2019
10.20

【World MR News】次世代スマートMRグラス『NrealLight』など話題のXRコンテンツも多数出展――「CEATEC 2019」レポートその②

World MR News

一般社団法人電子情報技術産業協会、一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会、一般社団法人コンピュータソフトウェア協会の3団体で構成するCEATEC 実施協議会は、10月15日から18日の4日間、千葉・幕張メッセでCPSとIoTの総合展示会「CEATEC 2019」を開催された。本稿ではその中から、主にVR関連の出展を中心にレポートする。

■「KDDI」ブース

様々5Gコンテンツに加えて、注目を集めていたのが次世代スマートMRグラス『NrealLight』を展示していたKDDIのブースだ。同社の出展ブース内に設置された「スマートグラスで体験する5G ~AR Museum~」コーナーでは、サングラスに近いこの『NrealLight』をさほど並ぶことなく実際に体験することができた。

▲こちらが次世代スマートMRグラスの『NrealLight』。auのロゴがあしらわれていた。

スマートグラスと5Gスマホが接続されており、SLAMでスマートグラスの位置と向きを把握。現実世界に重ねる形でコンテンツが見られるようになっていた。ちなみに『NrealLight』越しに見えていたものは、国宝『八橋蒔絵螺鈿硯箱』だ。『NrealLight』の最大の特徴でもあるが、近づいてもしっかりとオブジェクトが見られるようになっており、なかなかの感動体験だった。

▲見た目はほとんどサングラスといった感じだ。『HoloLens』などのMRグラスと比較すると、やや縦が狭く感じる。

  • スポーツが変わる「行動認識AI×IoT」

3次元モーションセンサー内蔵の、サッカーボール型IoTデバイスを使ったコンテンツが展示。ゲージが溜まるタイミングでパスが届くように、タイミングを合わせてボールを蹴るといった内容のゲームで、センサーから送られてくるデータを基に球速や回転数、回転軸の角度などを解析することができる。

  • 「AR戦国シューティング」

東軍と西軍で2対2に分かれて戦うARシューティングゲーム。銃にスマートフォンが仕込まれており、専用のグラスなどを装着することなく対戦することができる。映画の『マトリックス』より若干早い感じで弾が飛んでくるので、それを避けながら相手に攻撃を加えていく。シンプルながら、白熱したバトルが楽しめるコンテンツとなっていた。

  • 「リアルタイムレンダリング自由視点映像」

5Gスマホを活用し、野球中継などの映像を自由視点でリアルタイムに見られるデモも展示。3Dゲームのように、スマホで向きや角度が簡単に変更できるのは、かなり新しい体験であった。今後のスポーツ中継では、こうした楽しみ方が当たり前になってくるかもしれない。

■「QDレーザ」ブース

QDレーザのブースに展示されていたのは、昨年発表されたた網膜走査型レーザアイウェアの後継機種る『RETISSA(R) Display II』だ。見える、聞こえる、楽しみを増やすというのがコンセプトになっており、ウェアラブルディスプレイの可能性を広げたものになっている。

音声認識アプリケーションと翻訳を組み合わせることで、音声をテキスト化したものを『RETISSA(R) Display II』に表示。グラス越しでも文字にピントが合った状態で見られるため、相手の顔を見ながら自然なコミュニケーションが行える。

また、タッチパッドを取り付けることで、カメラやPC、タブレットからの映像が見られるようになる。自由に拡大縮小することも可能だ。

■「フォーラムエイト」ブース

自動運転シミュレータや地震シミュレータなど、様々なシミュレータ系のコンテンツを展示していたのはフォーラムエイトのブースだ。中でも、ひときわ目を引いたのはVR360°シミュレータである。

もはやVRといよりもアミューズメント施設のライドといった感じで、ぐるぐる360度回転する乗り物となっていた。

■「ビュージックス コーポレーション」ブース

様々なスマートグラスを展開しているビュージックス コーポレーションのブースでは、同社の製品に加えて企業や大学、フリーランスなど垣根を越えたエンジニアやクリエイターが集う集団OSPが開発したスマートグラス用アプリ『プレゼンモンスター』が展示されていた。

こちらは、スマートグラス上にテキストを表示できるというもので、プレゼンの時などにあらかじめ用意したメモを表示させておくことができる。タップでスライドを送ったり、タイマーを表示したりといったことも可能だ。

■「みずほ情報総研」ブース

みずほ情報総研のブースで、最初にお出迎えしてくれたのがバーチャルな受付嬢とも言える「サイバーマルチタレント」だ。こちらはAIが生成したキャラクターで、来訪者と目が合うとブースの案内をしてくれるというもの。複数人いるときは、それぞれに視線を移してくれる。

用途に応じて3DCGのタレントが生成できるため、肖像権などの問題が発生しないところも特徴のひとつだ。

  • AIメイクアップアドバイザー

その場で撮影した顔写真からリアルタイムに顔の特徴点を検出して、その人に合ったオススメのメイクパターンを提案してくれるコンテンツ。オフィスやデイリー、デート、パーティーなどのシーン別の化粧も提案してくれる。

  • 加齢シミュレーション

2Dの画像から3D画像を生成。機械学習を活用して、その形状から加齢化を予測してくれるコンテンツだ。元の写真と比較して10年後の見た目や、10年前の見た目をシミュレーションすることができる。

■「ディー・エヌ・エー」ブース

ディー・エヌ・エーのブースで出展されていたのは、「働き方改革タクシー」だ。人手不足が叫ばれるタクシー業界だが、それらをAIやビッグデータを活用してサポートするソリューションである。

次世代タクシー配車アプリ『MOV』や、交通事故削減支援サービス『DRIVE CHART』、AIを活用した『お客様探索ナビ』などで、タクシー乗務員に新たな働き方を提案している。

■「三菱電機」ブース

三菱電機のブースでは、AR技術を応用した多言語対応の『空中しゃべる描き』というアプリの体験が行えるようになっていた。このアプリは、その場で話した言葉を指でなぞることで文字が表示されるというもの。2D版のスマホアプリ『しゃべり描きアプリ』は、App Storeで12月10日まで無料お試し版が利用できるが、こちらはそのAR版だ。

▲アプリに向かって話した後、指で画面をなぞるとその言葉がARで表示されていく。

先ほど多言語対応と述べたが、言語を選択することで話した言葉を指定した言語で表示させることもできる。このとき、1度日本語が表示された後に翻訳されたものが表示されるようになっており、わかりやすい。

▲「おやすみなさい」と話した後、翻訳されたテキストが表示される。コミュニケーションツールとしても活用できそうだ。

■「キャセイ・トライテック」ブース

キャセイ・トライテックのブースでは、AIとIoTを組み合わせたソリューションが展示されていた。「ドライバーサポートシステム」は、マルチカメラとAIを活用した安全運転支援システムにより、事故の予兆を検知することができる。

世界最高レベルの顔認証技術を使った「顔認証 EdgeAI デバイス」も展示。顔検出の技術を、それぞれの用途に合わせて使用することができる。展示されていたものでは、新たなにブースに訪れた人とこれまでの来場者のカウントがされていた。

■オゼットクリエイティブ

知名度が高くない日本の企業が海外に向けてアピールするときに、VTuberを活用するというコンセプトのサービス展開しているのが、オゼットクリエイティブだ。同社で制作した3体のVTuberを活用するほか、ニーズに合わせてカスタマイズすることもできる。一般的なキャラ押しのVTuberというよりも、製品やサービスをアピールすることが目的となっている。

同社はアニメやゲーム業界ではなく、38年間様々なITや商社、メーカーなどの企業向けの案件を数多く扱ってきている。そうしたところで、このサービスを活用してもらいと考えているそうだ。 

■「CEATEC 2019」開催概要

会期:2019年10月15日(火)~10月18日(金)

時間:10:00~17:00

会場:幕張メッセ

公式サイト:http://www.ceatec.com/ja/

PhotoWords 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑誌の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。