2019
04.15

【World MR News】低価格スマホ最適化VRや簡単VR作成ツールなど様々なサービスが登場――「コンテンツ東京 2019」レポートその③

World MR News

4月3日から5日まで、東京ビッグサイトで開催された日本最大のコンテンツビジネス総合展「コンテンツ東京 2019」。本稿ではその中から、ロントラ、空 / アイデアプラス / 報徳情報技術、ビジュアルコミュニケーションズ、Hochuen Smart Technology、パソナ・パナソニックビジネスサービス、アートクラフトのブースをレポートする。

■「ロントラ」ブース

映像企画・制作会社のロントラが出展していたのは、スマートフォンに最適化されたターゲティング広告を使ったVRコンテンツを、10本30万円という低価格で提供するサービスだ。YouTubeでは、VRの360度動画を30秒以上見る人が46パーセントもいるという結果が出ている。また、フェイスブックではPCと比較して6倍ものクリック率がある。つまり、スマホVRは広告としても非常に効果が高いのである。

そうしたことがわかったうえで、スマートフォンに最適化したVR動画を多数作ったところ、1年間でSNSのフォロワーが1万人に増えた。このような仮説検証ができたため、サービス化し「ユーザーに優しいVR」を作ることになったという。

ユーザーからの反応は、「え? そんなに安いの?」といった意見や、実際にスマートフォンでVR動画を見て「こういう風に見えるんだ」といった感想が多かったそうだ。こうした低価格のサービスを実現できるのは、ある程度内製が出来ているのと著作権フリーアイドルと仲がいいため、ワンシチュエーションで無理がなければ問題がないという。

■「空 / アイデアプラス / 報徳情報技術」ブース

ドローン空撮やパノラマVRなど、スタジオワークと機動力を活かした高品質な広告写真などを手がけている写真スタジオの空。同社のブースでは、そのサービスの紹介が行われていた。

同社では、スタジオ内に24台のカメラを360度取り囲むように設置し、ワンシャッターで360度の写真を撮影することができる。モデルとなる人物がジャンプをしたり動いたりした場合でも、ワンシャッターで撮れるので問題がないというわけだ。こうして撮影された写真は、スマートフォンやタブレットなどでくるくる回転しながら見ることができるようになる。

こうした大型のものに加えて、料理など小物の撮影用に省スペースでも撮影できる機材も用意しているそうだ。特徴としては、正面やななめなど違った角度から撮影ができるというところである。

また、報徳情報技術と提携したスマートフォン向けアプリ『スマホでグルック』も展示されていた。こちらは、スマートフォンを使って様々な被写体を、自動または手動で撮影し、それをクラウド経由でネットショップなどウェブサイトに反映できるというものである。

簡易的に360度動画を作ることができるほか、サイトに掲載する360度動画の入れ替えなども何度も自由に行えるのが特徴だ。料金は月額2400円から利用できる。

奥のタブレットは、スタジオで24台のカメラを使用して撮影された360度の写真である。手前は、『スマホでグルック』のデモだ。

■「ビジュアルコミュニケーションズ」ブース

3DVRの映像コンテンツを制作しているビジュアルコミュニケーションズ。同社では、企画プランニングからリサーチ、VR撮影、ポストプロから納品までをワンストップサービスで提供しているが、今回の出展はそのサービスをアピールするためのものだという。

ちなみに同ブース内では、東北で収録したお祭りの模様や、東日本大震災の記憶を風化させないために、遺構のVR体験ができる作品が見られるようになっていた。静止画の写真や動画も資料としては貴重だが、より情報量の多いVRでこうした記録が残されるのは重要なことだ。

■「Hochuen Smart Technology」ブース

中国を拠点に活動しているHochuen Smart Technologyのブースでは、VRゴーグルに関する様々な部品パーツの展示が行われていた。様々なパッド類やイヤホンケースなどに加えて、VRゴーグルも出展されていたが、なかでも同社が得意としているのはレンズの部分だという。

レンズ透過率は96パーセント以上で、レンズ反射率は1.5パーセント以下、それにブルーライトカット効果も加えて、製品自体の重量もわずか250グラムという軽さを実現している。ちなみに同様のものは、他社では450グラムほどの重量になるそうだ。

■「パソナ・パナソニックビジネスサービス」ブース

パソナ・パナソニックビジネスサービスのブースでは、PC上で簡単にVRコンテンツが制作できるシステム『VRer!(ブイアラー)』の展示が行われていた。こちらはウェブサイト『VRer! Square』から素材を選び、PCソフトの『VRer! Editor』上でレイアウトを行い、それをスマートフォン向けアプリの『VRer! Viewer』で閲覧することができるというものだ。

ツール部分の『VRer! Editor』は、CGや背景画像などもプリセットで用意されているため、『パワーポイント』のような感覚で気軽にコンテンツ作りが楽しめるところが特徴だ。また、インタラクティブな操作が行えるような設定も可能だ。

こちらが『VRer! Editor』の画面。

アプリの『VRer! Viewer』は、そのまま単眼の状態でも見られるほか、VRゴーグル用に複眼の表示も切り替えることが出来る。公開範囲も設定可能で、招待したユーザーのみ見られるようにすることもできるとのこと。

アップロードしたコンテンツは、スマートフォン側で見られる。

『VRer!』のマークは土星がモチーフになっているが、その土星の衛星から付けられたというキャラクターレアちゃんが踊っている立体的な映像も展示。こちらは、次回のアップデートで対応する予定だそうだ。

■「アートクラフト」ブース

アートクラフトのブースでは、「消火体験」「バーチャルモデルルーム」「タイムトラベル」といった、3種類の異なるVRコンテンツを選んで体験できるようになっていた。ちなみに今回筆者が体験したのは「タイムトラベル」だが、こちら昔懐かしい昭和な雰囲気の世界にタイムトラベルするという内容になっていた。

商店街の入り口に猫がおり、その後ろを付いていくことで街中を探索することができる。看板やレトロな自動車、駄菓子屋にそこで遊ぶ子供たちなど、今ではすっかり見られなくなった光景ばかりである。

建物ひとつひとつのデティールにもかなりこだわって作られていたのだが、これらは写真などからリサーチして架空の街を作っているのだとか。

「タイムトラベル」では、今でもこうした場所があれば訪れてみたいと思わせる懐かしい風景が体験出来る。

同社はマンションのデベロッパー向けに「バーチャルモデルルーム」を提供していたが、そこから拡がりエンタテイメント系なども手がけるようになったそうだ。同社のこだわりはリアルさで、消火訓練などはほかでもあるが炎のリアルさや消化器型のコントローラーなどを用意するなど、正確な訓練が行えるレベルまでに仕上げられている。

■「コンテンツ東京 2019」開催概要

展示会名:コンテンツ東京 2019(全7展から構成)

会期:2019年4月3日(水)~5日(金)10~18時

会場:コンテンツ東京:東京ビッグサイト 西展示棟

AI・人工知能EXPO:東京ビッグサイト 青海展示棟

主催:リード エグジビション ジャパン株式会社

 

PhotoWords 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑誌の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。