2019
10.11

【World MR News】注目のテクノロジーやサービスも発表! Facebook主催のVR/ARイベントの報告会「Oculus Connect 6 Meetup」レポートその①

World MR News

Facebook Developer Circleは、10月11日に東京・銀座のBINARYSTARで「Oculus Connect 6 Meetup」を開催した。こちらではその中から、本イベントを主催するFacebook Developer Circle日本代表の大森貴之氏と、ビジネスバンクグループVLEAP.事業部 共同代表/CTOの新保正悟氏によるセッションの模様をお届けする。

Facebook Developer Circleは、Facebookが世界的に実施しているオフィシャルのエンジニアコミュニティで、世界100都市以上で開催されている。普段はハッカソンやオープンなセミナーなどを開催している。

今回のイベントでは、シリコンバレーで行われた「Oculus Connect 6」の報告会をメインにライトニングトークが行われた。

▲大森貴之氏。

なかなか敷居が高そうなイベントの「Oculus Connect」だが、実は誰でも参加することができる。シリコンバレーでは5月と10月に大きなイベントが開催されることが多いのだが、こちらもそのなかのひとつである。

「Oculus Connect 6」の6は、6回目という意味から付けられたものだ。会場内に足を入れると、イベントで発表されたプロダクトが実際に体験出来るブースがいくつか設置されている。正式リリース前のものも体験できるため、ものによっては2時間待ちというのもあるそうだ。

イベント開催中の2日間は、キーノート以外にも様々なセッションが行われているため、ずっと忙しく会場を移動しているような状態になるという。

「Oculus Connect」の特徴のひとつとして、『Doom』や『Quake』のプログラマーとしても知られるOculus CTOのジョン・D・カーマック氏がふらりと会場に訪れ、開発者たちが直接その場でピッチをするというシーンが見られるということだ。

過去にはマーク・ザッカーバーグ氏が普通に会場内を歩いていたということもあり、参加者と登壇者の距離が近いのも、このイベントならではといったところである。

大森氏が今回発表されたものの中で注目しているのが、『Facebook Horizon』だ。VR版セカンドライフとも言われているサービスだが、これまでの同社のイメージとは少し異なるものとなっている。『Facebook Horizon』では、VR上にSNSを作り楽しむというサービスである。

サービス自体はまだまだ先で、現状はこうしたモノが今後出てくるという紹介にとどまっている。

「Oculus Connect 6」でもうひとつ衝撃的だったのが、『Oculus for Business』である。VR上でSNSをやることに加えてビジネスもやっていくということを、オフィシャルで発表されたことだ。

『Oculus for Business』のユニークなところは、エンタープライズ向けに貸し出して一括管理できるシステムを導入しようとしているところだと大森氏はいう。これにより、個人のビジネスでもダッシュボードを使って一括管理することが可能になるのだ。

『Oculus Quest』のアップデートとFacebook Reality Labsの研究結果

新保正悟氏からは、『Oculus Quest』のソフトウェアアップデートとFacebook Reality Labsの研究結果について紹介が行われた。

▲新保正悟氏。

VRと呼ばれるデバイスは、各社から様々なものが登場してきているが、それらを分類すると3種類に分けることができる。ひとつはスマホを接続する「スクリーンレス」タイプ。ふたつ目はコードレスの「スタンドアローン」タイプ。最後がPCに接続する「ケーブル」タイプだ。

中でも「Oculus Connect 6」で注力されていたのが、スタンドアローンタイプの『Oculus Quest』だ。そのためもあってか、ほとんどの発表が『Oculus Quest』で占められていたという。

『Oculus Quest』のアップデートに関する情報の中でも、特に注目なのが「Oculus Link」とハンドトラッキングに関するものである。

まずは「Oculus Link」から。こちらは、PC接続タイプでしか体験できなかったコンテンツが、スタンドアローンタイプでも体験できるようにするというものだ。これは長い間待望されていた機能で、今年の11月より一般に向けてテストが公開される予定である。

一見すると、『Oculus Quest』でも『Oculus Rift S』と同等の体験ができるというイメージがするが、そういうわけではない。しかし、違和感はないという。将来的にはWi-Fiを使ったものも実現したいと考えているものの、まだ位置と半戸コントローラーなどとの間のレーテンシーがあるため、実装は先になるそうだ。

「ハンドトラッキング」は、『Oculus Quest』をコントローラー不要で活用できる技術である。デバイスのアップデートではなくソフトウェアアップデートで実装されるもので、『Oculus Quest』のカメラを使って手を認識して操作が行える。

この「ハンドトラッキング」には、手の節々に点を置くことで、ディープラーニングを活用して実現しているものだ。Oculusは完璧なものになってから発表するというイメージがあるが、同社にしては珍しくまだまだ制度は荒いものの一定のコンテンツに関しては問題なく体験することができるという。

Facebook Reality Labsの研究結果から、『Half Dome』について紹介が行われた。こちらは2018年に発表されたもので、アイトラッキングを活用して可変焦点を可能にした次世代VRデバイスである。140度の広視野角を実現している。

その次世代機が『Half Dome 2』として発表されている。レンズ機構が小型化されており、200グラムの軽量化を実現。視野角については『Half Dome』よりも狭くなってしまったが、『Oculus Quest』との比較では、20パーセント広視野角になっている。また、可動部品を削減したことで、製品自体から発生するノイズが減り耐久性も向上している。

『Half Dome 2』に続いて発表されたのが、なんと『Half Dome 2』の次世代機である『Half Dome 3』だ。こちらは電圧に反応する特殊な液晶レンズを採用しており、可変機構なしで可変焦点を実現しているところが特徴である。

それにより、大幅な軽量化と小型化を実現しているほか、6つのレンズを組み合わせることで64段階の調整が可能になった。

『Half Dome』は、現時点ではまだ実験段階で発売時期や開発計画については明らかになっていない。また、現時点ではスタンドアローンタイプではない。6DoFではあるものの、外部センサーが必要かどうかといった点については不明だ。値段は未定だが、CTOによると『Oculus Quest』と同様に5万円が上限だと言われている。

もうひとつ注目の技術が、「Hyper-Realistic Virtual Avatar」だ。これは、VRゴーグルの中にカメラを入れることで、表情をVRで再現できるというものである。VRゴーグルを付けた状態では表情がわかりにくいという弱点があるが、それをカバーする技術だ。

あらかじめ作られた3Dアバターが利用されており、リアルに表情が再現できるようになっている。

▲それぞれの実装時期。「passthorough+」は、『Oculus Quest』では現実空間も見られるがカメラの位置で実際の目で見るモノとは異なっていた。それを補正するものだ。「Go互換モード」は、全コンテンツではないが『Oculus Quest』でも『Oculus Go』のコンテンツが利用できるというものである。

PhotoWords 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑誌の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。