2019
02.12

【World MR News】実用性の高いゲームからシュールなハイテクバンドまで登場!? 「電子デバイスGlobal Game Jam 2019」電子デバイス会場をレポート

World MR News

創ラボとアスラテックは、1月25日から27日までの3日間、東京千代田区のアスラテックで「電子デバイスGlobal Game Jam 2019」を開催した。本稿では、その最終日に行われた「作品発表会」の模様を中心にお届けする。

この「Global Game Jam」は、ギネス記録を持つ世界最大のハッカソンだ。全世界同じ日に同じテーマで開催されるのが特徴で、日本でもこの電子デバイス会場のほか、北は札幌から南は沖縄まで、20近い場所で実施されている。

小耳に挟んだ話では、ここのところ猛威を振るっているインフルエンザの影響で中止になった会場もあったそうだが、今回筆者がお邪魔した会場ではそうしたこともなく、和気藹々とした雰囲気の中、作業が進められていた。

コンパクトなスペースだが、ふた部屋を利用して作業が行われていた。

時間ギリギリまで作業が続けられていた。

電子デバイス会場ということもあり、あちらこちらにパーツが。

ん? これはいったい……!?

チームimai&takahashi「スチュワートプラットフォームメイズ」

hine氏とsatorupan氏によるチームimai&takahashi。

成果発表のトップバッターとして登場したのは、チームimai&takahashiによる作品「スチュワートプラットフォームメイズ」だ。こちらはUnityでコントロールしているロボットで、台座を操作しながらビー玉を会社から家まで移動させていくというものである。

Leap Motionが手のひらを感知して、台座の角度を変更することができる。そうして、微妙にバランスを取りながら操っていくのだ。

残念ながらお邪魔要素やサウンドまでは追加する時間がなかったそうだが、それでもなかなかの完成度であった。

スマホゲームでもよく見かける、ボールをゴールまで誘導させるゲーム。本来は6自由度で操作ができるが、今回は傾きしか利用していないため2自由度のみで制御している。

チームなぎぼん「DARUMA-BON」

kosaku360氏とMegumiAsano氏によるチームなぎぽんが取り組んだ作品は、「DARUMA-BON」というゲームだ。そのコンセプトとなっているのは「だるまさんがころんだ」で、電動乗り物カー『mottoy(モッティ)』に乗り、「だるまさんがころんだ」をしながらホームを目指していくというものである。

ゴールとなる壁までの距離は、『mottoy』の横面に取り付けられた超音波センサーを使用して計測。それをmicro:bitに渡して、micro:bitからbluetooth経由でScratchに計測結果を転送している。Scratchでは、ゴールの判定を監視しつつ邪魔ネコの絵と「だるまさんがころんだ」の音声を出力している。

ちなみに、邪魔ネコがこちらを見ている時に動いてしまうと「ゲームオーバー」になるそうだ。

『mottoy』はアマゾンでも2万円前後で購入できる。元々子供向けのため、大人が乗るのはややつらいかもしれない。

prototechno&matt sun「Video Theremin」

3組目に発表を行ったのは、prototechno氏とmatt-sun氏によるチームprototechno&matt sunだ。同チームが今回取り組んだのは、「Video Theremin」である。メンバーがもうひとりいたそうだが、残念ながらいなくなってしまったということで、今回は完成したところまでの発表となった。

「Video Theremin」と名付けられていることからもわかるように、コンセプトとしては音と映像をテルミンのように操れるようにするというものだ。ゲーム性までは盛り込めなかっただが、センサーと連動して音と映像を変化させたり、コントローラーを使ってフィジカルに変化させたりするようにするものを作っていた。

VJのプロの現場でも使用できるものとして開発されており、数式でワイヤーフレームの映像がいろいろと変化するようになっている。数時間ほど時間が足りなかったと言うことで、センサー部分との連動は間に合わなかったが、狙っていたところまでは完成したそうだ。

 

テルミンのように、手をかざして音と映像を変化させるところまでは完成しなかったが、映像の動きを見ているだけでもついつい見入ってしまう感じではあった。

チーム圧「上から落ちてくるLEDの弾をボタンを押すことで消し去るゲーム」

白井★組長氏とkumiko_hirama氏によるチーム圧による作品は、LEDを利用したゲームだ。上部から落ちてくるLEDの弾が、下に付く前にボタンを押して消していくというもの。タイミング良くボタンを押すと、LEDのラインが青く光る。逆に、下まで落ちてしまうと赤く点滅する。

左上のLEDでライフの残量を表示しており、緑がフルパワーで徐々に赤になり、全て消えるとゲームオーバーとなる。

初心者でもプログラミングできる『Processing』というプログラミングツールが、LEDのコントールに対応しており、信号を送ることでLEDが光る仕組みになっている。白井★組長氏はUnityの開発に長けており、メモリー空間を映像だけで共有できるツールを利用してこの作品に活用しているそうだ。

ちなみに白井★組長氏がゲームを作る上でコンセプトにしているのは、「誰でも組めば絶対できる」というものであるという。子供でも大人でも、構成さえ知っていれば組めば作ることができるというところにこだわっているそうだ。今回の作品もそうしたコンセプトが活かされたものとなっている。

入力デバイスもなかなか手作り感が溢れていていい感じだ。

ちゃんりえ&クラッピーシンドローマーズ「モテ線が断線」

最後に発表したのは、MasawoYamazaki氏、emesiw_iysohnst氏、UnagiHuman氏、たこぴん氏、RieNaoi氏、k_shigeta氏、shiotty氏といった大所帯のチームちゃんりえ&クラッピーシンドローマーズだ。なんと、いきなり披露されたのは「モテ線が断線」というオリジナル曲のバンド演奏だった。

今回のハッカソンのテーマは「ホーム」であったが、何かアットホームなモノを作ろうというところからこの作品が生まれている。音ゲーに着目して作られたものだが、音ゲーというとどうしてもひとりで遊ぶというイメージが強い。そこで、プレイしている人に加えて、演奏でもり立てている。

また、音ゲーの多くは画面だけで音が出てくるというものだが、それに加えて様々な機器を利用して自動演奏も行っている。

音ゲー要素としては、自動演奏に合わせてクラッピーを叩くのだが、そのタイミングはクラッピーに繋がれた線の光でわかるようにしている。ちょうど良いタイミングで叩くことで、特典をゲットできるという仕組みだ。

また、盛り上げる要素として拳を振ることでアクションが画面に反映されるようになっている。この部分に関しては、はじめは別のプロジェクトだったモノを追加して加えているそうだ。

こちらが自動演奏の機械たち。無駄に……といってはなんだが、様々なところにハイテクが活用されている。

今回の主催者である創ラボの藤井創氏は、「最初は集まる人数が少なすぎて、あらら……という感じがあったのと、いろんなイベントが重なりすぎてキャンセルも出てきて、このまま続けるのはどうかと思いながらやってきました。途中、みなさんの作業を見て去年よりもちゃんとやっているなと感じていたので、やっていて良かったなと思います」と、本イベントの感想を述べていた。

創ラボの藤井創氏。

また、今回の会場提供者でありhine氏としてハッカソンにも参加していたアステラックの今井大介氏は、「今回が3回目で、Game Jamで電子デバイスが絡んでいることもあり、ゴールにたどり着けないことが過去にも多くありました。しかし今年は、ゴールにちゃんとたどり着けるようにしたのが大きいと思いました。来年は、そのもっと上に行けるような気がするので、参加をお願いします」と総評をのべ、本イベントを締めくくった。

アステラックの今井大介氏。

発表会終了後は、打ち上げに突入! はたして来年はどんな作品が誕生するのか、今から楽しみだ。

PhotoWords 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑紙の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。