2020
02.04

【World MR News】今回のテーマは「L」――5組22名が2日間に渡り開発を行ったイベント「第2回 Looking Glass ハッカソン」が開催

World MR News

裸眼で立体映像が楽しめるディスプイレ『Looking Glass』を使ったハッカソン「第2回 Looking Glass ハッカソン」が、11月9日と10日の2日間、東京・目黒のアカツキで開催された。今回で2度目となるハッカソンだが、そのテーマに選ばれたのは「L」だ。これは、『Looking Glass』から取られたものだが、どのように解釈するかは参加者の自由となっている。

イベントを主催するザバイオーネ氏によると、裏テーマとしては『デスノート』の「L」をイメージしており、そうしたコンテンツを作ってくるチームが出てくるかと思っていたそうだが、今回はいずれも個性的な作品ばかりが出揃ったようだ。

▲本イベントを主催するザバイオーネ氏。

■『Loop-Lookin’-cLappy!!!』by cLappy(仮)チーム

cLappy(仮)チームが発表したのは、『Loop-Lookin’-cLappy!!!』というコンテンツだ。こちらは、昔デパ屋などで見かけたレトロなゲーム筐体『ミニドライブ』を、最新技術の『Looking Glass』を使って再現するといった内容のコンテンツである。

こちらのコンテンツの特徴は、『Looking Glass』とVRヘッドセットの映像を同期させているところだ。しかしこれを実現するにはいくつかの問題があった。『Looking Glass』とVRのアセットをそれぞれUnityに入れたときに、お互いが干渉してしまいうまく動作しなかったのである。

そこで今回は、『Looking Glass』とVR用の別のプロジェクトでバイナリーをそれぞれ分けている。このふたつのバイナリーで、それぞれシンクロするように通信を行い同期するようにしている。同期する情報は、キャラクターの姿勢とシーンに登場するアイテムの場所だ。

『Looking Glass』側の構成には、PCのほかM5stickCを使い、独自のハンドルデバイスを開発している。このハンドル操作で、『Looking Glass』内に表示される車を操ることができる。

こちらのコンテンツには、どこまで進んだか示すUIも用意されている。UIは『Looking Glass』とは別のディスプレイに表示しているが、そこに映し出す後ろ側の背景にウェブカメラを使用して合成している。

■『猫耳育成キット』by なとり推しチーム

メンバーの好きなVTuberから付けられたというなとり推しチームが作ったのは、『猫耳育成キット』というコンテンツだ。当初5名のメンバーがいるはずだったが、気が付けば3人になっていたという。 

こちらの企画の元ネタとなったのは、『LUMINOUS』というゲームで、光があると綺麗というところからアイデアが生み出されている。内容的には、『Looking Glass』と『Leap Motion』を使って、イワシを与えて少女を育成していくというものだ。手で餌を与えていくと大きくなっていくと、シンプルにインタラクションが楽しめるようになっている。

▲こちらは『Looking Glass』ではないが、ライブデモだ。WEB UIで餌の種類も選ぶことができる。

■『Laser Reflection!』by あとりラボチーム

あとりラボチームが発表したのは、『Looking Glass』の性能を最大限に活かしたタワーディフェンスシューティングゲーム『Laser Reflection!』だ。内容は、宇宙から侵略していくる宇宙人から地球を守るというもの。地球には、壁で反射するレーザーを放つタワーがひとつ立っており、それを『Leap Motion』を使って地球を回転させながら、UFOにレーザーを当て倒していく。

基礎となるタワーに3回UFOが当たるとゲームオーバー。反射するレーザーを発射するタワーは、始めにひとつだけ設置されている。特定のUFOからはアイテムが落とされ、当たった場所に新たなレーザータワーが立つようになっている。このときに、タワーを建てたい場所を『Leap Motion』で操作しながら選んで行くといった感じだ。

こちらのコンテンツの特徴は、『Looking Glass』内で反射するレーザーだ。このレーザーは立体的に反射するので、平面な画面で見るよりも魅力的なものになっている。また、ゲームジャンルもタワーディフェンスとシューティングの2種類を合体しており、そちらも特徴のひとつといえる。

ゲームだけではなく、レーザーの表示が美しいので観賞用としても使える可能性を秘めている。また、レーザーの反射を無くして直線だけにすれば、シューティングゲームとしても遊ぶことができるそうだ。

■『Luminaries』by Luminariesチーム

チームLuminariesの作品はチーム名と同じタイトルの『Luminaries』だ。これは発光という意味で、『Looking Glass Large』に『Azure Kinnect』を付け、MIDIキーボードの『AKAI mpk mini play』操作用に使用している。

遊び方は、画面中央にプレイヤーがおり、奥から飛んでくるノーツを取ってハイスコアを狙っていくというもの。特徴としては、ゲームを見ているギャラリーを、『Azure Kinnect』で取り込むことができるところである。

今後の開発予定としては、現在ひとつしかないステージを増やしていくほか、敵キャラクターやアイテムなども追加していく予定である。ちなみに、同チームにはサウンドのプロがおり、音にはかなりこだわっているという。音に合わせて、演出も自動生成するようにしている。

当初は『Beat Saber』のようなゲームにする予定だったが、『Azure Kinnect』を持ち込んでボディトラッキングを行おうとしていたところ、『Looking Glass Large』ではスペックが足りずに断念し、今回のような作品になったそうだ。

■『Last Summon 3D』by チーム・わくわくわんぱくクライシス

最後に発表されたのは、チーム・わくわくわんぱくクライシスによる作品『Last Summon 3D』だ。こちらの作品は、日本由来の格闘スポーツである相撲を題材にした作品である。

本コンテンツのために開発されたL字の形をした『SumoL-Con』をふたつ使用し、それぞれがコントローラーを振りながら張り手をしていきながら戦っていく。

初日の16時ぐらいまでは、コンテンツのアイデアがまとまらず、100円ショップのまわりをぐるぐるしていたという。そうした中で完成までたどり着けたのは感無量だと語っていた。

一通り発表が終わった後、体験会も実施されていた。当日は、Looking Glass FactoryのCEOであるShawn Frayne氏率いるチームもスポンサーとして参加。各コンテンツを実際に体験しながら、審査も行われた。

ハッカソン翌日の11月11日に、渋谷FabCafe Tokyoで今回の作品が展示されたほか、審査員による優秀賞も発表された。その結果、優勝したのはLuminariesチームの『Luminaries』で、賞品として『Looking Glass Large』が1台、『Looking Glass Standard』5台が贈られた。2位は、チーム・わくわくわんぱくクライシスの『Last Summon 3D』だ。こちらには、『Looking Glass Standard』1台と『Azuru Kinect』1台がそれぞれ贈呈された。

ちなみに今回のイベント開催は、11月13日から15日まで開催された『DCEXPO2019』に出展するLooking Glass Factoryのスケジュールに合わせて開催されたものだ。今のところ第3回の予定は未定だが、次の機会があればぜひ参加してみてほしいイベントである。

PhotoWords 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑誌の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。