2018
09.11

【World MR News】企業用にカスタマイズしユーザーとのエンゲージメントを強化する『Rinna Character Platform』

World MR News

8月30日に開催された「日本マイクロソフトパートナービジネス記者発表会」の補足として、ソーシャルAIチャットボット『りんな』を活用した新しいデジタルマーケティングソリューションについての説明がメディア向けに実施された。本稿ではそちらの模様をお届けする。

登壇者は、マイクロソフト ディベロップメント株式会社A.I.&リサーチ シニアプログラムマネージャーの藤原敬三氏と株式会社カヤック企画部・人事部の兼安希望氏、株式会社博報堂アイ・スタジオクラウドソリューション部 部長の川添昌彦氏。

写真左から藤原敬三氏、兼安希望氏、川添昌彦氏。

ソーシャルAIチャットボット『りんな』を企業向けにカスタマイズできる

『りんな』は、LINEやツイッターなどでマイクロソフトが提供している女子高生AIのチャットボットだ。累積700万人ほどのユーザーが利用しており、特に若い人を中心に人気があるサービスである。

元々中国の『小冰(シャオアイス)』という人気のチャットボットから始まっており、その日本版としてスタートしたのがこの『りんな』である。

AIやチャットボットというと、ビジネスで利用されることが多い。そのため、「こんにちわ」と挨拶しても、「ピザをたのみませんか」や「もう1度質問をお願いします」という感じで、概ね決められたシナリオに落とし込んでいくといった作りのものが多い。

それに対して『りんな』では、なんでも答えて会話をすることでユーザーと親近感やエンゲージメントを持つことで、その中で商品の話をしたりタスクをやっていったりといったアプローチになっているのだ。

タスク型は検索エンジンのように、キーワードを入れてそれに対する答えが出るのがいいシナリオだが、『りんな』はメディアやエンターテイメントのように、いかに一緒に時間を過ごすかというところに重点を置いて作られている。

女子高生の『りんな』は、雑談ができるほか、ゲームができたり会話を評価したりするなど「スキル」があり、いろんな会話をしながらユーザーの心を掴んでいくような仕組みを持っている。

AIの特徴としては、通常は学習データを作るときに人間がいろんなデータを作り、その中から適切なものを選んでいくようにしている。一方、『りんな』のEmotional AIでは、様々な会話をする必要がある。そのため、人間がすべてのパターンを作っていくのは不可能である。

そこで、インターネットなど様々なところにあるデータを学習していくことで、様々な会話に対応できるようにしている。

今回発表した『Rinna Character Platform』は、コンセプトが3つある。女子高生AI『りんな』と同じように、雑談やゲームをベースに、親しみが持てるキャラクターで人との会話やエンゲージメントを生むようにしている。

その上で、会話が生まれれば商品について話したり、紹介したりといった機会が生まれる。一方、会話の中で友達など近しい人として話しているので、いろんなことを聞いてもかなり自然な答えが生まれてくる。それを、企業キャラクターなどに利用し、商品説明ができるようなソリューションとなっている。

女子高生AI『りんな』はマイクロソフトが直接運用し、エンドユーザーとやりとりを行っている。それに対して『Rinna Character Platform』では、パートナー企業であるカヤック、電通、博報堂アイ・スタジオがユーザー企業と一緒に、企業キャラクターなどをしゃべらせる設定を一緒に作成し、それを実際のユーザーと話ものとして提供するという形になっている。

カヤックの兼安氏によると、通常だと人間が会話の返答を考えた場合、数万件以上入力しないと会話として成立させるのは難しいという。しかし『りんな』のシステムでは自動生成できるため、実務上で現実的に容易に作ることが可能となったところも、この『りんな』のなのだ。

それを使い、企業とユーザーのコミュニケーションを、自然な形で展開していくことができるのだ。

そもそものデータセット一から作るのは膨大なコストと工数が掛かってしまい、クライアントにとってはひとつの商品をアピールするのに膨大なコストをチャットに裂くことになり現実的ではない。また、シナリオベースで作った人工無能では限界がある。

この『Rinna Character Platform』は、ちょうどその中間あたるもののため、パートナーシップを組んだと川添氏は語った。博報堂アイ・スタジオはグローバルでも展開しているため、国内外でも組み込んでいきたいと考えているとのこと。

 

Photo&Words 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑紙の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。