2020
02.04

【World MR News】VR系ライドや空中映像技術、360度カメラなど話題のコンテンツが登場――「Inter BEE 2019 / DCEXPO 2019」20社ブースレポート《後編》

World MR News

11月13日から15日までの3日間、千葉・幕張メッセで最新の映像や放送、通信、メディアビジネスなどが一堂に会するイベント「Inter BEE 2019」と、先端コンテンツ技術とデジタルコンテンツをテーマにした国際イベント「デジタルコンテンツEXPO 2019」(DCEXPO 2019)が同時開催された。

本稿では両イベントの中から、特に目についたブースを前半と後半に分けて、20社をピックアップしてご紹介していく。

■「ハシラス」ブース

VR系ライドなどを手がけてきたハシラスのブースでは、同社が開発したパーソナルモビリティ型VRライドデバイス『キックウェイ』が出展されていた。こちらは、わずかなスペースでかつ低コストな筐体を採用しており、VRコンテンツが楽しめるというもの。

前後加速度と左右旋回速度で本物のライドに乗っているかのような気分を体験することができるのが特徴だ。

▲写真左が『イマーシブ・ディスプレイ』で右が『キックウェイ』。

また、VRヘッドマウントディスプレイなどが不要で、没入体験ができる『イマーシブ・ディスプレイ』の展示も行われていた。こちらは大型ディスプレイと姿勢認識用深度カメラを組み合わせたもので、画面に映し出されているキャラクターを左右に避けたりジャンプやかがんだりしながら操作を行っていくというもの。

実際に体験してみると思った以上に運動量が多く、疾走感も楽しむことができた。友人などと一緒にプレイすることで盛り上がること間違いなしだ。

■「パリティ・イノベーションズ」ブース

パリティ・イノベーションズのブースで展示されていたのは、置くだけで空中に映像が浮かび上がって見える光学素子『パリティミラー®』使ったデモの展示が行われていた。ある程度見る角度は限られるものの、たしかに立体的に見えるので応用範囲は広そうだ。

展示されていたデモでは、ボタンが見える位置から指を出すと照明のスイッチを操作することができたほか、浮かび上がったタンポポに触れることで胞子が飛ぶといった、インタラクティブな演出が楽しめるようになっていた。

■「リンクトブレイン」ブース

リンクトブレインブースに展示されていたのは、バーチャルキャラクターを使用した社内受付システムだ。ディスプレイそのものはタッチパネルではないが、Leap Motionを使用することでタッチパネルのような操作でメニューなどが選べるようになっていた。

キャラクターとの会話を進めていくことで、担当者にチャットワークのメッセージが行くようになっている。

■「大日本印刷」ブース

大日本印刷のブースでは、世界遺産にもなっている仁和寺の国宝『金堂』を高精細なVRとしてコンテンツ化したものが展示されていた。やや離れたところで見るとデジタルで作られたものといった感じではあったが、実際に間近に近づいてみても絵の繊細さは損なわれて折らず、十分に干渉に耐えられるものになっていた。

■「東京大学大学院情報学環 暦本研究室/ソニーコンピュータサイエンス研究所」ブース

東京大学大学院情報学環 暦本研究室とソニーコンピュータサイエンス研究所が共同で出店していたブースでは、深層学習によるサイレントスピーチインタラクション『SottoVoce』(ソット・ヴォーチェ)が展示されていた。

こちらは、超音波エコー映像を使って、喉の部分にデバイスを当てることで発生できるようになっていた。利用用途としては、病気などで声帯を失ってしまった人の利用や、あるいは電車の中など声が出せない状況で音声会話ができるといったものが考えられているそうだ。

■「Insta360」ブース

中国深センに拠点を持つShenzhen Arashi Visionは、同社のブランド『Insta360』のブースを出展。会場内で8Kのライブストリーミングの様子が見られたほか、8つの200度魚眼レンズと4つのマイクを搭載して最大11K解像度に対応した360度カメラ『Insta360 TITAN』をはじめ、同社の製品のラインアップが展示されていた。

▲人だけではなく、犬にも装着ができるのは面白い。ブース内では、VRゴーグルでも『Insta360』で撮影した動画の体験ができるようになっていた。

■「スタジオエビス」ブース

スタジオエビスのブースでは、360度VRムービーを撮影するプロチームによる高精細360度12K動画のデモ展示が行われていた。撮影チームはアクションカメラなど複数台を組み合わせて撮影を行い、8Kや12Kといった高解像度の360度VRパノラマムービーを制作する。

スティッチングの全工程もプロのスタッフが対応。VRヘッドマウントディスプレイやYouTube、ブラウザー、イベント会場内のモニターなどニーズに合わせた各種フォーマットにも対応することができるそうだ。

■「ドリーム」ブース

3次元指向制御に優れた遠達性と、明瞭度を合わせ持つ次世代拡声システム『Just Hit』を展示していたのは、ドリームのブースだ。新開発のマルチセル型平面波スピーカー16個とDPSを内蔵した16チャンネルデジタルパワーアンプを搭載しており、スピーカーごとに上下左右に指向制御が行えるようになっている。

会場内では、「日本語」「英語」「中国語(しゃがんで)」と書かれた紙が置かれており、それぞれの場所に移動することでその国の言葉が聞こえるようになっていた。同時に多国語で説明をしてもほかの音が干渉しないのは、なかなか新鮮な体験だ。

■「ヤマハサウンドシステム」ブース

ヤマハサウンドシステムのブースでは、「Active Field Control」(以下AFC)のデモが展示されていた。このAFCは、空間の音響状況を変えるためのシステムだ。通常コンサート会場などでは、吸音カーテンを引いたり天井の高さを変えて、音の響きを長くしたりする。それを、電気音響的なアプローチで再現したものだ。

マイクから拾った信号をプロセッシングし、スピーカーから出力。その音がまた戻ることで、空間全体の音のエネルギーが上がり音の響きが変化するという仕組みである。通常のリバーブと大きく異なる点は、演奏だけではなく空間の音にも効果があるところだ。そのため、観客の拍手にも効果があるそうだ。

同ブース内では、このAFCをVRで簡易的に体験することができた。映像はコンサートホールで女性の歌手が歌っているというものだったが、後ろを向けば頭の方から音が聞こえるなど、音の指向性もわかるようになっていた。

■「よしみカメラ」ブース

よしみカメラのブースでは、細かな説明不要で直感的に操作ができる8K映像再生にも対応した『VR 双眼鏡』が展示されていた。『VR 双眼鏡』はHMD内蔵式と交換式の2種類があり、後者は『GearVR』用のアタッチメントが付属している。価格はいずれも60万円(税別)からだ。

▲見た目はほとんど普通の双眼鏡なので、わかりやすい。VR特有のとっつきにくさがないので、老若男女問わず扱えそうだ。

■Inter BEE 2019概要

名称:Inter BEE 2019/(第55回)2019年国際放送機器展

会期:2019年11月13日(水)~11月15日(金)10:00~17:30

会場:幕張メッセ

主催:一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)

■デジタルコンテンツEXPO 2019概要

名称:デジタルコンテンツEXPO 2019

会期:2019年11月13日(水)~11月15日(金)10:00~17:30

会場:幕張メッセ

主催:一般財団法人デジタルコンテンツ協会

PhotoWords 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑誌の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。