2020
02.04

【World MR News】Looking Glass Factory社Shawn Frayne氏が語る「ホログラフィックコンテンツの将来」――「InterBEE 2019 / DCEXPO 2019」レポート④

World MR News

11月13日から15日まで、千葉・幕張メッセで開催された先端コンテンツ技術とデジタルコンテンツをテーマにした国際イベント「デジタルコンテンツEXPO」(DCEXPO2019)。その最終日である15日に行われたのが、話題の裸眼ホログラフィックディスプレイ『Looking Glass』の開発元であるLooking Glass FactoryのCEO 兼共同創業者・Shawn Frayne氏によるセッションだ。

Shawn Frayne氏。

Looking Glass Factoryはブルックリンに本社を持ち、香港にもオフィスを持つ企業だ。この5年間はホログラフィックの夢を追い続けていると、Shawn氏は語る。それは子供の頃から思い続けてきた夢だからだという。

ホログラフィックは、光を使って本物のように見えるようなものはまだ実現していない。ディズニーは、アニメーションという手法でキャラクターが動いているように見えるようにした。その後、『スター・ウォーズ』や『ブレードランナー』などを始め、多くのSF映画などでホログラッフィクの表現が登場してきている。これらはヘッドセットなどを使わずに、光だけで人の目だけで見られるようなものばかりだ。Shawn氏は、そうした夢を追い続けてきたというわけである。

こうしたものがまだ実現できていないのは、シンプルな理由がある。ディスプレイの多くが光の強さと色彩というふたつの要素から構成されているからだ。たとえば本物の電球を取り出したときに立体的に見えるのは、光が電球の上に当たって我々の目に入ってくることや色彩が関係している。 

電球の映像が目に入ったときに、ひとつの映像だけではなくいくつもの映像として目の中に映っており、その方向性からも立体的に見えるのである。これらはシンプルだが大きな要素でもある。

a-haの『Take On Me』のミュージックビデオはいいサンプルだという。普通の照明の中に、色彩と光の強さ、方向性という3つの要素があれば立体的に見えるのである。

同社では過去5年間、ソフトウェアを開発してきた。様々な開発を経て、2018年に『Looking Glas』を発表し、今年より出荷を開始している。これにより、始めて多人数で楽しめるホログラフィックを実現した形となる。

今回、日本で初めて『Looking Glass 8K イマーシブ・ディスプレイ』を発表したが、それは日本のクリエイターが数多くの作品を開発してきたからというのも理由のひとつとなっている。

  • Looking Glass 8K イマーシブ・ディスプレイ公式サイト

http://look.glass/8K

『Looking Glass 8K イマーシブ・ディスプレイ』は、これからの世界を変える発明だとShawn氏はいう。こうしたものが実現した背景には、3つの理由がある。ひとつは現在のPCのパワーだ。同時に美しい映像を創り出すことができるようになったが、数年前までは難しかった。

ふたつ目は、スマートフォンやタブレットなどの普及によりコストが下がり、ピクセル数を分けても綺麗に映像が出力できるようになったからだ。3つ目は、数多くの3Dコンテンツがすでに存在しているということである。

『Looking Glass』では、1秒間に60フレームで同時に45個の異なるビューを表示している。それを様々な角度から見ることで、立体的に見ることができるのだ。

同社が小さなコミュニティを大事にしておるのは、1970年代のコンピューターブームにも影響を受けているからだ。その当時も小さなコミュニティから様々なソフトウェアが生まれ、現在のように大きく成長を遂げている。

そうした活動の成果もあってか、医療分野や3Dの地図、インテリアやエンターテイメントなどでも活用されはじめている。

■『Looking Glass』が一般の人にも使ってもらえるようになるのが夢

一通りShawn氏からの紹介が行われたあと、来場者からの質問に答えるQ&Aコーナーも用意されていた。

――次のプロダクトのマイルストーンを教えて頂けますか。たとえばコンシューマー向けやインターフェイスなどはありますか?

私たちはすごい速度で進化しています。『Looking Glass』の最初の開発キットをリリースしてからも1年経っていません。この短い時間でここまでこれたのは奇跡的だと考えています。私の夢だけではなく、チームの夢として『Looking Glass』は企業向けだけではなく一般の人にも使ってもらえるようになることです。

最終的には、一家に一台の『Looking Glass』が普及することを目指しています。今回発表した『Looking Glass 8K イマーシブ・ディスプレイ』はその方向を目指していて、私たちはもっと進化しかしていきたと考えています。

――『Looking Glass』に音声を繋ぐことを考えたことはありますか?

音声が繋がりみんなと一緒に楽しめるようになるのは、今の私たちが頑張りたいと考えているエリアです。

――世界で初めて『Looking Glass 8K イマーシブ・ディスプレイ』を日本で発表してくれてありがとうございます。新製品を出して、日本の開発者に期待することを教えてください。

次の一歩は、企業向けだけではなくもっと広げていきたいと考えています。そのため、これからも医学用との試験やホログラフィックの通話のコミュニケーションなどが見られるようになると嬉しいです。

――従来までの『Looking Glass』と『Looking Glass 8K イマーシブ・ディスプレイ』の違いを教えてください。

『Looking Glass 8K イマーシブ・ディスプレイ』は、新たに開発した光学の原理になります。しかし基本的には同じ原理になっています。解像度が上がったので、ひとつひとつのシーンも密度が上がっています。

――『Looking Glass 8K イマーシブ・ディスプレイ』を見るために会場に来ました。実物を見ないと良さがわからないと思いましたが、常設で見られる場所を作る予定はありますか?

3Dの映像を2Dのツイッターなどで見るのは難しいです。そのため、実際に会場で見られた方がいいですね。デモ用の場所はおそらく作ると思いますが、少し時間が掛かりそうです。

――研究者で『Looking Glass 8K イマーシブ・ディスプレイ』を買いたいのですが、自腹では変えないので研究者向けにいくらで購入できるか教えて頂けますか?

私たちも企業だけではなく、研究者にも提供したいと思っています。この8Kは非常に高級な製品となっているため、最初は企業向けになります。しかし、本当に使いたいとお考えであれば、公式サイトから見積もりをお送りします。

このセッションのあと、Looking Glass Factoryのブースに足を運んでみると、『Looking Glass 8K イマーシブ・ディスプレイ』の前に多くの人だかりができていた。各々スマートフォンを取り出し動画を撮るなど、関心度もかなり高かった。実際に手に入れるよりも、そもそも目の前で見られる機会もまだまだ少ないが、来年以降はこうしたチャンスも増えていくかもしれない。

■Inter BEE 2019概要

名称:Inter BEE 2019/(第55回)2019年国際放送機器展

会期:2019年11月13日(水)~11月15日(金)10:00~17:30

会場:幕張メッセ

主催:一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)

■デジタルコンテンツEXPO 2019概要

名称:デジタルコンテンツEXPO 2019

会期:2019年11月13日(水)~11月15日(金)10:00~17:30

会場:幕張メッセ

主催:一般財団法人デジタルコンテンツ協会

PhotoWords 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑誌の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。