05.01
【World MR News】ニコニコ超会議2017レポート
4月29、30日に幕張メッセにて開催された「ニコニコ超会議2017」。2日間で約15万4,600人が来場したと報じられており、昨年の来場者数(15万3000人)を上回る数となった。「拡現人」編集部では、特に3D、VRに関連するコンテンツブースの様子を紹介しよう。
■「VR蓮舫」
民進党代表の蓮舫さんがどんどん追求してくる様子を疑似体験できるというもの。一時、2時間待ちという列が出来たと多数メディアで報じられている。
■「VR力士」
こちらもVRヘッドゴーグルをつけ、土俵に上がると、ザ・力士が迫ってくる、というもの。ただ、「VR蓮舫」よりも体感度合として工夫されていたのが、本当にまわし姿の力士の方や運営スタッフが、向かい側に登場してくれる。バーチャル上で力士が迫ってツッパリ技を出してくるときに、運営スタッフがVR力士と同じ動きで押してくるのだ。(もちろん、決して怪我などしない程度で)
いずれも「VR」コンテンツの中では非常に大きな話題性を集めていながらも、やはり結局視聴体験できずに諦めるお客さんが多い、実際に体験している人のエキサイティングな臨場感が観客に伝わりずらい、という点においては、いささかもったいないというのが率直な感想である。もっとより多くの一般客にも体験のチャンスを与えられるような場の工夫も今後必要となるのではと感じた。もちろん、そのほかの「VR」コンテンツでも比較的に並ばずに体感できるものも多いが、まだまだ使用に際しての注意事項やゴーグル以外にも装着が必要なものなどが多いため、このあたりの改善も、一般浸透速度の鍵になってくるのではないかということは周知の通りである。
そんな中、「列に並んでいる間も退屈せずに楽しめる!」という、異色の大きなブースがあった。
■「石黒研究室の恋愛実験神社」
アンドロイドの開発で知られる、大阪大学知能ロボット学研究室(石黒研究室)と、ニコニコ神社がコラボした企画で、「タッチパネルを使った選択式会話は自由会話よりも距離が縮まるのか」を検証するものだそう。
STEP1:男女1対1(面識の無い超会議来場客)がそれぞれ個室に入り、
STEP2:自由な会話は禁止。タッチパネルに毎回表示される2択の言葉から選択し発話、トークラリーを行う。
STEP3:終了後、おともだちから始めても良いと思ったら先に進む、もしくは戻る。
STEP4:神さま(視聴者皆さま)と感想トーク。
という流れになっている。実際このトークの内容は並んでいる間、観客として他の被験者たちの様子を見ることができるのだ。また、結果は、ほとんどの男女が、「もっと相手のことを知りたいから」という気持ちになり、カップルとしてブースから出てくるのだとか…。
最後に、抜群の集客力を誇る歌舞伎と3D技術の融合コンテンツについて。
■「超歌舞伎 花街詞合鏡(くるわことばあわせかがみ)」
この超歌舞伎は、歌舞伎俳優の中村獅童とバーチャルシンガーの初音ミクが共演するもので、昨年からニコニコ超会議の目玉のひとつとされ、「今昔饗宴千本桜」に続く2作目となる。
やはり「歌舞伎」と「初音ミク」ということで、鑑賞するにはライブ会場が一番であろうと言いたいところではあるが、本演目はニコニコ動画上で生放送され、劇の最後には動画視聴者からの「言葉~メッセージ」によって、実際の舞台上での物語のクライマックスへ導く仕掛けとなっているので、インターネット上での視聴も充分楽しめるメリットがあるのだ。
(初音の見事なホログラム度合に圧倒されつつ、やはりところどころこういった反射が見えるシーンも)
「歌舞伎」の持つ“日本伝統の凄み”と「初音ミク」の持つ“新技術=ヴァーチャル”、両方が揃うことによって、これまでどちらか単体のファンだった客層もミックスされ、これだけの舞台に変化するというのは、実に見事なアイデアである。「日本では、ホログラムのヴァーチャル女優と、有名歌舞伎役者が舞台上で共演している」というのは、日本が世界に向けてもっともっと誇って発信して良いコンテンツのひとつではないかと感じた。
超歌舞伎で使われた技術
イマーシブテレプレゼンス技術「Kirari!」
http://www.ntt.co.jp/news2015/1502/150218b.html
インタラクティブ展示「変身歌舞伎」
http://www.ntt.co.jp/news2016/1609/160920a.html
アングルフリー物体検索技術
http://www.ntt.co.jp/news2015/1502/150216a.html
同期コンテンツ配信システム「DAHLES」
http://dwango.co.jp/pi/ns/2017/0331/index.html