2019
02.04

【World MR News】GGJでOculus Go、HTC VIVEのゲームを発見! Global Game Jam 2019 CRI渋谷会場レポート

World MR News

1月25日から1月27日まで開催されたGlobal Game Jam 2019。CRI・ミドルウェアが会議室を提供する渋谷会場では、Oculus Go、HTC VIVEのゲームが登場した。取材したのは2日目。チームごとのゲームコンセプトが立ち上がり、ゲーム開発が本格的にスタートした段階だ。

CRIが会場を提供するのは今年で2回目。今回のGGJ全体のテーマ「Home」とは別に会場のテーマとして「光と音」を掲げており、一般的なゲームの枠組みから電子工作を組み込んだ風変わりなゲームまで、枠にとらわれない作品制作を推奨している。

貸出機材の中にはOculus Go、HTC Viveも含まれており、その狙い通りVRゲーム制作のチームが立ち上がった。今回はVRゲームを制作した2チームに話を聞くことができた。

■星の光を掴んで家に与える「Snow Home」

まず最初のチームは、Oculus Goで開発を進めていたチーム。ゲームのコンセプトを伺ったところ「星を掴み、家に光を与えていくゲーム」と説明してくれた。

プレーヤーの居場所は空中で、スノードームのような場所に入り込む。頭上を見上げれば星が、足元を見れば家々がある。星の光は掴むことができ、すべての家にその光を届けてくれればクリア、という内容を目指しているという。

「Snow Home」企画コンセプト

Oculus Goをプラットフォームに選んだ理由は、「スタンドアローンで動くこと、開発環境が最低限でいいこと」を挙げた。「VR READY」と呼ばれるスペックのPCがなくても開発できる点で、開発がしやすかったそうだ。

メンバーには、VR開発は個人で経験のある人、普段からゲーム開発者だがVRは未経験の人などがいて、さまざまな理由でVR開発に興味がある人が集まっていた。

完成作品は「Snow Home」と名付けられ、GGJ2019のページからアクセスできる。

https://globalgamejam.org/2019/games/snow-home

2日目ではまだコンセプト段階。取材した時点ではまだデモは動いていなかった。

■ホームパーティーで暴れまくる「Homer Party VR」

続いてのチームはHTC VIVEを使って開発を進めていたチーム。内容は「ホームパーティーで暴れるマルチプレイVR」だそうで、猫やラグビーボールで遊んだり、音楽を鳴らしたり、ピザを投げたりできるものが目指されていた。

CRI・ミドルウェアの社内では、HTC VIVE用のゲームを2時間で作るゲームジャムが定期的に開催されており、その関連でHTC VIVEの開発に詳しいスタッフもメンバーとして参加していた。

CRI・ミドルウェアから貸し出されていたHTC VIVE

「Snow Home」では開発環境のハードルの高さが難点として挙げられていたが、開発自体はUnityでできるので特に問題はないという。HTC VIVEのスペックを活かすなら室内を動き回るルームスケール型ゲームの可能性もあるが、それは3日間というGGJの制限時間では難しい。

今回開発されていたのもルームスケール型のVRゲームではなく、他のVRプラットフォームでもプレイできるものではある。とはいえ、高価なHTC VIVEの開発を体験できる絶好の機会であり、しかもCRIスタッフのアドバイスも受けられるということでメンバーはすぐに集まったそうだ。

完成したゲームは「Homer Party VR」として、GGJ2019公式サイトからダウンロードできる。

https://globalgamejam.org/2019/games/homer-party-vr

「Homer Party VR」のコンセプト

両端を引っ張って割るクラッカーのようなオブジェクト。中にはジョークが書かれた紙が入っている。

■GGJはVRゲームの可能性も広げるかもしれない

GGJに会場を提供する発起人となったCRI・ミドルウェア エンターテインメント事業本部 研究開発部 サウンドエンジニアの田中孝氏は、「会場のコンセプトどおり、VRやARをはじめ他のゲームジャムとは変わったゲームを作りたい方が集まってくれている」と語る。

田中氏は「開発環境としては、VRゲームの敷居はどんどん下がってきている。個人開発も可能だが、GGJはチームで開発できるので、そこで初めて発見することもある。評判がよければ今後も会場の提供を続けたいし、機材の提供も積極的に行っていきたい」と述べた。

ゲームジャムは、未知の誰かと未知の企画を作り上げることでお互いのクリエイター魂を刺激し合う場となっている。GGJで生まれた作品が元となり、製品化が実現した例も最近では登場している。今後、VRゲームでもそうした作品が生まれるかどうか。ゲームジャムとVR/ARの関連性に注目していきたい。

PhotoWords 安田 俊亮

「GAME Watch」編集などを経て2018年よりフリーランス。
GAME Watch、週刊アスキー、CONTINUEなど、ゲーム分野を中心に徐々にフィールドを拡大中の編集、ライター、コピーライター。E3やGDCなど、海外を含めた取材経験も多数。