2018
07.31

【World MR News】スマホでVTuberになれる『カスタムキャスト』や3Dアニメキャラが作れる支援サービス『Vカツ』が登場――「ドワンゴVR事業展開」記者発表会をレポート

World MR News

ドワンゴは、7月27日に東京・六本木のニコファーレで「ドワンゴの VR事業展開 記者発表会」を開催した。本稿ではそちらの情報をお届けする。

はじめに、株式会社ドワンゴ取締役で本日のMCを務める栗田穣崇氏と、岩城進之介氏、株式会社インフィニットループ代表取締役の松井健太郎氏が登壇。3人とも『バーチャルキャスト』の中に入り、バーチャル空間の中で発表会が進められていった。

(写真左から、株式会社ドワンゴの岩城進之介氏と栗田穣崇氏、株式会社インフィニットループの松井健太郎氏。)

『バーチャルキャスト』がバージョンアップ!

『バーチャルキャスト』とは、VR空間でバーチャルキャラクターに変身し、ライブコミュニケーションが楽しめるサービスだ。「凸機能」でほかの配信者のサービスに遊びに行くことができるほか、3Dコメントなどの機能も盛り込まれている。

最初に発表されたのは、8月1日のバージョンアップで追加される「Vギフト」という機能だ。これは、視聴者が放送中に「Vギフト」と呼ばれる3Dアイテムを購入し、バーチャル空間内に送ることが出来るというサービスだ。

それを受け取った配信者は、その「Vギフト」で遊ぶことができる。つまり、視聴者がギフトを贈ってそれで番組が盛り上がるといような使い方がされる機能だ。

この「Vギフト」クリエイター奨励プログラムのスコアに加算される。配信者はそのスコアに応じて奨励金を受け取ることができるのだ。

ちなみにこちらは、『バーチャルキャスト』以外の通常のニコニコ生放送にも後日対応予定とのこと。

リリース時点では花束やくす玉など、12種類ほどがラインアップされる予定で、今後随時新たなものが追加されていく。

この「Vギフト」は、8月1日より実験放送で提供が開始される。放送するには、『バーチャルキャスト』よりニコ生の実験番組として放送する必要があるとのこと。また、その番組を視聴してギフトを贈るには、PCまたはiOSのブラウザ、Android用のアプリを使用する必要がある。

スマホでVTuberになれるアプリ『カスタムキャスト』が8月下旬にリリース

『バーチャルキャスト』のユーザーか多くの要望があったのが、スマホでできないかということだった。これまでHTC ViveやOculusなどのVRヘッドマウントディスプレイやPC環境などが配信の前提として必要だった。これらは表現の幅は広いが、なかなか環境を手に入れるというのが難しいというのが現状だ。

そうした問題を解決するために、株式会社S-courtと共同でスマホアプリ『カスタムキャスト』を開発した。

(株式会社S-courtの川崎大和氏(写真左)とねい氏(写真右)が登壇し、デモを行った。)

この『カスタムキャスト』は、自分がVTuberになりきってスマホだけで配信が行うことができる。用意されている背景だけではなく、AR機能を使って現実世界と融合挿せることも可能だ。

また、キャラクター自体も「ヘアスタイル」や「フェイス」「ボディ」「コスチューム」「PH06アクセサリー」など、かなり細かくカスタマイズしていくことができる。どんなキャラクターを作ればいいのかわからないときは、スマホをシェイクすることでランダムなキャラクターを生み出すことも可能だ。

ビジネスモデルとしては、アプリ内でVTbuver用のコスチュームやヘアパーツなどのビジュアルパーツのほか、背景アイテムなども販売していく予定だ。料金は未定だが、niconicoの立体共有サービス「ニコニ立体」を通して、VRM形式の出力にも対応していく予定とのこと。

配信はAndroid版が8月下旬にローンチ予定で、iOS版は現在準備中。料金は基本無料で利用可能だ。

■『カスタムキャスト』ティザーサイト
http://customcast.jp/

無料で3Dアニメキャラクターが作れる支援サービス『Vカツ』が登場

ユーザーが気軽にVTuberや動画の配信が行えるように、環境作りに力を入れているドワンゴだが、もうひとつ注力しているのがアバター製作の環境整備だ。国内で最大規模の3Dアバタープラットフォーム「ニコニ立体」の運営のほか、共通規格フォーマットVRMの普及・推進を行っている。

ここで新たにパートナーとして参加するIVR(株式会社シス)の大鶴尚之氏と徳永清詩氏が登壇。両社の共同プロジェクトとして、3Dアニメキャラクターが無料で製作できるVTuber支援サービス『Vカツ』の紹介が行われた。

VR専用ソフトの開発ブランドとして誕生したIVR。現在は『VRカノジョ サマーバケーション』や『VRカレシ』といったプロジェクトを手がけている。

(写真左から、大鶴尚之氏と徳永清詩氏。)

今回発表された『Vカツ』は、3Dキャラクターメイキングからアニメーション、表情付けなどを含めて、無料で行える世界初の「VTuber支援サービス」である。製作コストや専門知識、作業時間などからこれまでVTuberに手を出すのが難しかったという人たちのために、手軽にスタートできるツールとして提供されるものである。

IVRはこの『Vカツ』を広めていくことで、ひとりひとりがアバターを持つ時代を作って行きたいと考えている。アバターで様々な情報発信をしたり、バーチャルで生活活動をしたりするような時代が来たときのサポートをしていこうとしている。

その第一歩として、先日この『Vカツ』のβ版募集を行ったところ、1週間で5000人の応募があり現在も増え続けているという。

これまでVTuberのキャラクターカスタマイズというと、女性キャラクターがメインだった。しかし、この『Vカツ』では男性のキャラクターも作ることが可能だ。配信はSteamで行われるが、無料で配信予定とのこと。

カスタマイズの項目も幅広く、顔や髪、体、衣装、アクセサリーなど300種類以上の項目の中から好きなものを選んで設定していくことができる。この『Vカツ』で作成したキャラクターは、無料で商用利用ができるほか、スマートフォン対応も行っていく予定だ。

(スマートフォン版は8月中のリリース予定。まずはiOS版からの配信となる。)

また、『バーチャルキャスト』と連携することでオリジナルキャラクターで生放送を行うこともできる。さらに、「ニコニ立体」にVRM形式でデータを投稿することで、キャラクターのデータを公開することもできる。

(ゲストにVRアーティストのせきぐちあいみさんが登壇。実際にVTuberになりきって、『Vカツ』の体験が行われた。)

今後の予定だが、8月末にVRM出力への対応を行う。こちらは有料プラグインでの対応になるとのこと。公開を記念して、アバター強化パックを無料で配布する。こちらには、メカパーツやファンタジーセットなど200点以上が含まれている。

ドワンゴとインフィニットループが新会社「株式会社バーチャルキャスト」を設立

この日最後に発表されたのが、ドワンゴとインフィニットループによる合弁会社「株式会社バーチャルキャスト」の設立だ。今年の4月より、『バーチャルキャスト』を共同開発してきた同社。今後、VR市場が世界的に成長していくことを見据えて事業拡大を図っていくために新会社を設立することになったという。

今後は3Dモデル投稿プラットフォーム「ニコニ立体」と3Dモデル共通規格の「VRM」、そして誰でもVTuberになれるライブ・コミュニケーションサービス『バーチャルキャスト』といったプロダクトを集結させていき、3Dモデルの作成から投稿・集積、VR空間での利用や生放送・動画放送など、VTuberに必要な要素を提供していく予定である。

■株式会社バーチャルキャスト
https://virtualcast.jp/company/

Photo&Words 高島おしゃむ
コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。
雑紙の執筆や、ドリームキャスト用のポータルサイト「イサオ マガジン トゥデイ」の
企画・運用等に携わる。
その後、ドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年より再びフリーで活動中。