2019
04.22

【World MR News】日本マイクロソフト、ファーストラインワーカーの働き方を改革する「Xインテリジェンス・センター」を6月に開設

World MR News

日本マイクロソフトは、4月18日に東京コンファレンスセンター品川で現場の最前線で活躍する従業員の働き方改革推進に関する記者説明会を開催。そこで、今年の6月3日に「X(クロス)インテリジェンス・センター」を開設すると発表した。

日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド&ソリューション事業本部長 兼 働き方改革推進担当役員 手島主税氏。

同社では、2020年に向けた注力分野として「インダストリーイノベーション」「ワークスタイルイノベーション」「ライフスタイルイノベーション」の3つのイノベーションを推進している。

その中の「ワークスタイルイノベーション」に合わせて昨年発表されたのが、「働き方改革Next」だ。こちらでは、将来日本を支える子供たちの学び方や先生の教え方改革や、異業種を含めたミレニアル世代の働き方改革を推進している。それに加えて、今回の発表では最前線で働く「ファーストラインワーカー」に焦点を当てている。

日本の生産年齢人口は減少し続けており、2025年には7230万人まで減ってしまうと予想されている。そのなかで、ファーストラインワーカーと呼ばれる従業員の数は、国内は4000万人とかなりの割合を占めている。ちなみに、日本の生産年齢人口は2030年には6300万人まで減り、2025年から900万人ほど減少すると言われている。

働き手が減ってきている中で、同社では何が課題になっているのかリサーチを行った。その結果、「現場での孤独感」「学習できない」「紙ベースのものが多すぎる」「誰に聞いていいかわからない」「シフトがきつい」「危険」といった6つの課題があることがわかったという。

そうした課題の支援に向けて6つのシナリオを用意している。ここで伝えたいことはシンプルで、「社員ひとりひとりにパワーを与えたい」ということだと手島氏はいう。社員にパワーを与えるためにも、全員が同じ情報を共有することでビジネスプロセスを最適化していく必要がある。そして重要なのが「セキュリティ」だ。最前線で働く人々は、企業の顔でもある。最初に顧客と接するだけではなく、ブランドの価値を提供も行っているからだ。しかし、なかなか整備が追いついていない企業が多いのも事実である。

そこで同社では、ワンプラットフォームの中で様々なデータを保護し、企業全体の生産性向上とセキュリティ強化を提供していく。

売り上げの見込みや営業案件、設備のメンテナスなどのデータは、細分化されており一貫して繋がっているケースは少ない。そこで同社では、「デジタル フィードバック ループ」というものを提唱している。これは、ビジネス全般におけるデジタルシグナルを様々な角度から収集し、それに対するデータを繋げる部分と合成する。その結果として、ビジネス成果の改善に繋げるというものだ。

この「デジタル フィードバック ループ」をどのように実現すればよいかわからないという企業のために、同社が6月3日付けで新たに開設するのが「X(クロス)インテリジェンス・センター」だ。

こちらでは、同社に所属する各種データのスペシャリストが、企業の実現したい業務とそれに対する各種データをどのようにすればよいのか支援をおこなっていく。ここでやりたいことは、データを活用することで顧客にインテリジェンスを獲得してもらいたいということだという。

■事例紹介:小柳建設

続いて事例紹介として、小柳建設 代表取締役社長の小柳卓蔵氏との中継が『Teams』経由で行われた。同社では、建設現場でマイクロソフトのMixed Realityを活用したプロジェクト「Holostruction(ホロストラクション)」や、『Teams』、『Yammer』を使用したコミュニケーションなどを活用している。

『HoloLens』は、2018年より社内の実証実験を開始。これにより、基本設計や変更などの対応が早くなったという。また、『Teams』や『Yammer』についても社内の仕事のスピードが上がった。無駄な電話やメール、会議が劇的に減り、建設業界にありがちな現場が孤独になってしまうという状況も改善することができるようになった。

小柳建設 代表取締役社長 小柳卓蔵氏。

■事例紹介:亀田メディカルセンター

2件目の事例として紹介されたのが、亀田メディカルセンターだ。こちらもCIOの中後淳氏との中継が行われた。亀田メディカルセンターでは、医療現場のリアルタイムコミュニケーションを実現するために『Teams』が活用されている。

一般的に、先端技術の部分ばかりが目立つ医療分野だが、それに対して現場はものすごく後れていると中後氏はいう。今も古いPHSが当たり前のように使われており、連絡帳もひとつずつ入れる必要があるといった感じだ。

そこで、ある診療科が『Teams』を導入したところ、大きな効果を上げることができた。たとえば、グループに一斉送信するということは、PHSでは実現できないことである。

経営状況の可視化では、『ダッシュボード』を活用して共有化している。これまでは、なんとなく患者が減っているという感じだったのが、可視化されることで話し合いをするようになり、それがPDCAを回していくための大切なツールになっているのだという。

■パートナー5社からも新たなソリューションがリリース

日本マイクロソフトの「ファーストラインワーカー」への取り組みは、同社だけでは実現できないため、パートナーとのエコシステムが重要となってくる。そこで、最前線の現場をよく知る企業のパートナーも強化している。今回の発表に合わせて、大塚商会、チェンジ、TRIART、富士ゼロックス、富士ソフトの5社から新しいソリューションがリリースされる。

PhotoWords 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑誌の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。