10.19
【World MR News】防災VRコーナーにゲーム風体験コンテンツも初出展!――江東区総合防災訓練をレポート
江東区総合防災訓練が、10月14日に東京・江東区の大島南央小学校で実施された。首都直下地震で区内に被害が発生したことを想定して行われた、今回の防災訓練。一般的な防災訓練である消化器取扱い、救助資材取扱、応急救護、スタンドパイプ取扱い、応急給水資材の展示などに加えて、災害協力隊を対象にした避難所運営訓練なども行われていた。
これらの中でも注目を集めていたのは、竹中工務店とポケット・クエリーズによる「防災VRコーナー」だ。
こちらの「防災VRコーナー」では、大きく分けて3つのコンテンツが体験できるようになっていた。これらの体験の前に、防災安全性のVR可視化ツール「MaXim(マキシム)」のレクチャーが行われていた。日本は自然災害大国と言われており、地震や火災、水害、避難行動などが起きている。この「MaXim」は、それらの災害をイメージするために作られたものである。
地震の建物内揺れを「TAFT」、火災(煙)の拡散解析を「FDS」、津波・高潮の浸水予測を「津波浸水予測」、避難行動の安全評価を「SimTread」をそれぞれ開発。これらを組み合わせて可視化したのが、今回出展されていたものだ。
ちなみに「SimTread」は、災害が起きたときに群衆の流れを予測して可視化するソフトウェアだ。開発には、竹中工務店と早稲田大学、A&Aが協力して行われている。
3D映像で地震の揺れと避難、津波を体験できる「VRドーム」
最初に体験するのは、「VRドーム」だ。これは空気の圧力を利用して膨らますもので、東京ドームの屋根と同じ構造になっている。気圧差で膨らませているため、入り口は2重構造になっているのが特徴である。
直径は4メートル、高さは3メートル、重量50キログラムとかなり大型ではあるが、大人ふたりがかりで15分もあれば設置と撤収が可能だという。
ドームの中に入ると、球体状に映像が投影されている。それを、映画館の3D作品を見るときに使われているものと同じグラスを使用して、地震の揺れと避難、そして津波といった災害を体験できるようになっていた。
最初は室内から始まり揺れ始めるのだが、このとき映像に合わせて視点も合わせて揺れるため、本当に地震に遭遇しているかのような感覚が味わえる。ちなみに建物は免震構造のものを想定しており、直接細かく揺れるモノではなくゆっくりとした揺れを再現しているそうだ。
大津波警報が鳴る中、上の階に人々が避難する様子や、津波が押し寄せてきて水がどんどん流れてくる様子などもCGで再現。実際よりも多めに水が流れてくる様子をあえて体験できるようになっており、災害の怖さを味わうことができた。
VRとゲーム風シミュレーターで災害を体験
続いてVRまたはコントローラーを使ったゲーム風のシミュレーションの、いずれかが体験できるようになっていた。まずはVR。こちらはVRヘッドマウントディスプレイを被り、竹中工務店の社内に水が流れてくるというコンテンツを体験。
VRということもあり、360度自由に見渡せ水が押し寄せて水位が上がってくる様子がわかりやすく見られるようになっていた。
もうひとつは、ゲーミングノートPCとコントローラーを使ったゲーム風の避難シミュレーションだ。こちらも「MaXim」が活用されており、実際に災害が起きたときの体験ができるようになっていた。
キャラクターはゲームのように自由に動かすことができ、行動によって体力などのポイントが減っていく。たとえばほかの人を押しのけながら移動しようとすると、ポイントが減るという感じだ。
途中で煙が漂ってくる場面があり、ボタンを押して腰を低くしながら進んでいく必要がある。そうして無事ゴールにたどり着くことができると、最後にスコアが出るというものである。
今回出展されていたものはまだ開発中のバージョンではあるが、今後は様々な災害のパターンなどを再現してプレイデータを記録できるようにもする予定である。それらを活用して、ゲームのゴーストプレイのように他の人がどんな行動を取ったのかというものも可視化していくとのこと。
また、現在は地震や津波、人の避難シミュレーションがそれぞれ個別のコンテンツとなっているが、ゆくゆくはそれらが複合した災害のシミュレーションも体験できるようにしていくという。ちなみにこちらは今回が初出展で、今後は学校関連を中心に提供していく予定である。
Photo&Words 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑紙の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。