2020
06.18

【World MR News】MRTKの「Pulse Shader」を読み解く――「XRミーティング 2020/05/20【AR/CR/MR/SR/VR】」レポートその②

World MR News

大阪駆動開発は、5月20日にZoomを使用したオンラインイベント「XRミーティング」を開催した。本稿では、ホロ元氏と中山北路氏、Junya Ishioka氏によるセッションの模様をピックアップしてお届けする。

「Pulse Shaderを読み解いてみた」by ホロ元氏

ホロ元氏からは、「Pulse Shaderを読み解いてみた」というテーマでセッションが行われた。

『HoloLens』の開発ツールであるMRTKには、「Pulse Shader」というものが含まれている。今回ホロ元氏がこちらを紹介したいと思ったのは、昨年MRTKを開発しているメンバーとミーティングしたことがきっかけだった。

MRTKの「Pulse Shader」とは、昨年リリースされたMRTK v2.2以降で実験的にリリースされた「Shader」だ。v2.3では、Asset/MixedRealityToolkit.SDK/Experimental/PulseShaderにサンプルが、Asset/MixedRealityToolkit.SDK/StandardAssets/Shadersに本体のShaderga入っている。

また、サンプルシーンはAsset/MixedRealityToolkit.Examples/Experimental/PulseShaderに入っている。

「Pulse Shader」でできることは、主に2種類ある。ひとつ目は「SR_TrianglesShader」だ。『HoloLens』は空間を認識することができるが、その認識した空間にパルスが走るように表現できるようにしたものだ。

実装は簡単で、シーン内の「MixedRealityToolkit(script)」の「SpatialAwareness」内にある「Display Settings」のmaterialを、SR_TrianglesShaderのmaterialに変更すればOKだ。

「Pulse Shader」でできることの、もうひとつが「HandTrianglesShader」だ。こちらは、『HoloLens2』のHandTracking用のShaderである。ホロ元氏はまだ『HoloLens2』を入手していなかったのだが、適当なオブジェクトにアタッチしてみたところ綺麗に動かすことができた。

「SR_TrianglesShader」はあまり見栄えが良くなかったが、「HandTrianglesShader」のほうはオブジェクトをマッピングする。メッシュが周期的に張り付く。そのため、パーツが集まって張り付くような表現をすることができるのだ。

こちらは自動で周期的にパルスを発生させる「AutoPulse」にチェックを入れることで使えるが、チェックを外しておくとスクリプトやアニメーションで外部からパルスを発生させることができるようになる。

そこで応用したのが、ユニティちゃんが最初にワイヤーフレームで表示された後にポリゴンがちりぢりになるようなアニメーションだ。

もうひとつの応用として、結界が集まる感じのエフェクトにも使うことができたそうだ。

「HandTrianglesShader」は、頂点shader、ジオメトリShader、フラグメントshaderの3つで構成されている。頂点shaderでオブジェクトのメッシュの頂点を整えて、ジオメトリShaderでポリゴンに変換。ポリゴンの位置から重心を出したり回転軸を作ったりして、フラグメントshaderで細かいカラーを指定している。

ホロ元氏は最後に、Shaderの中身は難しいが扱うだけなら簡単なので、スクリプトやアニメーションと組み合わせて様々なものが作れるのでぜひ触って欲しいと語り、締めくくった。

「応用物理学会 第一回VR学術講演会」by 中山北路氏

中山北路氏からは、「応用物理学会 第一回VR学術講演会」の紹介が行われた。こちらは日本でも大きな物理研究の学会だ。その第1回目となるVR学術講演会が行われる。

応用物理学会は、1930年あたりに行われていた応用物理座談会から発祥したものだ。その座談会のテーマは「学問理論をいかに実社会へ適応するか」というものだった。幅広いテーマを扱っているということもあり、会員数も約2万人という規模になっている。

この応用物理学会では、若手がコミュニティを作り意見交換を行っている。これまではそれぞれの地域の大学ごとで固まって活動を行っていた。そうこうしているうちに新型コロナウイルスの影響もあって、予定していた各種イベントが中止になってしまった。そこで、オンライン学会をやるなら今だということでバーチャル学会に相談し、VRChatについて教えてもらったという。

VRChatの良いところは、1対1のコミュニケーションが簡単に行えるところだ。そこで、VRChatを利用した学会の企画をいろいろと立ち上げている。「応用物理学会 第一回VR学術講演会」については、6月10日17時まで参加・登壇を募集中だ。

「#盛夏音祭 に向けた #VR音楽のススメ 告知!」by Junya Ishiok氏

本イベントのラストに登壇したのはJunya Ishiok氏だ。同氏からは、「#盛夏音祭 に向けた #VR音楽のススメ 告知!」というテーマで告知が行われた。すでにイベント自体は終わってしまったが、5月24日に「VR音楽のススメ!」として自宅から音楽ライブをやってみるというイベントが開催された。

こちらはVRChatを使ったもので、音楽ライブをすでに実施している@xmiliax氏とオンラインセッションを行っているAMOKAというグループから、その方法について紹介が行われた。

こちらは、VRChat未体験勢から「オンラインライブをやってみようかな?」ということを引き出すのが狙いだ。

Junya Ishiok氏自身も音楽をかじっており、現在バイオリンを習っている。しかし、新型コロナウイルスの影響もあり、教えてもらっているレッスン会場が閉まっているといった状況だ。そこで進まなくなってしまったため、先生をオンラインに連れてこようと試行錯誤をしているという。

5月19日に準備打ち合わせが行われており、新装置などの体験も行われた。このイベントでは、VRChatでライブをやるのは難しいと思われているところを打ち壊していきたいと考えている。そこで、左入の裾野は広く、技術の最大値は深く素晴らしいものを体験できることを目指している。

PhotoWords 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑誌の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。