2019
01.08

【World MR News】コニカミノルタが探る「ゲームではないVRの可能性」。星空のVRアトラクション「VirtuaLink」が「プラネタリア TOKYO」に登場

World MR News

コニカミノルタプラネタリウムは12月19日、プラネタリウム施設「プラネタリア TOKYO in 有楽町マリオン」をオープンした。この中で、VRアトラクション「コニカミノルタ VirtuaLink」が展開されている。

12月19日にオープンした「プラネタリア TOKYO in 有楽町マリオン」。

「プラネタリア TOKYO in 有楽町マリオン」は、施設内に観覧ドームが2つ常設されている日本初の“ツインドーム型”プラネタリウム施設。“多目的デジタルドームシアター”と名付けられた「DOME1」では、演者を起用し、星空の生解説に演劇、歌、ダンスなどを融合させたライブパフォーマンスが楽しめる。これまでのプラネタリウムから一歩踏み込んだ、新しい星空体験が魅力となっている。

一方、“プラネタリウムドームシアター”の「DOME2」では、コニカミノルタの投影機「Cosmo Leap ∑(コスモリープ シグマ)」、立体音響システム「SOUND DOME」などの最新技術が使われており、よりリアルで美しい星々を眺めることができる。よりプレミアムなプラネタリウム体験を求めるなら、こちらが最適だ。

「DOME1」では、演者が星空の生解説やライブパフォーマンスを行なっていく。

より本格的なプラネタリウム体験となる「DOME2」。まったく異なる方向性で星空を楽しめる。

現実の裏側へ迷い込むような幻想的なVR体験

「コニカミノルタ VirtuaLink」は、この2つのドームとはまた違った星空体験が楽しめるVRアトラクションとなっている。

「VirtuaLink」そのものは、これまでに東京スカイツリータウン、ダイバーシティ東京プラザで展開されてきた。その時のコンテンツは宇宙旅行をテーマにした「ワンダーポッド」だったが、「プラネタリア TOKYO in 有楽町マリオン」では最大24人が同時に体験できる新コンテンツ「NIGHT CRUISING」を楽しめる。

白いポッド型の椅子に座り、不思議な散策へと旅立っていく。

使用されているのはHTC VIVE Pro。惜しむことなく最新機器が導入されている。

「NIGHT CRUISING」は、光と点で描かれた幻想的な世界を散策する回遊型VRアトラクション。体験者は丸っこいアバターへと変化し、真っ暗な空間にぼんやりと浮かぶ街や神社、森を進みながら、時に立ち止まり、星空を眺めることができる。実在の街から再現されたという空間は、現実の名残を残しながら独自の世界を形作っており、現実の裏側へ迷い込んだような気持ちにさせてくれる。

特徴的なのは、進んでいる場所によって眺められる星の等星が異なること。2等星までしか見られない街のエリアにはじまり、公園、神社、山と人気のないエリアへと進むほど、見られる星が数多くなっていく。最後には宇宙へ飛び出したかと思うような、きめ細かく鮮やかな星空が目の前に広がる。声優の河本啓佑さんによる優しい声のナビゲートも雰囲気を高めており、不思議な浮遊感を体感できるVRアトラクションだ。

派手ではないが印象に残るVR体験

体験後、「プラネタリア TOKYO」総支配人である川中子悠介氏に話を聞くことができた。

「プラネタリア TOKYO」総支配人の川中子悠介氏。

川中子氏はもともと、東京スカイツリータウン、ダイバーシティ東京プラザで展開された「VirtuaLink」を手がけてきた人物だ。「プラネタリア TOKYO」では施設全体を見る総支配人へと立場を移したが、「NIGHT CRUISING」の開発にも深く関わっている。

川中子氏がこだわるのは、「ゲームとして括れないVRの可能性」だ。「NIGHT CRUISING」では「星を見に行く夜の散歩」をきっかけとし、不思議な世界にどんどん迷い込んでいく体験が特徴となっている。ポイントは「幻想的だけど、どこかで見たような景色という絶妙なライン」を意識したこと。だからこそ、決して派手ではないが、体験としては強く印象に残る。

各エリアの表現は、スキャンデータが点群で描写されるレーザースキャナ「3DWalker」を利用し、色も現実とは異なるグラデーションを入れている。また赤ん坊の鳴き声、川のせせらぎなどの環境音にも力を入れて、音から想像が膨らむような仕掛けもある。

体験者からは「綺麗な体験で面白かった」という声が上がっており、アートに興味のある人からは特に感触がいいという。また星空もしっかり作り込んでいることで、だんだんと見える数が増えていく演出も星空好きには好評だとした。

川中子氏は今後も、VRの可能性を探っていきたいという。施設内で完結させるだけでなく、他社とのコラボレーションも含めた多様な展開を広げていきたい考えだ。「VirtuaLink」は今後も様々なVRコンテンツが追加される予定という。プラネタリウムのトップメーカーが、VRではどのような体験をもたらしてくれるのか。今後の展開にますます注目だ。

Photo&Words 安田 俊亮

「GAME Watch」編集などを経て2018年よりフリーランス。
GAME Watch、週刊アスキー、CONTINUEなど、ゲーム分野を中心に徐々にフィールドを拡大中の編集、ライター、コピーライター。E3やGDCなど、海外を含めた取材経験も多数。