2018
08.27

【World MR News】VTuberとファンを繋ぐプラットフォーム『REALITY』をリリース! VTuber事業方針説明会をレポート

World MR News

グリーの100パーセント子会社でVTuber事業を行っているWright Flyer Live Entertainmentは、8月7日にVTuber事業方針説明会を開催した。本稿では、そちらの模様をレポートする。

VTuberとして生きていける世界を作っていく

まず始めに、グリー株式会社 取締役 上級執行役員 兼 株式会社Wright Flyer Live Entertainment 代表取締役社長の荒木英士氏より、今回の取り組みについて説明が行われた。

▲荒木英士氏。

3ヵ月前にWright Flyer Live Entertainmenの設立を発表後、VTuber共同プロデュースや地上波初のVTuber専門TV番組などの放映を開始してきた。同社ではその事業方針として、「VTuberとして生きていける世界を作っていく」ために、3つのステージで活動を行っていく。

ひとつ目のステージは「デビュー」だ。デビューの支援として、個人のVTuberを支援するほか、オーディションの公募や人気IPを活用したVTuber化支援などもしていく。共同プロデュースの事例としては、ニトロプラスとすーぱーそに子のVTuberデビューを共同で行っている。また、自分で描いたキャラクターで自分自身がVTuberとして活動している葉月ナツさんの活動も支援している。

さらに、イラスト投稿サイトのpixivとボイス投稿サイトLisPonと共同でオーディションを開催。こちらは、最終選考を通過した3人が今年の秋にデビューする予定である。またANIPLEXと共同プロジェクトも始動。こちらはふたり組のVTuberをプロデュースしていくとのこと。

▲そのほか、様々な企業と共同プロデュースを行っていく。

VTuberには、様々なテクノロジーが必要不可欠だ。多くの人が魅力的なVTuberにより簡単になることができるような取り組みもおこなっている。そのひとつとして、自社でVTuber専用スタジオを港区に3ヵ所用意。VTuber専用に設計・施工されており、様々なコラボやサイマル配信にも対応している。

よりコア技術に近いところで、PKSHA Technologyと協業でキャラクターの感情表現をよりリッチにする技術も開発中だ。表現力や感情表現は、人格を感じるために欠かせない技術である。そのためにディープラーニングを活用し、どういう顔になりたいのか推測し、より魅力的な表現にするとったエンジンを作っていくそうだ。

また、3D専門のPOLYGON PICTURESと資本業務提携を行っている。今の日本のVTuberは3Dのアニメ調が基本だが、3Dでより魅力的でかわいく表現するのはそれなりの技術が必要である。そこで、長年の蓄積があるところと共同で技術開発していくことになったそうだ。

▲テクノロジパートナーにも、多くの企業が名を連ねている。

VTuberとして収益化できているのは20人! 半数以上の2500人が1ヵ月以上活動なしという現状

最近はどこを見渡してもVTuberの話題ばかりだ。それだけ流行っているということでもあるが、その分多くの課題も見えてきている。ユーザーローカルの調べによると、すでに4300人以上がVTuberとして活動を開始している。そのうち、チャンネル登録者数が100人以下のVTuberは2200人。1ヵ月以上更新していないVTuberにいたっては2500人もいる。

このように、雨後のたけのこのように数多くでてきてはいるが、活動を継続していくのが難しいのが現状のようだ。さらに、収益化となると、わずか20人しかいない状態である。そのため継続的な活動をしていくには、ファンの獲得と収益化が必要不可欠となってくるのだ。

それらを支援するプラットフォームとして今回発表されたのが、VTuber専用ライブ配信プラットフォーム『REALITY』だ。ここでプロダクトマネージャーの栗田健吾氏が登壇。ライブデモを交えた機能の紹介が行われた。

▲栗田健吾氏。

この『REALITY』は、VTuberとファンを繋ぐプラットフォームとして配信される、スマートフォン向けアプリだ。ライブ配信中のVTuberにたいしてコメントを書き込めるほか、それを読んだVTuberがリアクションをするといったコミュニケーションを楽しむことができる。また、VTuber同士がコラボレーションすることも可能だ。当初は月間60時間の編成でスタートし、徐々に拡大していく予定である。

また、3Dギフト機能をプレゼントすることができ、それをもらったVTuberがそのアイテムを身につけるといったこともできるようになっている。これらの3Dギフトには、有料と無料の2種類がある。有料のギフトは、PF手数料30パーセントでVTuberとシェアする仕組みになっている。

▲リアルタイムにコメントのやりとりやアイテムのプレゼントが行える。

YouTubeなどで収益化を行おうとした場合、現在は様々なハードルがあるためすぐには実現することが難しい。しかし、この『REALITY』はそうした条件はないため、初日から収益化していくことが可能となっている。

今回のサービス開始記念として、出演VTuber応援キャンペーン(手数料0パーセント、売り上げは2倍、制作料は0円)も実施する。また、プラットフォームと聞くと囲い込みなどの制限があると思われがちだが、そうした制約は一切ないとのこと。

▲現時点で多くの人気VTuberのライブ配信が決定している。

キングレコードと共同でVTuber特化型の音楽レーベルを展開する合弁会社を設立

続いてプロダクション事業部・事業開発部 部長の尾中倫宗氏が登壇。コミュニティ拡大についての説明が行われた。

▲尾中倫宗氏。

現在VTuberは、動画を中心に活動しているのがほとんどだ。しかしそれだけでは活動が限定的になり、収益も多く得ることができない。そこで、それ以外の活動を支援するために「社会のあらゆる場所にVTuber」をテーマにした活動をしていく。

VRライブや音楽、リアルイベントなど、様々なサービスのインターフェイスをVTuberが担っていくことによって、文化を広げ市場を拡大していくことを目指していく。その一環として、キングレコードと共同で音楽事業を展開していく。

ここでキングレコード株式会社キング・アミューズメント・クリエイティブ本部製作部長の中西豪氏が登壇した。

▲中西豪氏。

同氏の所属している部署は、オリジナルや原作もののアニメのIPを企画・製作・プロデュースしている。同本部でアニメーションのパッケージのほか、海外へ番組販売、グッズの展開など入口から出口まで扱っている。

今回、そのキングレコードとグリーが、それぞれの強みを持つVTuber特化型の音楽レーベルを展開する合弁会社を設立する。こちらは、既存のVTuberのほかこれから開発していくものを含めて、すべてのVTuberを対象に音楽製作やリアルなライブコンサートなどを展開していく予定だ。

また、アイディアファクトリーと共同で乙女向けVTuberを共同プロデュースしていくことも発表。こちらは池袋オトメイトビルで定期公演も実施していき、「会いに行けるVTuber」というテーマで活動を行っていくとのこと。

同社ではVTuberが日本国内だけにとどまらず、世界に誇れる存在になると考えている。海外ではVTuberのコスプレなどもすでに登場してきており、海外ユーザーからも動画にコメントが付けられることが増えてきている。そこで、複数の有力パートナーと協業を検討していく話が進行中だ。

▲こちらは、コミュニティ拡大パートナーの一覧。

スマホだけでVTuberになれるアプリ『REALITY Avatar』も今秋公開

VTuberの課題には、まずなりたいと思っても様々な機材が必要になるなど、最初に「デビュー」をするのに大きな障壁がある。そこで、誰でも簡単にスマートフォンのみでアバターが作れてVTuberになることができる『REALITY Avatar』というアプリを開発中であることが発表された。

ここでプラットフォーム事業部プロダクトマネージャーの倉渕彩氏が登壇。同氏から、アプリの紹介が行われた。

▲倉渕彩氏。

『REALITY Avatar』では、目、まゆ、トップス、帽子といったパーツを自由にカスマイズし、誰でも自由にVTuberになることができるアプリである。アバターは毎月アップデートされ、新作アイテムも順次追加されていく予定である。

作成したアバターは、スマホだけで『REALITY』でライブ配信することができる。PCやヘッドマウントディスプレイなど専用機材は一切不要で、すべてを完結させることができる。フェイシャルやマイクも、すべてスマホの機能を使用して行われる。そのため、いつでもどこでもVTuberになり、配信ができるというのも特徴である。また、コメントはもちろんのこと3Dギフトにも対応している。

さらに、VRM形式でのインポートにも対応していく予定だ。自作したオリジナルアバターも『REALITY Avatar』にインポートして、配信を行うことができる。こちらもフェイシャルやコメント、3Dギフトに対応していく。まずは今年の秋にα版として公開される予定とのこと。

■REALITY
公式サイト:https://le.wrightflyer.net/reality/
iOS版:https://itunes.apple.com/us/app/reality/id1404176564?l=ja&ls=1&mt=8
Android版:https://play.google.com/store/apps/details?id=net.wrightflyer.le.reality

Photo&Words 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑紙の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。