2018
11.26

【World MR News】4チームが3日間かけてVTuberコンテンツを作り上げる! VTuberハッカソン全国ツアー2018【DCEXPO大会】をレポート

World MR News

「Inter BEE 2018」との共同開催で、11月14日から11月16日までの3日間、千葉の幕張メッセで行われた「デジタルコンテンツEXPO」。その一部で3日間を通して実施されたのが「VTuberハッカソン全国ツアー2018【DCEXPO大会】」だ。本稿では、その初日である11月14日の様子をメインに会場の模様をレポートする。

今年の2月に第1回が東京で開催された「VTuberハッカソン」。80人ほどの応募があり、60人でハッカソンが実施された。主催のPANORA(株式会社パノラプロ)代表取締役である広田稔氏によると、バーチャルYouTuber(以下VTuber)が昨年12月から盛り上がった直後ということもあり、かなり好評だったという。

PANORAの広田稔氏。

キズナアイ以外のVTuber四天王が審査員を務めたことも話題となり、この試み自体が注目を集めた。ここで生まれたキャラクターそのものは、必ずしも継続しているわけではない。しかし、VTuberを作りたいと思っている人たちは沢山存在しており、技術を持った人たちが集まって何かをするというのは楽しい。そこで、この試みを継続することになり、アメリカにあるVRコミュニティの日本支部である SVVR Japanを運営している常名 隆司氏とともに開催することになったのだという。

常名氏は、各地でハッカソンを実施している人物とも繋がりがあり、話を聞いてもらったところ各地でもやりたいという話があったことから全国ツアーとして開催されることになったそうだ。

今年の8月より福岡や岡山、大阪、島根などで実施。その中のひとつとして、「デジタルコンテンツEXPO」のなかで実施されることとなった。

この「VTuberハッカソン全国ツアー2018」は、各地で開催されて終わりというわけではない。各地で最優秀賞を決定し、そのチームを集めて12月1日と2日に六本木のDMM.comでプレミアム大会が実施される予定だ。

広田氏によると、このイベントの目的のひとつには、業界が盛り上がって新しい人たちが入ってくる土壌を作りたいという思いが込められているという。また、VTuber自体も、もっと多様性が必要だ。美少女のキャラクターばかりではない、実験の場としての役割も含まれているのだ。

普段は技術者で、Unityに詳しいからVTuberを作ってみたいという人や、声優やタレントを目指してみて機会があればVTuberを試してみたいという人が集まって何かが出来る場として、業界振興のために実施されているのである。

4つのチームに分かれそれぞれのアイデアをカタチに

「デジタルコンテンツEXPO」の中でも、かなり広いスペースを使用時して実施された今回のハッカソン。この日集まったメンバーが、4つのチームに分かれアイデアを練り、3日間にわたって作品制作が行われた。

この日は11時30分に開会式とルール説明が行われ、12時よりチーム編成とハッカソンがスタート。16時より、チームごとの企画発表が行われた。ちなみに2日目は朝10時よりハッカソンがスタートし、15時に中間発表を実施。最終日は同じく朝10時からハッカソンがスタートし、14時に終了。以降、成果発表会と審査結果などが発表されるという流れになっていた。

チーム:しゃるうぃだんす

はじめに企画発表を行ったのは、しゃるうぃだんすチームだ。昨今、ダンス動画をまねして踊る踊ってみた系の動画が大人気である。しかし、VTuberと同じダンスを踊れるようにはなったものの、一緒に踊ることはできない。また、みんなと共有することもできない。

そこで、VTuberと一緒に同じダンスを踊れるゲームとして『シャルウィダンス』を開発。動画を再生しながらダンスを踊り、その後ダンス動画を共有する。このゲームで、世界中のユーザーの「どっちがダンスか上手いか」問題を解決していくという。

チーム:みそにこみカレーパン

続いて企画を発表したのは、みそにこみカレーパンチームだ。同チームのコンセプトは、ずばり「バーチャル映え」である。

ストーリーは、バーチャル世界の女の子がリアルのSNSを見て憧れ、可愛くなりたいと思う。そこに天使と悪魔が現れ、歌って踊って考えて・・・・・・バーチャル最高というオチで終わるという内容にする予定だという。

このコンセプトを思いついたきっかけは、グラフィック関係に強いくらお氏とUnityプログラマーのTakYuk氏というプロのふたりに加えて、この会場でであったなぎさ氏、あやの氏、らな氏の3名があらかじめ歌と振り付けを考えて持ってきていたという。そこで、それぞれ持っているものを活かして、今回は作ることになったのだとか。

チーム:ゆあ’s Dream

続いてゆあ’s Dreamチームの企画が発表された。一般的にVTuberというとネットでの活動がメインとなるが、それでは面白くないということでリアル世界での活動が中心の地域密着型VTuberをコンセプトにしている。

ネットでは特に活動は行わず、地域のお店や会社、イベント取材や紹介をメインに活動を行っていき、VTuberを通じて自然なカタチで地域に最新テクノロジーを広めていくというのが狙いだ。目指しているところは、ネクストゆるキャラだという。

すでにいくつか取材もしており、幼稚園児にVTuberを見せたり司法書士の先生と対談を行ったりしている。

キャラクターのコンセプトも決まっており、うさぎをモチーフにした夢野ゆあというキャラクターを使用。今回は企画として、VTuberが賃貸契約をすることが可能なのか、実際の不動産屋にインタビューを実施。そちらの模様を動画として制作する。

チーム:アンリミテッド

最後に企画を発表したのは、アンリミテッドチームだ。こちらは7名とかなりの大所帯となっていた。

今のVTuberはタレント特化になっているが、本当にタレントである必要はあるのか? もっと敷居を下げた方がいいのではないか? というのがコンセプトとなっている。誰でもVTuberになることが出来るようになった場合、すべての仕事はバーチャルになっていく。

今回は出張メイドのようなものをイメージしており、見た目がおじさんで出張は受け付けられないという人でも、VTuberで美少女キャラになることで受け入れられ仕事がもらえるようになるというようなことを作品に盛り込んでいく。

今回の「VTuberハッカソン全国ツアー2018【DCEXPO大会】」で最優秀賞を獲得したのは、アンリミテッドチームの「VTuberメイド派遣システム」だった。12月1日と2日には、彼らをはじめ、各地から最優秀賞を獲得したエリートが集結しプレミアム大会が行われる。はたして、今度はどんな作品が誕生するのか今から楽しみである。

Photo&Words 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑紙の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。