2019
04.16

【World MR News】マルチプレイのXRゾンビからダイエットVRまで!――「コンテンツ東京 2019」レポートその⑤

World MR News

4月3日から5日まで、東京ビッグサイトで開催された日本最大のコンテンツビジネス総合展「コンテンツ東京 2019」。本稿ではその中から、太陽企画、クレヨンピクチャーズゼロユニット、しのびや.com、アイロック、コーンズテクノロジー、イカロス社をレポートする。

■「太陽企画」ブース

太陽企画のブースでは、人間役とゾンビ役に分かれて遊べるマルチプレイXRゾンビごっこゲーム『サイト・オブ・ザ・リビングデッド』が出展されていた。これまでのVRゲームなど、ヘッドセットを使用するコンテンツの多くは、その体験者だけのインタラクションとなっていた。

そこで、VRゴーグルを付けている人と付けていない人の間でインタラクションが生まれるように作られたのが、こちらのコンテンツである。VRゴーグルを装着した人間役のプレイヤーは、椅子に固定され動けない状態になる。

ゾンビ役の3人のプレイヤーは、人間役のプレイヤーに襲いかかるのだ(実際は近づいて脅かすといった感じ)。基本的に人の動きに合わせてゾンビの映像が重ねて表示されるのだが、微妙に位置がずれて後ろの人の姿が見えるようになっている。その様子がなんともおかしくて、ついつい笑ってしまう。

ちなみに、KinectなどのXR関連技術もいろいろと使われているのだが、そうしたものをあえて意識させないような作りになっている。人と人が一緒にごっこ遊びをするという、プリミティブな形を実現するのが本コンテンツの目的だという。

■「クレヨンピクチャーズゼロユニット」ブース

クレヨンピクチャーズゼロユニットのブースでは、モーションキャプチャーでドラゴンのキャラクターを動かすデモが行われていた。これはVTuberなどのように人を動かすものではない、あえて人ではないものに挑戦しているそうだ。

ドラゴンには人には存在しない、羽や尻尾がある。羽は肩の動きで調整している。腕と羽が同時に動いてしまうとコウモリのようになってしまうため、そちらも調整しているとのこと。

さらに、このドラゴンにボールを当てて倒すというインタラクション要素も盛り込んでいる。このときのあたり判定は厳しめにしているそうだが、演者がそのリアクションをしっかりしないと当たった感が出にくいのだという。

■「しのびや.com」ブース

しのびや.comのブースでは、MUVRsystemの最先端メディア『MUVRstick』とVRライドシミュレータ『SIMVR(シンバ)』が出展されていた。『MUVRstick』のほうは、DVDに変わるようなメディアで、スマートフォンにUSBメモリーを挿すことで、オフラインでも動画が見られるというものだ。

USBスティックを挿すだけで、どこでも見られるのが特徴の『MUVRstick』。

VRライドシミュレータの『SIMVR』は、VRゴーグルに特化した多軸モーションシミュレータシステムである。コンテンツに合わせて6自由度に座席が動くほか、重低音の振動ユニットなども搭載。ゲーミングチェア部分にはスピーカーも内蔵されている。今回は、近未来な都市を舞台にしたSFライクなシューティングアクションゲーム『BLAST×BLAST』を体験したが、座席が動くためライド感がすごかった。これだけの省スペースでアミューズメント施設のようなゲームが体験できるのは、ある意味VRヘッドマウントディスプレイならではといえそうだ。

VRライドシミュレータの『SIMVR』。総重量約89キログラムで、本体価格は89万円だ。

■「アイロック」ブース

アイロックブースに出展されていたのは、VRドライビングシミュレータだ。同社はドライビングシミュレータをメインで手がけている企業で、VR制作会社ではない。

本物さながらのドライビング体験ができる。

VRが消費者に広まっていくには、見るだけのコンテンツでは飽きられてしまう。見ているものが、熱かったり寒かったり痛かったりと、5感で体感できる補足として360度の視覚が付いてくる必要があるのだ。元々車会社だったそうだが、たまたまシミュレータに手を出したところいいものができ、自動車メーカーから高い評価を得た。そこで、自動車メーカーのシミュレータとして販売を開始している。

このVRドライビングシミュレータにはリースプランも用意されており、1日1台19万8000円、1ヵ月5万7800円×7年間といったコースが選べる。

■「コーンズテクノロジー」ブース

会場内でもひときわ多くの人が集まっていたのが、コーンズテクノロジーのブースだ。こちらでは、露を利用した大画面のホログラム映像が表示できる『ミストディスプレイ』が展示されていた。

大型ディスプレイに映し出される映像もすごいのだが、なんといっても通常のディスプレイとは異なり「露」ということで通り抜けることができるのが特徴である。インパクトもそれなりにあるため、イベントや展示会などでも活用されそうだ。

■「イカロス」ブース

イカロス社のブースでは、VRとフィットネスマシンを組み合わせたことで話題を呼んだ『ICAROS Pro』が出展されていた。今回はそちらに加えて、eスポーツのような対戦が行えるゲーム『ICARACE』も体験できるようになっていた。

この『ICARACE』は、世界中のパイロット共にレース対戦ができるというゲームで、遊びながら楽しくフィットネスができるのが特徴だ。こうしたものが作られた理由は、ゲームは中毒性が高いが逆にフィットネスは中毒性が低く長続きしにくいということがあるからだ。そうした課題を解消するために、ゲーム要素を盛り込んでいるのである。

■「コンテンツ東京 2019」開催概要

展示会名:コンテンツ東京 2019(全7展から構成)

会期:2019年4月3日(水)~5日(金)10~18時

会場:コンテンツ東京:東京ビッグサイト 西展示棟

AI・人工知能EXPO:東京ビッグサイト 青海展示棟

主催:リード エグジビション ジャパン株式会社

 

PhotoWords 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑誌の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。