2019
01.24

【World MR News】スマートグラスをなど最新のウェアラブルデバイスが集結した展示会「第5回 ウェアラブル EXPO」レポート②

World MR News

最新のウェアラブルデバイスが一同に集結した展示会「第5回 ウェアラブル EXPO」が、1月16日~18日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された。レポート①に引き続き、本稿ではその中から特に目に付いたものをピックアップしてお届けする。

■QDレーザーブース

QDレーザーブースで展示されていたのは、網膜走査型のレーザーアイウェア『RETISSA ディスプレイ』だ。通常のヘッドマウントディスプレイでは、前面に画像を作り出してそれを見るという形になる。そのため、どうしても視力などに影響を受けてしまう。しかし同社のレーザーアイウェアは、弱くて安全なレーザー光線を細いビームにして、瞳孔の中心を通し、網膜に投影するという技術を採用している。

瞳孔の中心を細いビームが通ると、光はまっすぐ進む。そのため、遠視・近視・乱視にかかわらず、ピントの調整不要で映像をクリアに見ることができるのだ。もちろんメガネを外した状態で利用することができる。

多くの体験希望者が列を作って並んでいたQDレーザーのブース。

遠隔作業支援などでARが利用される場面が増えてきているが、そうした用途でも利用出来るという。遠くを見ながら目の前にテキストや指示書を表示させることができる。こうしたものでは、遠くを見ているときには近くに出している指示書が読みにくくなり、近くに焦点を合わせると背景がぼやけることがほとんどだが、そうした部分も両方とも解消することができるのも特徴のひとつだ。

実際に体験してみたが、メガネ不要でスマートデバイスを利用出来るのはかなり快適だった。映像もまったく問題なくくっきりした状態で見ることができ、今後も期待したい技術である。

■メガネスーパーブース

40年以上にわたって、メガネを提供してきたメガネスーパー。同社のブースで展示されていたのが、オーバーグラスタイプのウェアラブル『b.g.』だ。長時間の着用やディスプレイの鮮明さなど、ハードウェアとして見え方とかけ心地の良さを追求しているのが特徴である。

オーバーグラスタイプのウェアラブル『b.g.』。

機能としては、HDMIから入力した映像を出力して表示するというシンプルなものとなっている。そのため、VRやARデバイスのように、複雑なセンサーを積んでいるというものとは異なるコンセプトとなっている。

しかし、顔にかけるデバイスは繊細な部分があり、不具合もある。たとえばメガネユーザーは、VRゴーグルを装着するのに苦労した経験があるはずである。しかし、同社のデバイスはオーバーグラスタイプであるため、メガネの有無にかかわらずすぐに装着することができる。かけやすさのしきい値をハードウェアとして超えたいという、メガネを取り扱ってきた同社ならではのこだわりがあるようだ。

今年の4月より製品の出荷が開始され、BtoB用途で医療や製造業などで利用される予定だ。また、熟練者不足などからデジタルトランスフォーメーションなどの言葉が飛び交っているが、そうしたサポートなどにも利用されることを想定している。

通常の店舗での販売については、ユーザーの反応を見ていきながら考えていくそうだ。値段は1台19万8000円からだが、こちらは初期段階での価格となっている。

「このデバイスを付けると便利」といわれるようなポジションを取らないと拡がっていかないため、グラスを使った市場を作ることを目標としているとのこと。

■ウエストユニティスブース

ウエストユニティスブースでは、Android内蔵のスマートグラス『InfoLinker2』が展示されていた。前モデルよりも全体的にスペックが向上しており、ディスプレイ部分には有機ELを採用しており、視認性も高くなっている。

また、GPSやNFCも内蔵しており、Bluetoothで接続する機器も近づけることで読み取ることができるようになっている。先端に取り付けられたカメラを使用して、遠隔支援などに活用されている。遠隔地のオペレーターから、場所の指示も行うことができるようになっている。

同社のスマートグラスは単眼タイプだが、先端部分がフレキシブルアームになっており、自由に動かすことができる。あくまで現実重視で、普段使わないときは邪魔にならない位置に動かせるというコンセプトだ。

よく使われる機能としては、リモートメンテナンスとチェックマークを付けながら次にどの作業を行えばよいかといった、作業ナビゲーションなどだ。また、作業終了後に証拠として写真を残すといったこともできる。

 

端末そのものはAndroidであるため、自由に開発できるところもメリットのひとつである。タッチセンサーがあるため、カーソルも動かすことができる。この『InfoLinker2』は、4月後半より販売予定となっており、価格は未定だが20万以内になるように抑えたいと考えているそうだ。

■ボストンクラブブース

福井県鯖江市のメガネフレーム企画・販売会社のボストンクラブ。スマートグラスにはメガネ屋の技術が必要ということで、同社はこの「ウェアラブル EXPO」に初回から参加している。

2回目以降のときに、デバイスが小型化することを見込んで取り外したときは普通のメガネとして利用でき、必要な時だけ取り付けられることをコンセプトに『neoplug(ネオプラグ)』を発表している。

この商品は、メガネのテンプル部分に様々なアタッチメントが取り付けられる溝が設けられている。同社ではその特許を取得し、各メーカーとコラボしている。『neoplug』に取り付けられるのはビューワーだけではなく、脳波計など様々なデバイスを取り付けることができる。

開発段階から『neoplug』機構を採用したものが増えてきているほか、同社でもバリエーションを増やすためにスポーツタイプなどを開発し、7月より量産していく予定だ。

こちらは7月より量産されるスポーツタイプの『neoplug』。

■リトルソフトウェア(ボストンクラブブース内)

ボストンクラブのブース内に展示されていたのが、リトルソフトウェアの『脳波眼鏡x脳年齢チェッカー』のデモだ。こちらは『neoplug』仕様を採用しており、負荷なく簡易的脳波をチェックできるセンサーを取り付けて測定することできる。

この『脳年齢チェッカー』では、脳の疲れを測定し、今の状態がどれぐらいの脳年齢なのかを調べることができる。当然のことながら、疲れているときは脳年齢も上がっていくという。

同社は感性を使って、様々なビジネスを展開している。「あなたは今興味があります」「集中しています」「眠気があります」といった項目から、ユーザーの反応検査を行っている。

以前はバンド形式のものを使って脳波を測定していたが、それでは公共の場所などでは扱いにくい。そうした問題を解決するために、『neoplug』仕様を利用したウェアラブルなものを採用している。

約40秒で、脳年齢の測定をすることができる。

Photo&Words 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑紙の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。