01.18
【World MR News】ディズニーが導き出した方法論――「ARコンテンツは、いかにして現実世界の障害物に対応するか」
皆さんおなじみのディズニーが、とても画期的なARを発表した。それは、周囲の物理的環境によって動きを変えるキャラクターである。
たとえば、あなたのリビングにARのポーグ(※『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』に登場するキャラクター)を表示させたとしよう。ディズニーが今回開発した技術を応用すると、ARのポーグは現実の階段を上がることができるのだ。
そればかりか、ペットの子犬がじゃれつくと、ポーグはこてんと倒れてしまう。
さて、このAR技術における重要なポイントは、キャラクターの動きにある。まず第一に各キャラクターの骨格構造や関節の動作を明確にし、さらには物理的環境の変化に合わせたキャラクターの動きをモデリングしていった。
試行錯誤の結果、研究者たちは、得意のアニメーションを3Dキャラクターに応用したのである。こうして、キャラクターたちは現実世界の変化に合わせて動けるようになった。
また、キャラクターが周囲の環境をスキャニングする方法には、事前に決めたサンプルの物体と、Vuforia(※Qualcomm社のAR制作ライブラリ)の認識技術を用いている。
キャラクターたちは、あらかじめ識別したサンプルをもとに動くようインプットされており、インテリジェンスを持って反応することが可能となった。
たとえば、扇風機のプロペラを前にすると、キャラクターはその場で立ち止まるようにできている。
研究の全文は、ディズニーリサーチのウェブサイトでダウンロードして欲しい。
この、ディズニーの目覚ましい躍進は、アメリカ光学会によって発表された最新の研究結果を補足している。
今回の発表にともない、アリゾナ大学の光学研究者2人は、「現実」と「ヴァーチャル」という相反する2つの世界を上手く噛み合わせることに成功した。(この2人は、以前にも「現実の物体」の前後に「仮想の物体」を置くという実験と、そこから導き出された理論を展開している)
では最後に、ディズニーによるこの技術が、ARの進歩にどのような影響を与えるのか、という観点から話をしたいと思う。それは、リアリズムの追及だ。
現状、SnapchatやARkitにおけるAR体験は、「仮想の物体」を水平な面に固定することはできるが、ユーザーを取り囲むすべての環境に適合し、変化に対応することはできていない。
ディズニーは今、それを可能にしようとしている。
そう遠くない未来では、ダンシングホットドッグのARを、自分の手に乗せて遊ばせることもできるだろう。Snapchatがびっくり仰天するその日が、待ち遠しくてたまらない。
(※ダンシングホットドッグ=Snapchatで流行しているキャラクター)