2017
06.26

黒川文雄のEyes Wide Open VOL.2「VRの向こう側~ 最新のVRは最高のVRだ」

EyesWideOpen

世にいるクルマ好きは自分の愛車に対して、それぞれ愛車論がある。

「ガンディーニやジウジアーロのデザイン」とか、「エンジンがV8で良く回る」、「エキゾースト(排気系)ノートが素晴らしい」などなど…それぞれのカーマニアの話を聴いていたらキリが無い。

かくいう自分もクルマ好きを越えて、クルマ馬鹿、バイク馬鹿と言われても仕方がない。私の視点はデザインとクルマのポテンシャル、そしてライフスタイルに合うかという点を重視している。

数ある名車のなかでも、21世紀になっても大きくブレることなくGTカー、スポーツカーを中心に生産する
ドイツのポルシェ。そのポルシェ・マニアたちは自身の保有する車両はもちろん素晴らしいと自画自賛している一方で、「最新のポルシェは最高のポルシェ」だと賛辞を惜しまない。

その理由は、ポルシェは常に過去にとらわれず、斬新であり、メカニックの頂点を目指そうする過程で生まれたマシンに対する賛辞に他ならないと思う。「最新が最高」という褒め言葉はクルマなどの工業製品に限ったことではない。つまり先に述べたように伸びしろのある製品や改善の可能性のあるものほど「最新が最高」と呼べるポテンシャルを秘めているのではないだろうか。

現在のデジタル・ゲームコンテンツの世界で、斬新さを強く求めるのはなかなか難しいが、現在、コンテンツの世界でそれを求めることができるのはVRコンテンツとその体験ではないだろうか。

 

去る、5月29日(月曜日)、株式会社セガ エンタテインメントからの招待で、クラブセガ秋葉原新館6階
フロアにオープンする施設『SEGA VR AREA AKIHABARA』にてウォーキングVRアトラクション
『MORTAL BLiTZ FOR WALKING ATTRACTION(以下:MORTAL)』を体験する機会に恵まれた。

このコンテンツ『MORTAL』は韓国のスコネック社のもので、ファースト・パーソン・シューティング(FPS)ウォーキングVRアトラクション。

コンテンツの概要は、お台場のジョイポリスのアトラクション『ZERO LATENCY VR(以下:ゼロ)』
(※)と同様に、ミッション開始前に上官からブリーフィングを受け、バックパック状のPCを背負い、
ヘッドフォン、マーカー付きのグローブ、電子マシンガンタイプの専用コントローラーを装備するところから始まる。
※)フリーロームによる6人同時マルチプレイのVRアトラクション

アトラクション・コンテンツは宇宙海兵隊VSエイリアンという設定だ。内容自体は体験していただくのが良いと思うが、特筆すべきは、アトラクションの中でのVR空間の設定と演出、さらには体験中のプレイヤーの誘導のために表示される各所でのインターフェイスが素晴らしく完成度が高い。

誘導されるがまま、プレイヤーが移動することへのストレスがほとんどなく、コンテンツ自体の体験の自由度の感覚の範囲が広いと言っていいだろう。中でも高低差を感じさせる演出がとても良く出来ている。また宇宙船内を移動している演出の感覚も秀逸で、思わず感嘆の声が出るほどであった。

このアトラクションの他のインプレッション記事を読んでみて思ったことだが、このアトラクションが広い
空間を利用している点を評価している点があった。しかし、私は逆の点で評価している。

VRアトラクションは移動する距離はそれなりになることはお台場の『ゼロ』で経験済なのだが、今回の『MORTAL』は移動に際しては床面のマーカーが点滅し、行く先を提示してくれることが大きなポイントだ。そのため、無駄にプレイヤーが移動することはなく、アトラクション体験エリアにプレイヤーがある程度の数が居たとしても衝突することなくVRアトラクションを体験することが理論上可能だと思う。

1人プレイが基本だが、エリア内にては同時に3人までプレイ可能、エリア移動をスムーズにさせることも、
実はVR酔いの軽減にも役になっているとのことだ。

ゆえに、クラブセガ秋葉原新館6階フロアという限られた立地であっても展開可能だと思われた。事実、
VRアトラクション・エリアがフロアすべてを占有しているわけではなく、セガのその他のアーケード用の
ゲームマシン(たとえば「バーチャロン」アストロ筐体)などが数台配置してあったことからもそのことが窺えるのではないだろうか。
※写真は『VR ZONE SHINJUKU』アトラクション体験会より

「マリオカートアーケードグランプリVR」体験中

お台場ジョイポリスで稼働中の『ゼロ』、そしてバンダイナムコエンターテイメントが『VR ZONE SHINJUKU』を、2017年7月14日から新宿・歌舞伎町の映画館だった「TOKYU MILANO(東急ミラノ座)」跡地にオープンすることを発表し、さらには渋谷でアドアーズ社が展開する『VR PARK TOKYO(ブイアールパークトーキョー)』、イオンレイクタウンにて展開する『VR Center』など、続々とVR体験アトラクションを展開する店舗や施設が増えている。

VRの未来にARがあり、ARの未来にMRがある。常に最新のテクノロジーが僕らの心を捉えて離さないように、最新のVRは最高のVR、そのコンテンツやテクノロジーの伸びしろはまだまだ未知数なのだ。
注)『SEGA VR AREA AKIHABARA』

当初の開業は5月31日の予定でしたが、システムの不具合調整のため2017年6月17日(土)より営業することになりました。絶賛稼働中。

 

韓国のスコネック社
http://www.skonec.com/common/
SEGA VR AREA AKIHABAR
https://tempo.sega.jp/tnsb/vr-area_akiba

 

<SEGA VR AREA AKIHABARA 概要>
名称:SEGA VR AREA AKIHABARA
アトラクション名:『MORTAL BLiTZ FOR WALKING ATTRACTION』
プレイ時間:8分~15分(お客さまのプレイ状況により変化)
プレイ人数:1人ずつプレイ プレイフィールドに最大3名
プレイ料金:1,500円
オープン日:2017年2017年6月17日(土)
会場:クラブセガ秋葉原新館 6階
住所:〒101-0021 東京都千代田区外神田1-11-11外神田1丁目ビルディング 6階
アクセス:JR秋葉原駅電気街口より徒歩3分中央通り沿い

筆者: 黒川文雄(くろかわふみお)
1960年、東京都生まれ。音楽ビジネス、ギャガにて映画・映像ビジネス、セガ、デジキューブ、コナミDE、にてゲームソフトビジネス、デックスエンタテインメント、NHN Japanにてオンラインゲームコンテンツ、そしてブシロードにてカードゲームビジネスなどエンタテインメントビジネスとコンテンツの表と裏を知りつくすメディアコンテンツ研究家。ジャーナリスト、コラム執筆家、アドバイザー・顧問。
『ANA747 FOREVER』『ATARI GAME OVER』(映像作品)『アルテイル』『円環のパンデミカ』他コンテンツプロデュース作多数。
黒川メディアコンテンツ研究所・所長。コンテンツとエンタテインメントを研究する黒川塾を主宰。現在、注目するカテゴリーはVR、AR、MR、AIなど多岐に渡る。