2018
06.29

【World MR News】MRから3Dスキャナーにイス型スピーカーまで! ユニークなサービスや製品が多数展示されていた「3D&バーチャル リアリティ展」をレポート

World MR News

6月20日(水)から22日(金)に、東京ビッグサイトで業界関係者向けの商談展「日本 ものづくり ワールド 2018」が開催された。このイベントでは、「設計・製造ソリューション展」「機械要素技術展」「ヘルスケア・医療機器 開発展」などが同時開催されていたが、本稿では最先端の3D技術や映像技術の体験ができる「3D&バーチャル リアリティ展」の中からとくに目に付いたブースをピックアップして紹介していく。

ダイテック:ARとタブレットを活用してマニュアルをペーパーレスに

ブース内にどんと置かれたバイクが目に付いた、ダイテックのブース。こちらで展示されていたのは、ペーパーレスで様々な情報をタブレットで表示できる『ARトリセツ』だ。その活用例である「炊飯器マニュアル」では、専用のアプリを起動して炊飯器をマーカーとして認識させることで、タブレットの画面内に各ボタンの機能が表示できるようになっていた。

また、「取説モード」以外にも「プロモーションモード」に切り替えることもでき、画面をタップすることで商品の魅力をアピールできる動画を表示することも可能だ。

アジア航測:映画『シン・ゴジラ』にも起用されたリアル空間の3Dモデリング技術

海・山・街といった大規模なものから工場施設の中など、リアルな世界を3次元化し、それを閲覧・編集・解析できるサービスを提供しているアジア航測。大規模なものではセスナにカメラを搭載し、山手線内側1周分のデータを作成。それが映画『シン・ゴジラ』の映画の中でも使われたという。

また、レーザースキャナを使って山などをスキャンし、森林に隠れた地形を把握できるほか、水中を透過するグリーンレーザーを使って海底のデータを撮影。それら海・山・街のデータをひとつにまとめて計測し、閲覧することができるサービスが展示されていた。

デジタルガーデン:「バーチャル試乗体験コンテンツ」や拡張現実砂場「iSandBOX」が展示

デジタルガーデンのブースでは、ムービングシートとヘッドマウントディスプレイを使用した「バーチャル試乗体験コンテンツ」が展示されていた。タブレットなどを使用して車の色やパーツなどを選び、その乗り心地などをVRで体感できるというもの。

自分が選んだオプションを、すぐにバーチャルで確認できるため、車を購入した後のイメージがしやすくなりそうだ。

また、国内販売店契約を締結したUniversal Terminal Systems社の『iSandBOX』も展示されていた。こちらはかなりユニークで、砂場遊びにプロジェクションマッピングを融合した玩具といった感じのものである。

砂の高さを自動で検知。穴を掘ると水が溢れてきて、山をもると木が出てくるといったインタラクティブな遊びが楽しめる。コンテンツは19種類用意されており、山の等高線を表示させたりタワーディフェンスゲームのように攻めてくる敵から自軍を守り、砂で防壁を作ったり砂をかけて攻撃するといった遊びもできる。

渋谷光学:全天球のスクリーンに映像を投影できる『Glopmal350』

全天球のスクリーンに、プロジェクターから出力された映像を表示し、地球儀のように360度の球体で楽しめる『Glopmal350』を展示していた渋谷光学のブース。元の映像は、市販されている360度カメラなどを利用したり、地球儀などに利用されているデータも投影したりできるという。

教育現場や社内のプレゼンテーション、イベント会場でのスライド上映など、様々な用途で活用できそうだ。

湧和有限公司:低価格で高速なキャプチャができる『OTO 3Dスキャナー』

約5分というわずかな時間でデータの取り込みができる、高速なハンディ3Dスキャナー『OTO 3Dスキャナー』を展示していた湧和有限公司のブース。実際にその場で実演してもらったが、あっという間に3Dのデータが取り込まれていた。メッシュデータだけではなく、テクスチャーも取り込むことができるので、お手軽に3Dデータ化を作りたいときにも便利そうである。

取り込んだデータはそのまま3Dデータとして利用できるほか、3Dプリンタで印刷も行えるという。価格は9000ドルと他社製品と比較して、3分の1ほどの値段に抑えられているところもポイントだ。

清原:合皮を使用して何度も使い回せるフェイスクッション

VRヘッドマウントディスプレイを使用するときにあると便利な、フェイスクッションを展示していた清原のブース。カラーバリエーションも豊富に用意されている。純正のゴーグルはスポンジになっているため、汗も吸いやすくファンデーションも付いてしまう。そこで、素材を合皮にすることでアルコールや軽い水洗いができるようにしているという。

ネットカフェや漫画喫茶などで使われることを想定しているそうだが、他社製の使い捨てタイプのものと比較して若干値段は高いものの、先ほどもあげたように洗って使い回すことができるため、ランニングコストは抑えられるという。

レッツコーポレーション:裸眼で3Dの映像が楽しめる4Kグラスレス3Dモニター

一時3Dテレビというのが売り出されて話題になったが、いつの間にか消えてしまった印象がある。レッツコーポレーションのブースで展示されていた『4Kグラスレス3Dモニター』はそれとは異なり、裸眼で3Dの映像が楽しめるといったユニークな製品だ。

裸眼の3D液晶というと、すぐに思い浮かぶのは『ニンテンドー3DS』だろう。あちらは「パララックスバリア方式」を採用したもので、このブースで展示されていたものは「レンチキュラーレンズ方式」を採用ものだ。

「パララックスバリア方式」は2重の液晶を使っており、スリットになっているため右目と左目で入射角が異なるから立体に見えるという仕組みである。メリットは低価格で実現できるが、映像が暗くなるというデメリットもある。また、視野角も狭くなる。

「レンチキュラーレンズ方式」は光学レンズを使用しており、メリットとしては透明なため暗くならずにそのままの色味で表示することができる。視野角も「パララックスバリア方式」よりは広い。しかし、デメリットとしては高くなってしまうという。同サイズでは、「パララックスバリア方式」と比較して概ね5~6倍のコスト差があるそうだ。

ちなみに同ブースでは、50インチと28インチのモニターが展示されていたほか、3Dカメラで取り込んだリアルタイムの映像を映し出していた。

ポケット・クエリーズ:MRで現場と遠隔地にいるユーザー間で時空間情報を共有するソリューション『QuantuMR』

ポケット・クエリーズのブースでは、5月に発表されたMixed Realityソリューション『QuantuMR』が展示。これは、東京電力と共同で開発しているもので、様々な現場をMR空間で構築し、『Microsoft HoloLens』を使って遠隔地にいるユーザーとコミュニケーションをしたり、映像・音声の共有や支援などが行えたりするというものだ。

メディアからの注目も高く、初日の6月20日にはテレビ番組の取材も行われ、ポケット・クエリーズ 代表取締役の佐々木宣彦氏が自ら説明を行う姿も見られた。

オーディオハート:防音にも優れたパストフューチャーなイス型スピーカー『VRS-1』

14個のスピーカーを内蔵しており、映画館にいるかのような迫力ある立体サラウンドが楽しめるイス型スピーカー『VRS-1』が展示されていた、オーディオハートのブース。見た目もパストフューチャーなデザインが採用されており、インテリアとしてのインパクトもかなりありそうだ。また、防音シェルになっているため、マンション住まいなどでもまわりを気にすることなくかなりの大音量で再生できるという。

ちなみに今回のイベント期間中は、アンプが付属して98万円で販売されていた。予算が許せば、個人的にも欲しくなるような製品だ。

 

■第26回 3D&バーチャルリアリティ展概要
開催日時:2018年6月20日(水)~6月22日(金)
開催場所:東京ビッグサイト
公式サイト:http://www.ivr.jp/ja/

Photo&Words 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑紙の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。