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【World MR News】MRデバイス『Magic Leap』体験やAR砂場、全身スキャナーなどXR関連の出展をチェック!「Unite Tokyo 2019」レポートその①
毎年恒例となっている、国内最大のUnityカンファレンスイベント「Unite Tokyo 2019」が、9月25日(水)と26日(木)の2日間、東京・グランドニッコー東京 台場で開催された。今回も多数のセッションが行われていたが、本稿では会場内で展示されていたものの中からXR関連のものを中心にピックアップしてご紹介していく。
■NTTドコモ VR/MR体験会場
やや離れた場所で行われていたのが、NTTドコモのVR/MR体験会場だ。こちらでは、話題のびMRデバイス『Magic Leap』を使った4種類のコンテンツが体験できるようになっていた。ちなみに『Magic Leap』の体験は整理券が配られ、決められた時間帯で体験することができた。
- 『Dr.Grordbort’s Invaders』
Weta Workshop社が開発した、Magic Leapを代表するコンテンツだ。リアルな世界に映し出されるロボット軍団を撃ち倒していくといった内容の、シューティングゲームである。ロボットは床から現れたり壁に穴を開けたりしながら、プレイヤーに襲いかかってくる。それらをうまく買わしていきながら戦っていくのだ。
- 『The Lnad of OZ for Magic Leap One』
現実世界とホログラムの世界を歩く宝探しゲームの『Solve Puzzle』と、立体音響を活用したもぐらたたきの『Barrel Challange』、炎の魔法を撃ってモンスターと戦う『Battle Game』の3つのミッションが楽しめるコンテンツだ。
- 空間で描いた絵が立体化するデモ
コントローラーで、目の前の空間に立体モデルを作ることができるデモ。色や形も自分の思いのままに変えることができ、作った作品をアップロードすることでいつでも取り出すことができるようになっていた。
- 現実空間をVRMモデルが動いて雑談するデモ
こちらリアルな空間で、VRMモデルで作られたきゃらくたーの操作ができるというデモだ。ジャンプなどの動作が行えるほか、障害物をまわりこんでみたり、壁にぶつかったりと、様々なアクションが体験できるようになっていた。
- ドコモAIエージェントAPI<VR握手会>
こちらは『Magic Leap』ではなくVRを使ったデモだが、「ドコモAIエージェントAPI」を活用して、VRヘッドマウントディスプレイを被りセバスちゃんとバーチャル空間で握手会を体験することができた。こちらの会話に合わせてリアルな反応を示してくれるため、予想以上にリアルな体験をすることができる。
同会場内に、こちらのコンテンツの開発を担当しただるまじゃぱん合同会社の尾崎竜二氏と北川正義氏にお話をお伺いしてきた。
――ドコモAIエージェントAPI<VR握手会>の概要について教えていただけますか?
こちらは「ドコモAIエージェントAPI」を使い、リアルタイムにAIと会話が行えます。「ドコモAIエージェントAPI」は、スマートスピーカーのようにIoTに近くそれにプラスして対応型ができるのが特徴です。僕たちはUnityで作りたかったので、SDKから開発しています。
そのデモの見せ方として、キャラクターがあったほうがいいということから、うちがセバスちゃんというキャラクターを勝手に作りました(笑)。キャラクターを作って会話をやってみたところ、意外と良かったんです。
前日に行われた講演でも話しましたが、いろんなことを返せるようになっています。また、今回ドコモさんにツンデレの音声合成を新規で作ってもらいました。ここが一番こだわったところで、ひと月後ぐらいに動画がアップロードされると思いますので、ぜひ見てください。
通常、音声合成を作るときは、決まったフレーズをわざと平坦と読むようにしています。ツンデレの感情が出るようにしたかったので、学習させるときにわざと抑揚が出るように声優さんに読んでもらいました。
それにプラスして、新規で作るため無茶なこともお願いしました。いうのはただなので(笑)。ツンデレは、「べ、べつにうれしくなんかないんだからね」という感じで、最初の「べ」がつっかえてしまったりします。それもリアルタイムで音声合成してもらうようにしています。
あと「バカ」や鼻声などの生声も入れてもらっています。普通音声合成は言葉だけですが、しかし人間には笑ったりいろんな間があったりするなど、言葉以外の感情表現があります。それを音声合成で実現できるか聞いたところ、「さすがに無理です」と言われました。「バカ」だけでも10種類ぐらい言えるのですが、そこは生声で入れてもらっています。
「なんだ、生声使ってるのか」と思われがちですが、実は音声合成が綺麗でないと生声が成立しません。そのため、なんの違和感もないというところが一番すごいところです。
――ありがとございます!
■SAND PARTY!
会場内で目を引いたのは、プレースホルダのブースで展示されていた『SAND PARTY!』だ。こちらは次世代テーマパーク「リトルプラネット」でも展開されている、ARを活用した砂遊びである。
スコップで地形を変えることで、その形に合わせて土地や水辺の位置が変化し、生き物たちが移動をする。また、2種類のARマーカーを使って、水辺を土地で埋めたり、あるいはその逆で土地に水辺を作ったりすることもできるようになっていた。さらには、山の頂点に穴を作ることで火山も作ることができる。
わかりやすいインタラクションになっているため、子供だけではなく大人でも夢中になれるコンテンツである。
■HoloLens 体験コーナー
日本マイクロソフトの「HoloLens 体験コーナー」では、同社のMRデバイスである『HoloLens』が体験出来るようになっていた。残念ながら話題の『HoloLens 2』ではなかったが、まだまだMRデバイスが体験出来る機会は少ないため、数名の参加者たちが列を作っていた。
■PTCジャパン
PTCジャパンのブースでは、Unity上で動くARのSDK「vuforia engine」を使用したデモが展示されていた。地球儀のほうは、ほぼ日が作った『ほぼ日のアースボール』で、地球儀にタブレットやスマホをかざすことでその国の旗や、かつて存在した白亜紀の恐竜などの生息場所をARで見られるようになっていた。
こちらは地球の画像から特徴点をとらえて、ARを表示する場所を特定している。「vuforia engine」の特徴のひとつが追従性の良さで、地球儀を動かしてもほぼラグもなく表示できていた。
同ブースでは、ギークスが開発したミニチュアとARを組み合わせた『ジオAR』のデモも展示されていた。実物の模型とCGを組み合わせることで、新しい映像体験を実現している。「vuforia engine」を使用していることで、オクルージョンなどもしっかりとしており、建物の影に隠れたキャラクターや爆発などもしっかりと隠れて見えるようになっていた。
■DiGITAL ARTISAN
DiGITAL ARTISANのブースでは、その場で瞬時に全身を3Dデータで取り込むことができる量産型3Dスキャナー『3DGATEWAY』のデモが行われていた。ちなみにこの日はふつか目だったが、前日は200人ほどの来場者のデータを取り込んだという。データを変換するのに、ひとりあたり7分ほど掛かるということでリアルタイムでは見られるというわけではなかったが、後日ダウンロードできるようになっていた。
■Unite おみくじ
ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同スタッフ20名による、エンジニアやクリエイターの吉凶を占う『Unite おみくじ』のコーナーも用意されていた。くじ自体は無料で引けるようになっており、全48種類が用意されていた。
しっかりとおみくじ結び所も用意されていたので、くじを引いたそれぞれの人にご加護があったのかも・・・・・・しれない(笑)。
Photo&Words 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑誌の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。