2018
10.29

黒川文雄のEyes Wide Open VOL.24「VRエンタテインメントにおけるサルベーション(救済)の日」

EyesWideOpen

破産で競売にかけられた「ターミネーター」製作権利

監督マックG、主演クリスチャン・ベールの「ターミネーター4(原題:Terminator Salvation)」が劇場公開されたのは2009年に遡ります。

前作の「T3」がイマイチの世界観と興行収入に終わったことから、世界中が期待を寄せた作品だったと記憶しています。当時は、予告編を観る限り、CGで制作されたT800(シュワルツエネッガー)の登場や、バイク型のモト・ターミネーターなどが登場するなど事前のプロモーションはフックとして成功したかのように見えた作品でした。

しかし、実際の劇場興行に於いては前作を下回る興行収入に終わり、期待された全世界の興行収入でも「3」を下回り、制作会社が破産し、「ターミネーター」の製作権が競売にかけられヘッジファンドが落札したというオチが付いた作品でした。

渋谷スクランブル交差点前「MAGNET by SHIBUYA109」

「JOYPOLIS VR SHIBUYA」エントラスイメージ

2018年10月25日(木)に、セガCAジョイポリス株式会社により、渋谷のスクランブル交差点前にあるファッションビル「MAGNET by SHIBUYA109」内にVR専用のジョイポリス「JOYPOLIS VR SHIBUYA」が開業しました。

このところ、新宿、渋谷などの繁華街でVR体験施設が数多く展開されており、遅れてきた最後の大物VR施設として、若者を中心した新しい顧客層にアプローチする施設になるでしょう。

今回、「JOYPOLIS VR SHIBUYA」に初期導入されたVRコンテンツは4種類、すでに展開中の「TOWER TAG(タワータグ)」、今回新しく導入される「THE DOOR(ザ・ドア)」「ギリギリ!高所VR」、そしてターミネーターをテーマにした「TERMINATOR SALVATION VR(ターミネーター サルベーションVR)」(以下:TVR)の4種のVR体験です。

救済(サルベーション)の日に臨む選ばれし4名の戦士たち

今回は特に「TERMINATOR SALVATION VR」にフォーカスしてご紹介します。

「ターミネーター」と言えば、始まる前からアタマの中では「じゃじゃんじゃじゃん」というブラッド・フィーデル作曲、お馴染みのメインテーマが鳴っています。映画「ターミネーター」の世界観を体験できるというのは素晴らしいことじゃないですか。

まずはその世界観に入るためには、ゲームエントリーに先駆けてプレイヤーのフェイス・スキャンを行いアバターを作成します。

このフェイス・スキャンはスキャンをしている最中は目を閉じたりせず、同じ表情を保っていないと出来上がりのアバター・フェイスがとんでもない「やぶにらみ顔」になったります。

フェイス・スキャンはやり直しがきくので、自分の恥ずかしい表情をさらしたくないプレイヤーはやり直ししましょう。そうでないと後で恥ずかしい思いをします。

ゲームへのエントリーに際しては名前、メールアドレスなどを登録しますが、プレイ終了後に自身の戦闘中の映像が送信されてきます。この部分はVR体験をクチコミするために良いネタになるのではないでしょうか。

フェイス・スキャン中の筆者

VRコンテンツはシンプルです。

プレイヤーは善玉T800に成りきって、スカイネットの支配下に置かれたターミネーターを破壊し、無線交信装置を復活させ、ミッション・クリアするというものです。フェイス・スキャンの結果、自身のアバターキャラクターは「ロボコップ」風に見えますが、そこはあまりツッコまないでおきましょう。

VRプレイは4人ともヘッドセットを通して無線でやり取りをするためVRプレイ体験中にぶつかること

なくお互いをカバーしながら悪玉T800と交戦します。

黒川文雄体験チーム フル対戦映像参考

黒川文雄体験チーム ダイジェスト対戦映像参考

映画の(世界観)中に入ってVR体験ができるような時代になったことは実際に映画配給ビジネスに長く関わっていた身としては嬉しいことです。

1984年に「ターミネーター」(初作)が公開、それから34年を経て、こんな時代がやってくるとは、映画は2029年の未来から過去を変えるために送り込まれたT800がサラ・コナーを抹殺するためにタイムトラベルしてくるという話です。

でも、あと10年もしたら2029年ですね。この先、VRを始めとしたエンタテインメントが、どの次元まで昇華して行くのか楽しみな気持ちにさせてくれるVRコンテンツです。

予想以上に面白かった脱出VRゲーム「THE DOOR」

一方、クラシックなゲーム要素を現代的なVRで味付たコンテンツが「THE DOOR(ザ・ドア)」です。

体験は2人1組で、ホラー要素をまとった雰囲気の部屋の世界で隠されたアイテムなどやメッセージを解読して脱出するというものです。残念ながら私は制限時間内に脱出することができませんでした。

プレイヤー2人を繋ぐのは部屋のなかの小窓で、そこでアイテムをやり取りして秘密を解き明かすというものです。

THE DOOR VRイメージ画面

さらに、体験会当日に急遽発表された新コンテンツが「ギリギリ!高所VR」」ですが、こちらもかなりのスリル感を味わえます。VRZONE SHINJYUKU(VRゾーン新宿)にある「高所恐怖SHOW(ショウ)」と同じようなコンセプトですが、VRだとわかっていても高層ビルの恐怖にハラハラしてしまうのは本当にVRの真骨頂である疑似体験ですね。

「ギリギリ!高所VR」イメージ

とにかく「1回、かぶっとけ」 

今回開業した「JOYPOLIS VR SHIBUYA」のキャッチコピーは「1回、かぶっとく?」というもので、VR体験を今まで以上にカジュアルな体験に導こうというものです。

今回導入された「TERMINATOR SALVATION VR」のように、映画などのわかりやすいテーマを基に開発されたVRコンテンツがヒットすることはとても重要です。これからはVRを共有体験としてクチコミとして語られることが増えることでしょう。それらが当り前になったときエンタテインメントの新しいジャンルとしてVR体験が今まで以上に認知確立されるのではないかと思います。

とにかく「一回、かぶっとけ」・・・興奮する現場からは以上です。

参考データ:

「TERMINATOR SALVATION VR」

ジャンル:マルチプレイVRガンシューティング
料金:2500円[税込](プレイ映像のデータ料込)
プレイ人数:最大4人
プレイ時間:15分
年齢制限:7歳以上かつ身長110センチ以上

 「THE DOOR(ザ・ドア)」

ジャンル:謎解き脱出型VRゲーム
料金:1600円[税込](※2名合計料金)
プレイ人数:2名 ※予約不要・2人プレイ必須
プレイ時間:約12分
年齢制限:13歳以上

「ギリギリ!高所VR」
ジャンル:高所体感型VRアトラクション
料金:800円
プレイ人数:最大1人
年齢制限:7歳以上かつ身長110cm以上
プレイ時間:約5分

「TOWER TAG(タワータグ)」
ジャンル:VR eスポーツ 対戦型ガンシューティングアトラクション
料金:1人あたり1000円 ※予約不要
プレイ人数:最大4人(2対2)
年齢制限:7歳以上かつ身長110cm 以上
プレイ時間:約4分×2セット

「JOYPOLIS VR SHIBUYA」施設概要
所在地:東京都渋谷区神南1-23-10MAGNET by SHIBUYA109 6F
アクセス:「渋谷」駅直結
営業時間:10:00~22:00(最終受付21:30)
料 金:入場無料。各アトラクション個別料金

JOYPOLIS VR SHIBUYA 公式サイト:http://joypolis-vr.com/shibuya/

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筆者: 黒川文雄(くろかわふみお)

1960年、東京都生まれ。音楽ビジネス、ギャガにて映画・映像ビジネス、セガ、デジキューブ、コナミDE、にてゲームソフトビジネス、デックスエンタテインメント、NHN Japanにてオンラインゲームコンテンツ、そしてブシロードにてカードゲームビジネスなどエンタテインメントビジネスとコンテンツの表と裏を知りつくすメディアコンテンツ研究家。ジャーナリスト、コラム執筆家、アドバイザー・顧問。
『ANA747 FOREVER』『ATARI GAME OVER』(映像作品)『アルテイル』『円環のパンデミカ』他コンテンツプロデュース作多数。
黒川メディアコンテンツ研究所・所長。コンテンツとエンタテインメントを研究する黒川塾を主宰。現在、注目するカテゴリーはVR、AR、MR、AIなど多岐に渡る。