2019
05.15

【World MR News】遠隔支援サービスから脳波分析、家電のスマートホーム化まで! 日本最大のIT展示会「第28回 Japan IT Week 春」をレポート

World MR News

日本最大のIT展示会「第28回 Japan IT Week 春」が、5月8日から10日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された。本イベントは、「ソフトウェア&アプリ開発展」「セールス自動化・CRM EXPO」「組込みシステム開発技術展」「データセンター&ストレージ EXPO」「情報セキュリティ EXPO」「Web&デジタル マーケティング EXPO」「クラウド業務改革EXPO」「IoT/M2M展」「次世代EC&店舗EXPO」「AI・業務自動化展」といた10の専門分野が一堂に集結して行われる展示会だ。

本稿ではその中から、特に目に付いたものをピックアップしてご紹介していく。

■「ジャパンメディアシステム」ブース

「第9回 モバイル活用展【春】」の「ジャパンメディアシステム」ブースでは、同社が開発したWeb会議システム『Live On』が出店されていた。こちらは最大150画面まで同時表示が可能になっており、音声の途切れや遅延がなくCDクォリティのクリアな音質でコミュニケーションが行えるシステムである。

今回のイベントでは、現場支援向けのものも出店されていた。エプソンの『BT-350』や『BT-2000』『BT-2200』といった両目覗くタイプのスマートグラスに対応しているほか、『HMT-1』や『M300XL Smart Glasses』『WAT-O2U2D』『WAT-O3U2D』などの固め覗くタイプのウェアラブル端末にも対応している。

これらは遠隔支援で使われるが、こうしたものは通常1対1のコミュニケーションに限られる場合が多い。しかし、同社のシステムでは多拠点を繋いで使用できるところが特徴だ。録音・録画機能を搭載しており、作業の記録をすることができる。主に使用される場所としては、建築現場や発電所、設備点検などで使われることが多いという。

▲会場では、Web会議システム『Live On』のデモも行われていた。

■「日本マイクロソフト」ブース

「第9回 モバイル活用展【春】」の「日本マイクロソフト」ブースでは、同社の人気タブレットPC『Surface』や『Microsoft 365』、『Dynamics 365』といった、チームの力を最大限に高めるソリューションを中心に、展示やデモが行われていた。注目度が高かったためか、ブースの周りはかなりの人で埋め尽くされていた。

▲こちらは『Microsoft Teams』のデモ。多くの人が足を止めて見ていた。

▲おなじみ『Surface』も、各ラインアップがずらりと並べられており、実際に触れる状態になっていた。

▲『Microsoft 365』、『Dynamics 365』『HoloLens』の紹介も行われていた。

また、同ブース内の『Dynamics 365』と『HoloLens』のコーナーでは、日立ソリューションが出展。こちらでは、『Microsoft Teams』と『HoloLens』を連携したソリューションが展示されていた。スマートグラスの活用例では、双方向で共有側に制限があったり、複数拠点同時接続といったことが難しかったりといった課題があった。また、スマートグラスの中からドキュメントを見たいときや現地で撮影した動画を共有したいときなどにも困ってしまう。

そしたときに、今回同社のソリューションでは双方向のやりとりや同時複数拠点で『HoloLens』の情報共有などをやりやすくしている。今年の末頃に発売が予定されている『HoloLens2』への対応に関しては、まだまだ未確定な部分はあるが特別な対応は不要になると考えているそうだ。

■「電通サイエンスジャム」ブース

「第13回 Web&デジタル マーケティング EXPO【春】」の「電通サイエンスジャム」ブースでは、脳波を計測してリアルタイムで感性を把握する技術を活用した、3つのアプリケーションが展示されていた。

脳波を測定し、それをカラーチャートのようなネガティブとポジティブ、活性、不活性の4つの軸上に表示。自分の感情がどのような状況にあるかを可視化している。展示ではゲームボーイが置かれており、それをプレイ中の感情の動きなども測定できるようになっていた。

ちなみにゲーム慣れしているユーザーは、特に頭を働かさなくとも勝手に手が動く。そのため、グラフも下の方で安定して動く傾向にあるという。ゲームプレイで失敗したときは、ネガティブの位置に動く。逆にうまくいっているときは、ハッピー側の位置に動くそうだ。

▲2軸で感情の動きを可視化することができる。

▲色の変化で感情の動きが読み取れる。

これらは2軸による表示だが、複数の感情をグラフで表示することも可能だ。1秒ごとに感情の動きを表示し、ストレスや好き度、興味度、集中度といった感情を表示する。同社ではこれらを使い、マーケティングや製品開発に活用しているという。すでにサイゼリアなどのサービス業界でも使われており、メニューの開発や店舗改装などにも使用されている。

同社で提供しているサービスとしては、アプリケーションを貸し出して社内で自由に使ってもらうというパターンと、実験の計画から分析まで一括で引き受けるというふたつのパターンで展開している。

同社では、2年ほど前にVRゴーグルに脳波計を装着した『BrainVR』と呼ばれるものも開発している。こちらはスマートフォンを使ったVRゴーグルだが、脳波の状況によって表示される映像が変化するというものになっている。たとえば女の子が3人映っているときに、一番好みの女の子のストーリーが選ばれていくといった感じだ。

また、ストレスを必ず下げる映像を見せることで、ストレスを低減していくといったものも制作している。

これらで目指しているもののひとつに、鬱になる人の前兆がわかるようになる予防医学などで使えないか考えているという。たとえば、病気になる一歩手前の人の脳波を読み込むことで、ストレスが溜まっているアラートを出すことができる。「働き方改革」が叫ばれている中で、社員のストレスケアも必要となってくる。日本人はなかなかホンネを表に出さないと言われているが、それをしっかりとキャッチできれば役に立てると考えているそうだ。

また、脳波で計測した結果で、その人の状態をより良くするという目的もある。たとえば教育分野で、子供の集中度を上げるためにどうすればいいのかといったことや、集中は出来ないけど他の能力に長けているなど、人それぞれにあった能力を発見するといったことも、脳波の測定からできると考えているそうだ。

■「イー・ビジネス」ブース

「第3回 店舗ITソリューション展【春】」の「イー・ビジネス」ブースでは、世界最高峰の顔認証システムCRM『Retail eye』を始め、中国の先端テクノロジーが紹介されていた。

『Retail eye』は、店舗用のマーケティングのデータ分析をするためのツールだ。AIカメラを使って顔認識を行い、年齢、性別、何回訪れたかといった回数を統計チャートとして表示することができる。実際にこのブースでもリアルタイムに計測されたデータが表示されていた。

▲こちらは顔認証システムCRM『Retail eye』。グラフで統計データも見られる。

中国では決済などにSNSアプリの『WeChat』が使われているが、そちらに対応したサービスが『QRorder』だ。こちらは『WeChat』のミニプログラムを活用したもので、QRコードを読み取ることで簡単に注文と決済が行える。

▲中国に訪れたときの観光などにも活用できそうな、『QRorder』。

中国の観光客が日本に多く訪れている……という光景は、もはや日常茶飯事だ。来年はオリンピックイヤーということもあり、ますます増加していく傾向にある。そんなとき役に立つのが『TuGO』というアプリである。アプリで商品を検索することで、商品画像認識に特化したAIエンジンが詳細を表示してくれる。中国の観光者は、このアプリで商品を写真に撮影するだけで、詳細を中国語で情報を表示できるため、日本語の出来ない中国人観光客にも対応することができるのだ。

▲『TuGO』で商品を検索した結果。

■「WOAN TECHNOLOGY」ブース

「第9回 モバイル活用展」の「WOAN TECHNOLOGY」ブースに出展されていたのが、自宅にある家電に繋ぐことで、スマートホーム化を実現できるスイッチ『SwitchBot』だ。こちらは、米国Wonder Labsが開発したもので、スイッチやボタンを機械的に制御できるIoTロボットである。

▲ツメのような部分が動き、スイッチ部分を物理的に操作する感じだ。

具体的には部屋の明かりを制御するスイッチをコントロールしたり、洗濯機や乾燥機の電源を切ったりすることができる。スマホ専用のアプリを無料でダウンロードして制御できるほか、IFTTTを使って独自の設定を作ることも可能だ。すでに家電量販店やホームセンター、ディスカウントストア等で販売が開始されている。 

■開催概要

イベント名:第28回 Japan IT Week【春】後期

主催:リード エグジビション ジャパン株式会社

会期:2019年5月8日(水)~10日(金)

時間:10:00~18:00(最終日のみ17:00終了)

PhotoWords 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑誌の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。