2019
04.15

【World MR News】4KのスタンドアロンVRゴーグルから現場をサポートするMRソリューションまで最先端技術が集結!――「コンテンツ東京 2019」レポートその④

World MR News

4月3日から5日まで、東京ビッグサイトで開催された日本最大のコンテンツビジネス総合展「コンテンツ東京 2019」。本稿ではその中から、Pico Technology Japan、ポケット・クエリーズ、ビービーメディア、アスカネット、キャラバンズ、オムニバス・ジャパン東北新社のブースをレポートする。

■「Pico Technology Japan」ブース

中国に拠点を持つPico Technology Japan。2015年3月にできた若い会社だが、当初から取り組んできたのがVRゴーグルの開発だ。当初はPCに接続するタイプなども作っていたが、そちらはどうしてもコストが掛かってしまうため、ユーザーが手軽に購入することができない。そこで、スタンドアロンタイプの開発をスタートしたという。

ちなみに同社には300人の社員がいるが、そのうち250人はエンジニアだ。その力を活用して3年前に2KのVRゴーグルを開発している。その後、6DoFに対応した『pico Neo』を2年前に発売している。これは、『Mirage Solo』よりも半年ほど早いタイミングで市場に投入されている。

ユーザーのフィードバックから、多くの人は映像を楽しんでいることがわかったという。家に大きなテレビがないので、2Dの映画やドラマをVRで見るのだ。これは中国国内でも全世界でも変わらないという。同社のプレイヤーは、2D、3D、180度、360度のすべてに対応することができる。

今年の3月27日に北京で『pico G2 4K』を発表しており、こちらが最新モデルとなっている。従来モデルのハイパフォーマンスは維持しつつ、鮮明な4K高解像度ディスプレイを搭載。画素密度818pipを実現しており、光の回折を抑えた新型のフレネルレンズが採用されている。

日本でも4月末から発売される予定だ。ただし、現在はBtoBだけであるため、早ければ夏頃に大手量販店などでも取り扱いが開始されるとのこと。

■「ポケット・クエリーズ」ブース

ポケット・クエリーズのブースでは、東京電力ホールディングスと共同開発を行っているMRソリューション『QuantuMR(クァンタムアール)』のデモが展示されていた。この『QuantuMR』は、MRデバイス『HoloLens』とサーバを連携することで、現場にいる作業者をサポートしてくれるソリューションである。

今回のイベントでは、「危険区域」に近づいたときにアラートを出すというものと、計器のメーター類を認識するというふたつのデモを体験することができた。デモ体験はなかったが、『QuantuMR』自体は遠隔でのサポートができるところも特徴のひとつだ。ブース内でもPCが設置されており、そちらで遠隔サポート側の画面も確認できるようになっていた。

マイクロソフトからは、新たなMRデバイス『HoloLens 2』も発表されており、今後『QuantuMR』もどのように進化を遂げていくのか楽しみである。

■「ビービーメディア」ブース

人気キャラクター『タマ&フレンズ』のARゲーム『タマさがし AR』を展示していたのが、ビービーメディアのブースだ。こちらはタブレットを活用したARゲームとなっており、3×3メートル、5×5メートル、8×8メートルといった限られたスペースで遊ぶことが出来るコンテンツとなっている。

最初にタブレットで顔写真を撮影し、ガイダンスに従っていくだけで遊び方が学べるようになっている。ゲーム自体は、どこかに隠れているタマを見つけ出すというシンプルな内容になっており、5歳以上であれば保護者同伴でなくとも遊ぶことができる。

同ブース内でもうひとつ展示されていたのが、『VR 双眼鏡』だ。これはいわば双眼鏡を使ったVRコンテンツが楽しめるといったもので、前回の東京オリンピックの頃に地下化された暗渠の視点から、東京の地面を潜航するといった内容のコンテンツが楽しめるようになっている。

ついついのぞき込んでみたくなる形状をした『VR 双眼鏡』。

■「アスカネット」ブース

アスカネットのブースでは、空中ディスプレイの『ASKA3D』を活用した様々な展示が行われていた。こちらは、画像や物体から放たれる光線を特殊構造のガラスプレートを通過させることで、その反対側の同一距離の位置に光を集め、原盤と同じ像が形成されるという仕組みを利用したものだ。

写真では伝わりにくいが、スマートフォンを球体のようなデバイスに差し込むことで、その平面の映像が立体的に浮かんで見えるようになる。ほかにもインタラクティブな操作も行えるデモも展示されていた。

空中にあるボタンを操作しているような感覚が体験できる。

■「キャラバンズ」ブース

まるでアミューズメント施設のようなコンテンツ『ボールシューターズ』を出展していたのは、キャラバンズのブースだ。こちらはセンシング技術とプロジェクションマッピングという最新技術を融合させたもので、大画面のスクリーンに向かってひたすらボールを投げることで、インタラクティブな遊びが楽しめるというものだ。

キャラクターデザインのほか、UIや2D・3Dグラフィックス、背景、BGM、SEやボイスなどもカスタマイズが可能となっており、お手軽にオリジナルのコンテンツが作れるところも特徴のひとつである。

■「オムニバス・ジャパン東北新社」ブース

複数のコンテンツの展示を行っていたのが、オムニバス・ジャパン東北新社のブースだ。まずは1年ほど前から提供しているという『アプリレスAR』。スマートフォンでARを利用するときは、専用アプリをダウンロードする必要がある場合が多いが、こちらはQRを読み込むことでブラウザだけでARコンテンツが楽しめるというものである。

コンテンツを読み込むとキャラクターが表れ、特定の場所にスタンプを押してくれる。いわゆる、「スタンプラリー」のかわりに使えるのがこちらの『アプリレスAR』というわけである。

ユーザー登録は不要だが、サーバ側で管理は行っているため、1度プレイした後に再びスタンプラリーをコンプリートしたとしても特典などは受け取れないようになっている。こちらは個人情報の取得はしておらず、内部的にIDを発行して管理しているのだという。

こちらはQRコードを読み込むと、CGのキャラクターが箱の回りを歩くというコンテンツ。

こちらはマーカーを複数読み込める「マルチマーカー」を使ったコンテンツだ。カードゲームをイメージしており、マーカーを隣接させることでバトルのシーンが見られるようになっている。

『アプリレスAR』とブースを挟んで反対側に出展されていたのが、『TRUE MEMORY』というサービスだ。技術的には、360度の動画にインタラクションの要素を追加したというシンプルなものだが、注力したのがテーマを「終活」にしているところだ。

遺品整理や子供たちに遺しておきたい思い出、遺産として遺しておきたい家のものなど実際に話を聞きながら撮影する。360度の動画は世の中に多数あるが、内容が伴っていないものがほとんどだ。同社はフィルムの制作会社でもあるため、人のコアの部分にどうすれば届くのか? そのためには、どのようなコンテンツを作るべきなのかを考えたという。

子供たちが実家にいたときの思い出を大切なものと捉えており、子供の目線で家の移動も撮影されている。「家と家にまつわる子供の思い出」の補助線になればいいと思い作られているそうだ。

同社は球体にマッピングするのも得意ということで、半休型のドームに映像を映し出すデモも展示されていた。

■「コンテンツ東京 2019」開催概要

展示会名:コンテンツ東京 2019(全7展から構成)

会期:2019年4月3日(水)~5日(金)10~18時

会場:コンテンツ東京:東京ビッグサイト 西展示棟

AI・人工知能EXPO:東京ビッグサイト 青海展示棟

主催:リード エグジビション ジャパン株式会社

 

PhotoWords 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑誌の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。