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【World MR News】最新XR技術が集結したイベント「Inter BEE 2018×DCEXPO」レポート②
11月14日から11月16日までの3日間、千葉の幕張メッセで先端デジタルコンテンツ技術をテーマにした国際イベント「デジタルコンテンツEXPO」と、音と映像と通信のプロフェッショナルイベント「Inter BEE 2018」が同時開催された。本稿ではその中から、5つのブースをピックアップしてご紹介していく。
ハニカムラボ「aicontainer:カスタマイズ可能なビジュアルAIソリューション」
「VISUAL」「AI」「DATA」の3つの要素をカスタマイズできるソリューション「aicontainer」を展開しているハニカムラボ。同社のブースでは、この「aicontainer」が体験できるものとして、ハニカちゃんの対話システムと「おしえてせとかくん」の対話システムが出展されていた。
「ハニカちゃん」は、パネルに写ったキャラクターに話しかけることで、会話を楽しむことができるというもの。会話によって様々なアニメーションが見られるほか、画面も大きいため、見た目のインパクが強い。
「おしえてせとかくん」は、タブレットやスマホで利用できるもので、声で話しかけることでふたつの選択肢の中から答えを選んでいくというコンテンツだ。視覚的にもわかりやすく、より身近にAIが感じられるコンテンツとなっていた。
Laval Virtual「VAIR Field」
フランスで開催される世界最大のVRフェスティバル「Laval Virtual」のブースでは、CENOTEの『VAIR Field』が展示されていた。これは銃や弓形のデバイスを使用し、VRサバゲーのようにお互いに撃ち合って戦うフィジカルeスポーツで、子供でもVRが体験できるというのがコンセプトとなっている。
また、今年の流行語にもなった「eスポーツ」だが、完全に画面の中でフィジカルな要素がない。それに対して、フィジカル100パーセントのところに、テクノロジーが少し乗っかっているようなものにしたいというアイデアから生まれている。
銃型のデバイスはスマートフォンを装着して使うのだが、このスマートフォン自体には触ることなく操作できるように工夫がされている。弾は普通の銃のようにトリガーを引くことで出るようになっている。弾切れを起こしたときは、マガジンを別のモノに取り替えていくといった感じだ。このマガジンの種類によって、弾の種類や弾丸数も管理されている。
先端にあるスイッチで、フルオートとシングルショットの切り替えも可能だ。しかしフルオートでは集弾性能がやや落ちてエイムがブレる。通常のFPSなどでは、画面にレティクル(照準)が表示されるが、その代わりにアイアンサイトを利用して狙いを定める必要があるというこだわりぶりである。
弓形のデバイスは重量もあり、しっかり引かないといけない。ひずみゲージが入っており、力の具合を送信しているため、強力なリムを使うことで大きな値を出すことも可能となっている。
さらにユニークな点としては、角度を付けて弓を放つことで曲射モードになるところだ。これにより、上空から10本の矢を相手めがけて放つことができるという。
首都大学東京池井研究室/NTTコミュニケーション科学基礎研究所「TwinCam Go : 全天球立体映像と回転制御椅子による搭乗感覚のリアルタイム共有」
首都大学東京池井研究室とNTTコミュニケーション科学基礎研究所が共同で出していたブースでは、セグウェインに取り付けた全天球リアルタイム立体視システム(TwinCam)の映像を、VRを使って全方位で見ることができるソリューションを展示していた。
VR装着者は電動回転椅子に座ることで、セグウェイ側の方向や走行中の路面変化などの情報が身体的フィードバックとして反映されるようになっている。
2台の全天球レンズを使用しており、正しい両眼視差が得られるようになっている。これにより、まるで自分がセグウェイに乗っているかのような感覚を体験することができるのである。
同システムは遠隔プラントや土木インフラ診断、バチャール旅行同行などに応用されることを想定しているとのこと。
Wizme「VR Gallery」
VRを活用したアートが楽しめる『VR Gallery』を展示していたWizmeのブース。世界の有名絵画を鑑賞するには、実際に現地の美術館などに足を運ぶ必要がある。また、実際に美術館に行っても、人混みの中の合間から見ることになる。これらには、時間的や空間的な課題があるのが現状だ。
しかし、VR空間を活用することでそうした課題を解決できるというのが、こちらのコンセプトである。
最近は美術館側で、オリジナルの海外を高解像度で公開するという大きな流れがある。それらを上手く活用し、VRで再現できるではないかと考えたという。また、VR空間で高画質の絵画を鑑賞するだけではなく、絵画に近づくことでその世界に入り込めるようになっている。
こちらは実際の作品そのものを再現するというよりも、モチーフをつなぎ合わせることで新たな体験をすることができるものとして作られている。2次元の絵はフレームに収まっており、筆と絵の具というツールが限られている。そうしたものに最新の技術や音楽、解説などを組み合わせて複合的に楽しめるコンテンツ作りが可能となっている。
IVR「Vカツ」
シス(IVR)のブースでは、手軽に3Dアバターが作れるサービスの『Vカツ』が展示されていた。PC向けにSteam版が無料で配信されているほか、iOS版もリリースされており、外出中に作ったキャラクターをデータ共有でPC側に持って行くことも可能となっている。ちなみに、Android版は後日対応予定とのこと。
ドワンゴのVRライブ・コミュケーションサービスの『バーチャルキャスト』にも対応しているほか、最近はVTuberなど3Dアバターを活用したサービスが増えている傾向にあり、それらでも活用できる「Vカツコネクト」というサービスも今年の年末から来年頭に掛けて提供開始する予定である。
この『Vカツ』が目指すところは、「1億総アバター」だ。これはVTuberなどに限ったものではなく、たとえばGmailのようなものにキャラクターが紐付いており、SNSなどのアバターやアイコンなどに利用されるようなものになるというイメージである。
3Dアバターはまだまだハードルが高いイメージがあり、一般の人たちにとっては手が出しにくい印象だ。そのハードルを下げ、誰でも簡単に利用してもらえるようにしたいという。
Photo&Words 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑紙の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。