。最初のモデルは2016年7月に登場した『Insta360 Nano』だ。こちらはiPhoneのLightningポートにそのまま差し込んで使うというタイプのVRカメラとなっている。

次にAndroid向けに『Insta360 Air』が、2017年3月にリリースされている。こちらはレンズだけで、カメラ部分はスマホの機能を利用するというものである。

2017年8月には『Insta360 ONE』が登場した。こちらは4KのVRカメラで強力な手ぶれ補正機能を備えている。これで一気に有名になり、ユーザー層が拡大している。それと同時に『Insta360 Nano』と『Insta360 Air』のファームウェアがバージョンアップされ、スマホに接続した状態でもかなり手ぶれ補正が効くようになった。

そして、『Insta360 Nano』の高画質バージョンである『Insta360 Nano S』が登場。こちらは現在も発売されており、同じくスマホに接続して使用し、比較的安価に入手することができる。

2018年10月には『Insta360 ONE X』が登場。こちらは、薄型になりさらに手ぶれ補正が強化され、高画質化されている。2019年3月に発売されたのが、『Insta360 EVO』だ。こちらは360/3D180のハイブリッドになっており、変形させて切り替えることができるというのが特徴となっている。動画性能や手ぶれ補正は『Insta360 ONE X』と同等の性能を持っているが、若干厚みがあるためわっき氏によると近接撮影は難しいそうだ。

■VR180と360度動画が撮影可能なハイブリッドカメラ

VR180と360度動画が撮影可能な、ハイブリッドモデルもいくつか登場してきた。VR180とは、左右のカメラで立体視の写真が撮れるカメラだ。VRゴーグルでも見ることはでき、180度分立体的な映像として楽しめる。

VR180専用のカメラとして登場したのが、Lenovoの『Mirage Camera』だ。その後、360度にも対応したハイブリッドのカメラが複数登場している。

▲『KANDAO QooCam』はレンズが3つ付いており、曲げるとVR180が撮影可能になる。

静止画解像度の比較では、『QooCam』はあまり解像度が高くない。続いて『THETA』シリーズで、『Vuze XR』と『Insta360 ONE X』、『Insta360 EVO』が6Kで撮影可能だ。中でも群を抜いて高解像度なのが『THETA Z1』だが、こちらはお値段もそれなりに高価なものになっている。

▲『THETA Z1』は高価だが、ゴーストやフレア、赤玉が出にくいというメリットもある。

動画の解像度では、『THETA S/SC』は2K、『THETA V/Z1』、『QooCam』は4K、『Insta360 ONE X/EVO』、『Vuze XR』は5.7Kまでの撮影が可能だ。動画の場合はフレームレートも重要な要素だが、『THETA V/Z1』は4K/29.97fps、『QooCam』は4K/60fpsと2K120fps、『Vuze XR』は5.7K/30fpsと4K/60fps、『Insta360 ONE X/EVO』は5.7K/30fpsと4L/50fps、3K/100fpsという性能になっている。

VRカメラは、基本性能以外にもそれぞれ特徴的な機能が備えられている。まずは『THETA Z1』だ。通常のVRカメラは、絞り値が固定のものが多い。しかしこのカメラは、一眼レフのように絞り値を変更することができる。例えば絞り値を変更してシャッタースピードを調整し、滝などの動きが感じられるように撮影することができる。

『THETA V/Z1』は、Androidベースということもありカメラ自体にプラグインが追加できるのが特徴だ。また、4ch空間音声記録をすることができるのも特徴のひとつである。通常のVRカメラは、360度撮影するため基本はモノラルでしか音を録音することができない。しかし、4つの方向の音が収録できるため、音も立体的に記録することができるのだ。

リフォーカスとFacebookの3D投稿に対応したのが、『QooCam』だ。こちらはdepth情報を取ることができ、後からフォーカスを変更することもできる。また『THETA Z1』と『QooCam』、『Insta360 ONE X』はRAW記録にも対応している。

■VRカメラの楽しみ方

VRカメラは通常のカメラと少し異なり、360度撮影する。そのため、撮影時にちょっとしたコツが必要だ。まずは、メインとなる被写体が何か把握しておくことが重要だ。次に、強い光源がどこにあるかというのも重要だ。これはふたつのレンズで撮影するため、片方だけに光りが当たるとつなぎ目が目立ってしまうからである。

カメラの高さも重要だ。通常のカメラと比較して、超広角な映像で撮影するため遠近感が強調される。そのため、高さが少し異なるだけでも見た目に大きな影響を与えることがあるのだ。同様に遠近感も意識しておきたいポイントである。

撮影時に使える自撮り棒にもいろいろな種類がある。手で持って撮影すると手が映り込んでしまうため、必須のアイテムといる。しかし、雲台が映り込まないなど種類によっても特徴があるので、じっくり検討してから購入するといいだろう。

せっかく撮影したVR動画は、どこかにアップロードして共有したいと思っている人も多いだろう。各カメラメーカーには専用の投稿サービスが用意されている場合がある。それ以外のサービスとしては、YouTubeやVimeoなどに動画を投稿することが可能だ。

また、中国のVeeRというVRに特化したサービスでは、360度の静止画と動画、VR180の静止画と動画のすべてに対応している。スマホアプリで投稿できるほか、そのままスマホVRとしても楽しむことが可能だ。

Facebookも360度のパノラマ写真と3Dフォトに対応している。また、LINEやFacebookメッセンジャーも360度の写真に対応しており、受け手はアプリがなくても見ることができる。

▲人と共有することでVRカメラの楽しみ方の幅も増えていきそうだ。

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PhotoWords 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑誌の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。