2019
10.20

【World MR News】空飛ぶクルマやロボットなどレトロフューチャーな空想世界が現実に近づいた!?――「CEATEC 2019」レポートその③

World MR News

一般社団法人電子情報技術産業協会、一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会、一般社団法人コンピュータソフトウェア協会の3団体で構成するCEATEC 実施協議会は、10月15日から18日の4日間、千葉・幕張メッセでCPSとIoTの総合展示会「CEATEC 2019」を開催された。本稿ではその中から、主にドローンやロボット関連の出展を中心にレポートする。

■「タイコ エレクトロニクス ジャパン合同会社」ブース

タイコ エレクトロニクス ジャパン合同会社のブースでは、『HoloLens』を使って、次世代モビリティを実現するための接続技術の紹介が行われていた。「車両から環境への通信」「車両から車両への通信」「車両から自宅への通信」という3つのストーリーが体験出来るようになっており、エアタップなど複雑な操作は行わずカーソルを合わせることでコンテンツが見られるようになっている。

▲白いオブジェクトに重なる形で、CGによる道や車が動いている様子が『HoloLens』越しに見ることができる。

同社がスポンサーをしているrFlightチームの、超小型ひとり乗り飛行装置「空飛ぶクルマ」のモックアップも展示されていた。乗り物としては『風の谷のナウシカ』に出てくるメーヴェの羽を小さくしたようなスタイルで乗り込むものになっており、そこで使われている様々なパーツも同社が提供している。

こちらは、Boeingがメインスポンサーの「GoFly」コンテストに向けて開発中のものだ。このコンテストは、約32キロを燃料補給や充電をせずに飛ばすという国際コンテストである。ちなみに、垂直離着陸ができるところも特徴のひとつだ。

また、同社の操縦インターフェースや角度センサ「AC軽量RVDTセンサ」などが搭載評価中である、SkyDriveの公道を走る世界最小の「空飛ぶクルマ」の模型も展示されていた。こちらは、「2050年、誰もが自由に空を飛べる時代に」を目標に、現在開発が行われている。

■「NEC」ブース

NECブースでは、今年8月に実証実験で浮上に成功した「空飛ぶクルマ」が展示されていた。同社では、推進装置と飛行制御アルゴリズムを開発しており、無人大型機体での自立飛行制御を実現している。

モノコック構造で、離陸重量は150キログラム未満。試作機では人は乗らず乗員は無人となっている。空の移動革命に向けた、官民協議会のロードマップでは、2020年代なかばに地方での人の移動を、2030年以降には都市での人の移動を実現することを目標にしている。

■「エアロネクスト」ブース

エアロネクストのブースでは、次世代エアモビリティの『空飛ぶゴンドラ/Flying Gondola』の模型が展示されていた。飛行時は前後のプロペラが垂直になるが、着陸陣は背面側のプロペラが取り付けられた部分が地面に設置し、安定するように作られている。飛行中も傾かず、乗り降りが容易で乗客を選ばないところが特徴だ。

▲こちらが着陸時の形態。背面の羽のような部分が下がっている。

■「OKI」ブース

OKIのブースでひときわ目立っていたのが、「AIエッジロボット」だ。こちらはサービスロボットと、それを離れた場所にあるコックピットから遠隔操作可能なシステムになっている。ロボットがAIで自動対応出来ないときに通知を送り、その映像を俯瞰で確認しながら人が操作することで、フォローすることができるというもの。

遠隔操作側は、まるでロボットのコックピットのように様々な情報が画面に表示されている。子供の頃に夢に描いたような仕事の姿なのかもしれない。

ちなみに用途別にセンサをカスタマイズすることもでき、ある程度ロボットにも任すことができるため、ひとりでは体力が厳しい現場でも対応出来るのが特徴だ。

■「ANAホールディングス」ブース

ANAホールディングスが出展していたのは、未来のアバターロボットだ。これは、米国スタートアップ企業のアジリティロボティックスが開発した『digit』をベースにした、2本足のヒューマノイドで、最大約18キログラムまでの荷物を持つことができる。たとえば、自動配達用のバンから荷物の積み下ろしができる。

コンパクトに折りたたむこともできるため、移動中は収納しておくことができるのも特徴のひとつだ。歩行性能も高く、屋外だけではなく山道や階段など人が行けるような場所はこのアバターロボットも移動することができる。

■「VAIO」ブース

パソコンのイメージが強いVAIOだが、今回出展されていたものはロボット汎用プラットフォームだ。『“Mini”ハードウェア』は、直径45ミリで発話(対話)機能を実現したハードウェアである。マイクにスピーカー、バッテリーを内蔵しており、スマートフォンとBluetoothで通信して音声の送受信のホストにする。必要最低限のハードウェア構成のため、安価に発話(対話)機能を実装できるところが特徴だ。

『“Simple”ハードウェア』は、ぬいぐるみに挿入することで会話ロボットにすることができるハードウェアである。独自の放熱機能を採用しており、ファンレスでありながら効率的に放熱が行えるため、そのままぬいぐるみの中に入れても問題ないのが特徴だ。

▲『“Simple”ハードウェア』を内蔵したおしゃべりぬいぐるみ『おしゃべるコウペンちゃん』も展示されていた。

同社のEMS事業では、顧客のニーズに合わせて欲しいものを作るというサービスも行っている。ロボットやIoT製品などの製品実績があり、そちらも展示されていた。鉄腕アトムや機動戦士ガンダムのハローなど、そのまま欲しくなるモノばかりだ。

■「豆蔵ホールディングスグループ」ブース

豆蔵ホールディングスグループでは、センサやカメラを活用した様々なシステムやサービスが展示されていた。『赤ちゃんうつぶせ寝検知』は、育児や家事に忙しい母親の代わりに、赤ちゃんが寝ている間を見守ってくれるベビーテックシステムだ。

JetsonNanoとカメラを活用しており、赤ちゃんが正面で寝ている時は緑、横を向き始めたときに黄色になり、うつ伏せ寝の時は赤で表示する。赤ちゃんの状態は、PCやスマホで確認することも可能だ。

また、同ブースでは歩行型ロボットのミライ監視カメラ『SCW601(開発中)』も出展されていた。いわゆる監視カメラは固定されているものが多いが、こちらはロボットが自由に動き回り監視できるというタイプだ。金属製のボディと多脚で動くところが、なんともSFチックだ。

■「バンダイ」ブース

バンダイのブースでは、モビルスーツのザクを組み立てて、スマートフォンでプログラミンをして動かし、ロボティスクを構成する基本技術を学んでいくことができるSTEM学習教材『ZEONIC TECHNICS』の最新モデルが展示されていた。

全身に搭載された17個のサーボモーターを、基板『SmartBridge』でコントロールすることが可能。専用アプリで、ベースになるポーズを作ってモーションの開発も行える。すでに予約の受付は開始されており、発売は来年3月の予定。メーカー希望小売価格は8万9900円(税別)だ。

同様に、ロボットカーをプログラミングするSTEM学習教材の『アルゴロイド』のデモも展示されていた。こちらはロボットカー2台とゼッケン2枚、マップシート2枚、シール2枚のセットになっており、ブロックプログラミング言語で簡単にプログラミングを行うことができる。

お互いにプログラミングが完了したら、ロボットカーをマップシートのスタート地点において対戦することができるというもの。友達と競いあうことで、よりプログラムに対する理解度を深めていくことができるのが特徴だ。

■「CEATEC 2019」開催概要

会期:2019年10月15日(火)~10月18日(金)

時間:10:00~17:00

会場:幕張メッセ

公式サイト:http://www.ceatec.com/ja/

PhotoWords 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑誌の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。