04.06
【World MR News】海運・海洋産業におけるMRによる働き方改革
海運・海洋産業の働き方改革を推進するプロジェクトがJRCS株式会社と日本マイクロソフトとの連携で開始された。
今回は、Mixed Realityがもたらす、海運・海洋産業における働き方の未来像をお届けしたい。
四方を海に囲まれている日本では、海外との貿易量の99.7%を海運が担っており、海運が日本の経済と生活を支える重要なインフラとなっている一方で、海運・海洋産業では慢性的な船舶職員の不足と高齢化が課題となっている。
世界中の7000隻以上の船舶に動力システム・制御システムを提供しているJRCSは、日本マイクロソフトと連携して、デジタルトランスフォーメーションによる働き方改革を推進していく事を決定した。
本プロジェクトでは、MicrosoftのHoloLensおよびAzureのAIサービスをフル活用して、海運事業者向けの遠隔トレーニングや遠隔メンテナンスソリューションの実用化に向けた検証作業を推進するだけではなく、将来的な船舶の自動航行までを見据えた、新しいデジタルプラットフォームの確立に取り組む計画であり、2018年4月6日の計画発表時点では、以下のコンセプトモデルが公開されている。
【Mixed Realityと AIをフル活用したJRCSのコンセプトモデルについて】
JRCSでは、以下の3つのコンセプトモデルの開発を進めている。
1. 海洋事業者向け遠隔トレーニングソリューション「INFINITY Training」
これまでJRCSでは、下関本社にあるトレーニングセンターで、船員向けの専門トレーニングを提供してきたが、とくに海外のお客様に参加いただくのが難しい状況にあった。MRを用いた空間共有や、制御システムなどの実製品とデジタルコンテンツの融合、さらにMicrosoft Translatorの翻訳機能も活用することで、様々な場所にいる船員が、いつでも、どこにいても、言語・時間・距離の壁を越えて、機器やシステムの操作などのトレーニングに参加できるようになる。（2019年3月より本サービスを開始予定）
2. 海洋事業者向け遠隔メンテナンスソリューション「INFINITY Assist」
最優先の使命である船舶の安全航行を実現するため、MRやIoT、AIなどを活用し、船員の負担やケガ、人的ミスを軽減するソリューションを提供し、船舶の特殊事情まで熟知した経験豊かなエンジニアのスキルを、より迅速に展開できるようにする。エンジニアが船舶のメンテナンスを行う際にHoloLensを装着すると、機器の上に作業手順などが表示され、より安全に短時間で作業が可能となる。（JRCS製高圧配電盤のメンテナンスアプリケーションを2019年内に商品化し、2020年より順次コンテンツ拡大の予定）
3. 将来的な船舶の自動航行まで見据えた”陸上での”操船ソリューション「INFINITY Command」
船舶の自動航行が現実となる未来を見据え、海運・海洋産業においてはその在り方が議論されている。IoT、AIなどの技術とビッグデータを活用することで、船舶操船を担うキャプテンが、近い将来、デジタルキャプテンとして陸上から複数の船舶をコントロールする世界を想定し、開発を進めていくソリューションがINFINITY Commandだ。これを用いると、HoloLensを通じて、遠隔地にいる他のデジタルキャプテンと3D海図を共有しながら、航路、天候、海底地形などの情報をAIも活用しながら確認し、船舶の安全、海上輸送の正確性、効率性を確保することが可能となる。（本サービスは2030年に開始できるようプロジェクトを推進する計画）
最後に、JRCS株式会社へのインタビュー動画を紹介する。ぜひ、海運・海洋産業におけるデジタルトランスフォーメーションによる働き方改革に対する意気込みを感じて欲しい。
JRCS株式会社：
1948年の創業以来、私たちJRCSは海洋に深くかかわる企業として多くの皆様に支えて頂きながら成長を続けてまいりました。社員が多様な働き方を通じてそのベストパフォーマンスを発揮し、海上物流を縁の下から支えることでお客様を笑顔にすること、それが私たちJRCSのミッションです。これからも私たちJRCSは皆さまとご一緒に時代の変化を感じながら変身を続けて行きます。詳細は下記Webサイトを参照ください。
日本マイクロソフト株式会社：
日本マイクロソフト株式会社は、マイクロソフト コーポレーションの日本法人です。マイクロソフトは、モバイル ファースト＆クラウド ファーストの世界におけるプラットフォームとプロダクティビティのリーディング カンパニーで、「Empower every person and every organization on the planet to achieve more.（地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする）」を企業ミッションとしています。日本マイクロソフトは、この企業ミッションに基づき、「革新的で、安心して使っていただけるインテリジェントテクノロジを通して、日本の社会変革に貢献する」企業像を目指します。
https://www.microsoft.com/ja-jp
