2019
06.19

【World MR News】プロジェクションマッピングやVR、AIなどインターネットテクノロジーが集結した国内最大級のイベント「Interop Tokyo 2019」が開催

World MR News

6月12日から14日にかけて、幕張メッセでインターネットテクノロジーが集結した国内最大級のイベント「Interop Tokyo 2019」が開催された。1994年に初めて日本で開催されて以来、毎回国内外から500以上もの企業や団体が参加しているが、今回も盛りだくさんの内容となっていた。本稿ではその中から、特に目に付いたブースをピックアップしてご紹介していく。

■「加賀電子」ブース

会場の中に入り、真っ先に目に飛び込んで来たのが加賀電子のブースだ。入り口付近に立体型LEDビジョンの『AirMAGICBOX』が置かれており、SF映画の広告を見ているような気分にさせられる。ちなみに同社は同時開催の「DSJ2019 デジタルサイネージジャパン」で出展されていたということもあり、デジタルサイネージなどを中心とした展示が行われていたようだ。

▲こちらは立体型LEDビジョンの『AirMAGICBOX』。水が流れているように見えるなど次々アニメが切り替わるため、インパクトはなかなかだ。

こちらのブースで招待展示として設置されていたのが、パールマネキンのプロジェクションマッピングシステムだ。桜美林大学の杉森教授博士と愛知工科大学の長野教授博士が開発したもので、これまで難しかった球体やマネキンといった凹凸のある立体に、プロジェクションマッピングで映像を投影している。

マネキンの顔や服も自在に変更できるほか、文字なども流すことができる。たとえば、着替えなどが大変になりがちな高台に設置マネキンの代わりに、こちらを置くといった使い方も可能である。

▲マネキンの表情や服はプロジェクションマッピングシステムだが、違和感がない。

ホログラムと立体映像を組み合わせた新開発のリアル3Dディスプレイ『ステレオグラムディスプレイ』も出展されていた。こちらは、展示する現物と立体絵像を組み合わせることで、インパクトのある展示が可能になるというもの。構造としては、立体映像を映し出すディスプレイ(レンチキュラーのような仕組みのもの)を斜めに設置している。

▲商品の周りに花が舞っているように見える『ステレオグラムディスプレイ』。

■「コーンズテクノロジー」ブース

コーンズテクノロジーのブースで、多くの人が列を作っていたのがVRを超える新たなリアリティが体験出来る「Sensory Reality(SR・感覚現実)」を実現したブース『SR Pod』だ。こちらは、オランダのSensiksが開発したもので、360度のVR映像と共に音や気温、気流、香り、ハプティクスといった5感を刺激する要素を加えることで、ホノルルのビーチやアマゾンのジャングル、ニューヨークの街並みを疾走する感覚をリアルに体験することができる。

▲展示としてもなかなかインパクトがある『SR Pod』。

同社のブースで展示されていたのが、英国のUltrahaptics社が開発した「空中ハプティクス技術」だ。こちらは、超音波を利用して空中で触覚フィードバックが得られるというものだ。例えばエレベーターのような不特定多数の人が利用する施設で、ボタンに直接触れることなく操作するというものにも活用できる。

また、VR技術とも相性が良く、グローブやコントローラーといった特別なアクセサリーが不要でVRに触覚を追加することが可能だ。

▲手前のボツボツしたものが、「空中ハプティクス技術」を使った開発キットの『UHDK5』。

▲デジタルサイネージと「空中ハプティクス技術」を組み合わせた例。画面に近づいて体験できる。

■「日テレ」ブース

日テレのブースでは、無人ライブ配信が行われていたほか、5G時代到来に合わせてPCやスマートフォンのブラウザだけで簡単に映像作成ができるシステム『ブラウザキャスト』が展示されていた。

こちらは、字幕やテロップといったスーパーや外部機器の制御を行い、映像が制作できるというものだ。特別なソフトや機器が不要のためコストが抑えられるほか、OSやデバイスに依存せず、スマートフォンとの連携も簡単に行えるのが特徴だ。

■「ウェアラブルコンピュータ研究開発機構」&「日本ウェアラブルデバイスユーザー会」ブース

企業の集まりであるウェアラブルコンピュータ研究開発機構と、ユーザーの集まりである日本ウェアラブルデバイスユーザー会の、ふたつのNPO団体のブースだ。ヘッドマウントディスプレイを中心に、15年以上にわたり活動を続けているそうだ。

ユニークな展示物としては、ハーフミラーを使ったスマホ用のMRグラス『だんグラ』だ。スマホ用のゴーグルというと概ねVRだが、こちらはしっかりと背景が透けており、そこにCGを重ね合わせて見られるようになっていた。

▲2枚のレンズを使って実現している。iPhone6s以降のモデルに対応しているほか、2019年夏以降はAndroidにも対応する予定だ。価格は組み立て完成品が5500円(税別)。

▲ちょっとわかりにくいが、背景が透けてそこにCGが重なっているのが見える。

▲ロボットと会話することでリハビリテーションする『ACCRA – Agile Co-Creation of Robots for Ageing』も展示されていた。

■「日本Androidの会」ブース

日本Androidの会のブースでは、ダンボールを使ってスマートフォンで操作可能な戦車『ダンボールAI戦車』が展示されていた。会場内は多くの電波が飛び交っておりWi-Fiが不調だったようだが、AIで設置された写真から犬や猫などの判定も行えるようになっている。

■「日華化学」ブース

日華化学のブースでは、透過型プロジェクター用スクリーンの『DiaLumie(ディアルミエ)』が展示されていた。こちらは、高い屈折率と光拡散性を持つナノダイヤモンドを採用しているのが特徴で、『DiaLumie』に投影したプロジェクターの映像が、入射光に対して全方向に散乱することで、どこの角度からでも映像を見ることができる。

また、透過型スクリーンは透明度が上がるほど映像が見えにくくなるというイメージがあるが、こちらもナノダイヤモンドを使用していることで、鮮明な映像が映し出せるという。

▲ナノダイヤモンドを使用した透過型プロジェクター用スクリーンの『DiaLumie』。

▲映像だけではなく、中のオブジェクトもしっかりと見えるようになっている。

▲透過型スクリーンは屋外では弱いという印象があるが、そうした声もあったことから、屋外用のディスプレイも開発中とのこと。展示されていたものは小ぶりだったが、サイズを大きくしていく予定だ。

■「サイバーリンク」ブース

サイバーリンクが展示していたのは、AI顔認証SDKの『FaceMe』だ。デモでは、カメラで取り込んだ人のデータを読み取り、年齢や性別、表情から読み取れる感情、何回訪れたかといった情報を瞬時に表示していた。

こちらの強みは、エッジで動かすことができるため、高速認識できるのが特徴である。また、クロスプラットフォームで使えるため、ウィンドウズやAndroid、Jetson、Linuxなど、それぞれの環境で利用することができる。

▲画面右側に、読み取ったステータスが表示される。

■「ソフトウェア・デファインド・メディア(SDM)コンソーシアム」ブース

ソフトウェア・デファインド・メディア(SDM)コンソーシアムのブースでは、米国ミシガン大学が開発したARマーカー『AprilTag』を使ったデモが行われていた。こちらは、マーカーが貼られた物体をスマートフォンやタブレットで読み取ることで、3次元空間にある物体の位置や姿勢などを取得できるという技術である。

それに合わせて、ブース内に設置された複数のスピーカーからハチやUFOといった物体の発する音が聞こえるようになっていた。

▲女性が持っているちょっと変わったARマーカーが『AprilTag』だ。これで距離や姿勢を検知することができる。

▲タブレットであたりを見渡すことで、UFOを発見。それに合わせた音も、ブース内で聞こえるようになっていた。

■開催概要

名称:Interop Tokyo 2019

会期:2019年6月12日(水)~14日(金)

会場:幕張メッセ(国際展示場/国際会議場)

主催:Interop Tokyo 実行委員会

運営:

一般財団法人インターネット協会

株式会社 ナノオプト・メディア

特別協力:WIDEプロジェクト

PhotoWords 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑誌の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。