2018
12.04

【World MR News】ユニークなサービスやプロダクトが一堂に会したスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2018」をレポート

World MR News

11月15日と16日の2日間、渋谷ヒカリエで日本最大級のスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2018」が開催された。今年で8回目の開催となる同イベントだが、今回も最新テクノロジーや有望なスタートアップが多数集結したイベントとなっていた。本稿ではその中から、「スタートアップデモブース」で特に目に付いたものピックアップしてご紹介していく。

「バンダイナムコスタジオ」ブース

会場で真っ先に目に入ったのは、バンダナナムコスタジオのブースだ。今回は、『ゼビウス』のメカデザイナーとして知られる遠山茂樹氏に、出展作品に関する紹介をしていただいた。

まずは『おなじこびっと(仮)』。こちらは、子供たちにプログラムを教えるためのお稽古箱といったコンセプトの実験キットだ。対象は小学校3年生以上となっており、中身には『micro:bit(マイクロビット)』が使われており、IOを使ってサーボモーターを回して走らせることができる。

このロボット自体の仕組みもわかってもらえるように、自分でプラモデルのように組み立てていくようにしている。こちらはコストを下げるという意味も含まれているが、こうしたカタチで教材として作っていく予定とのこと。

『おなじこびっと(仮)』では、テキストも重要だと遠山氏はいう。こうしたものを教材として扱う場合、通常は先生がマスターしてから子供たちに教えるというスタイルになることが多い。そうではなく、自分たちが勝手に学んでいけるようなものにしたいという。子供たちの中で、こうしたものを扱うのに長けた人やそうでもない人などが出てくる。上手い人がそうでもない人に教えてあげながら、能力を高めていくというやり方していくのが理想なのである。

プログラム自体はスマートフォンを使い、ブロックを並べるような感じで行うことができる。こうしたものは、飲み込みの早い子供たちの方が上手く使えるハズなのだ。たとえば「嬉しそうな音を作ってみよう」という課題があったときに、答えは必ずしもひとつとは限らない。中には思いも付かないようなアイデアが生まれることもあるのだ。

『おなじこびっと(仮)』のテキストはストーリー仕立てになっており、ひとりで課題に挑戦していけるようになっている。キットの価格は1万円を切るぐらいになる予定で、現在は2020年に間に合うように開発が進められている。

▲キットでは、ネコ型のロボット『ニャンビット』をプラモのように組み立てていく。センサーもいろいろと取り替えられるようになっている。

『おなじこびっと(仮)』の隣に並べられていたのが、『ですくとっぷ焙煎機』だ。こちらは、遠山氏が昔懐かしくて作ったものだという。昔はお茶屋の前に、ほうじ茶の機械が置かれていることが多かった。それを机の上に乗る形で作れば、「お茶の香りで癒やされる」というアイデアから生まれたものである。

これはほうじ茶を作ることが目的ではなく、香りを出し続けることが目的で、その副産物としてお茶を煎ることができるのだ。本当にお茶を煎っているため、最初は青々強い香りが、だんだん変化していくところも感じることができるのが特徴である。

今回出展されていたものは初試作だそうだが、そもそもこちらを作ることが決まったのが2週間前であった。そこから仕組みを考え、CADで図面を引いて作られている。内部には3つのフィンが付けられており、そこは暖めずに真ん中だけ暖めることで回転してぱらっと落ちてきたものだけを焙じるようになっている。そのため、長時間匂いを出し続けることがなったのだとか。

ちなみに、商品化は人気があったらと語っていた遠山氏だが、会場の反応はまずまず好評だったそうだ。

「ポケット・クエリーズ」ブース

11月20日に東京電力ホールディングスと共同で、Mixed Reality技術を活用したソリューション『QuantuMR(クァンタムアール)』の販売を開始したポケット・クエリーズ。同社のブースでは、それに先駆けてこの「TechCrunch Tokyo 2018」で『QuantuMR』の紹介と、「MR×AI×IoT」の技術を直に体験出来るデモの展示が行われていた。

来場者は、MRデバイスの『HoloLens』を装着し、「画像解析による設備点検」というものがどのような形で実現されているのか体験できるようになっていた。

「HEROZ」ブース

創業者のひとりである林隆弘氏が、元々将棋のアマチュア全国優勝の経験があり、将棋好きや将棋が強いメンバーが多いというHEROZ。BtoC向けに将棋を題材にした頭脳系のアプリを提供。そこで培った技術を、産業向けに展開している。現在は、金融や建設、エンタメ系や品質管理といった領域の会社にサービスを提供しているとのこと。

今回同社のブースでは、AI未来予測・異常検知ツール『HEROZ Kishin Monitor』の紹介が行われていた。過去のアクセスログをデータ化しているところは多いが、それを分析して未来の数値をAIで予測。そこから外れた数値が出たときに、異常アラートを出すというものだ。

ちなみに今回のイベントで隣同士となったポケット・クエリーズとは、この10月に資本業務提携契約を締結。MRソリューション『QuantuMR』の異常検知と画像認識のAIを同社が提供している。

「WEARE SPACE project」ブース

視野角を狭めるパーティションと、音を低減するノイズキャンセリング機能を搭載したヘッドフォンを組み合わせて、周囲からの様々なノイズを遮断し集中力を高めることができるウェアラブル端末の『WEARE SPACE』を展示。

コワーキングスペースなどを利用して仕事をするときに、回りがざわざわしてなかなか集中できないというときがある。個室があればいいのだが、その場で集中出来るアイテムがあればいいなという発想から生まれたものだという。

Bluetoothにも対応しており、スマートフォンを接続して音楽を流すことも可能だ。一日中これを付けて作業するというよりも、短時間集中したいときに使用することを想定している。

10月2日からクラウドファンディングをスタートし、1500万円の資金調達を目指している。海外からは「ディストピアを作りたいのか」といった意見もあったそうだが、基本的にはニーズもあり反応は上々とのこと。

「CCCフォトライフラボ」ブース

CCCフォトライフラボのブースでは、出張で3Dスキャンの撮影が可能な『3D SNAP』が出展されていた。機材を折りたたんでハイエースぐらいの車に乗せることができ、設置後すぐに撮影を行うことができる。合計102台のカメラで同時にスキャンし、シュッター速度200分1秒で取り込むことができる。これにより、ペットなど動いてしまう動物でも簡単に3Dスキャンすることが可能となっている。

現在は、撮影した3Dデータからフィギュアを作るサービスがメインとなっている。フィギュアは3サイズに分かれており、1万円~8万円といった価格帯で販売しているとのこと。また、スケール販売も可能で、10分の1サイズのフィギュアを作ることもできるという。たとえば、子供の成長記録を実寸のデータとして記録していくことも可能である。撮影した3Dデータ自体はフェイスブックなどにも利用できるため、今後はデータの販売も考えているとのこと。

設置はふたりがかりで、概ね30~40分ほどでできるとのこと。

その場で取り込むことができるため、このように会場に訪れた人のデータも即剤に3Dデータ化していた。

「scouty」ブース

昨年ファイナリストとしてピッチをしていた、scoutyのブースでは、日本初のAIヘッドハンティングサービス『scouty』が出展されていた。こちらはソフトウェアエンジニアに特化した、採用サービスだ。

100万人ほどの候補者のデータが登録されているが、ひとりとしてこちらのサービスに登録しているユーザーはいない。では、いったいどのようにデータを集めているのかというと、GitHubやツイッター、フェイスブックなどエンジニアが使用しているSNSからクロールして情報を収集している。

それだけでは他社でもできることだが、同サービスの特徴は、AIを活用してアカウントを名寄せして紐付けることができるところだ。これにより、その人が持っているアカウントが芋づる式になり、どんなことについて書いているかなどタグを付けていき、スコアリングを行っている。企業側はこちらのサービスを使い、検索画面から条件を入れることで候補者を表示することができる。さらに、そこからスカウトメールを送ることができるといったサービスとなっている。

どれだけスキルが高くとも、転職の可能性が低ければスカウトメールを送っても無駄だ。そこで、AIを利用して転職の可能性を判別するロジックも導入している。SNSなどの投稿から転職の兆しがあるときにアラートを表示し、スカウトメールも送ることができるのである。

Photo&Words 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑紙の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。