2017
04.12

【ワタシの拡現(格言)】拡現人(かくげんびと)~Beyond the Reality~創刊者 立川元氏

ワタシの拡現

MR(Mixed Reality)技術が注目され、もっともっと浸透していけば、これまでの私達の生活がどんどん便利になっていく。 今回の「ワタシの拡現(格言)」では、初回の佐々木氏に引き続き、本メディア創刊者の立川元氏(株式会社ポケット・クエリーズ 執行役員)より、MRの持つワクワク感や具体的な活用例について語ってもらった。

――立川さんは、大学では文学部専攻だったと伺いましたが、どんな経緯でゲーム業界に入り、今の仕事に就いたのですか?

僕の場合、実は、「ゲームの仕事がしたい!」という希望があったわけではなくて、「気づいたらゲーム業界にいた…。」という感じなんです。巡り合わせだなと自分では思っているんですけど、最初は、特に希望して入ったというわけではないんですよね。でも今はすごくこの業界に対して愛着をもっています。

小さい頃からゲームはやっていました。僕は双子なんですが、小学生の頃から弟と一緒に、親に叱られながら、ふたりでゲームをやりまくっていました。なので、それが今では仕事になっているというのは、ちょっと嬉しいですよね(笑)。

――技術者でなくてもゲームに関わる仕事はたくさんあるのですね。

はい。僕のキャリアはちょっと特殊ですが、今ゲーム業界でビジネスサイドの事をやっている人はそれほど多くないんです。開発とビジネスとのバランスが取れる人が少ないように思います。僕はゲームクリエイターに寄り添いながら、ビジネスを考えて行くということに面白さを感じています。

また、例えば文学部出身だと、エンジニアになるのは難しいかもしれないですが、プランニングや営業などで活躍できます。文章を書くのが得意な人は、ストーリー作りにも活かされます。どの学部学科出身でも、シナリオの提案だったり、ゲームの企画提案というところで、学歴に関係なくたくさんの人にチャンスがあると思います。

特にMR、VRの領域になると、今までのゲームの遊ばせ方からガラッと変わる可能性があって、特にMRでは遊ばせ方の幅が広がりますからね。

スマートフォンやモバイル型のゲーム機で、いつでもどこでも遊べるようにはなっていますが、それがもっと広がるだろうと思っています。今はどうしてもゲームはリビング、電車の中、学校、とか…、ある程度限定されていますよね。「ポケモンGO」が出たことで話題になりましたが、良い悪いは別として、道端や観光地、外で色んなことが出来るようになった。既存の鬼ごっことか、草野球なんかを楽しくすることができるようになると思っています。

――MRは発想次第でいろいろ出来るということですね!

はい。ひとつのキーワードは「体験」。先程も話した「ポケモンGO」もそうですが、音楽業界等でも「体験する」ことが今すごく重要視されていて、みんなで同じものを共有して遊ぶということが貴重になってくるんです。その体験がよりリアルなものとして感じられるのがMRだと思っていて、それを実現する技術として相性がいいと考えています。

――例えば、草野球で、ボールとバットがなくても遊べる、というようなことが実現可能なのでしょうか?

工夫次第という状況ですね。それをやるためには課題はたくさんあります。まず、今のHololendsのヘッドセットだと、大きすぎてそれを装着したままでは外で遊べないですし、現状というところでいくと、装着して観戦をしている人が楽しめることが増えるところからだと思います。

――まだまだ認知度の向上や開発投資は必要なんですね。

そうです。VRもMRでも、日本の技術者は先端技術に興味を持っているというのはすごく感じているので、そういう方々と一緒に考えながら取り組んで行きたいなと思っています。

――MRの一番の魅力とはどんなところにあるのでしょうか?

“世界を変えられる”ものだと思っています。ゲームにしても、新しい遊ばせ方を作ることが出来ると思うんですよね。僕は小学校の時にファミコンをやっていて、あの時の感動がもう一度味わえるんじゃないかなと思っています。毎日毎日夢中でいろんなゲームをやって「こんなことが出来るんだ!スゲー!」って思っていた感動を。

今度は自分たちが作る側になって、Hololendsなどのデバイスを活用して、新しいものをクリエイト出来るチャンスであり、本当に良いタイミングなんです。

また、実用的な領域だと、リモートワークがMRを通じて広がるといいなと思っています。テレワークも受け入れられて来てはいますが、実際まだまだ浸透していないですよね。

今の私達は、時間においても場所においても、生活の主体が仕事になっていて、都心に生活する人が多く、都心で過ごす時間が多いことになってしまっています。通勤のために毎日電車に乗っている時間も含めると、どうしても仕事に費やす時間だけが多くなってしまうんです。

でも、MRの技術が浸透することで、これからは家族や地域で過ごす時間を取り戻すことができるようになるんです。僕も子どもができてから、もう少し、子どもに費やす時間、一緒にいる時間を増やしたいと思うようになりました。また、それぞれ人によっては自分の好きなこと、趣味に費やしたいと思う方もいるでしょう。

自宅で仕事ができて、休み時間や通勤時間に使っていた時間を、自分の地域や大事な人のために貢献ができるようになったら、人の生き方が変えられる。だから、MRでこんなことをやれた!あんなことをやれた!というのを、皆と交流しながらどんどん増やしていきたいんです。

――どのくらいで実現しそうでしょうか。

そうですね…、確実にここっていうのは…。まずは今年がMR元年。ここから急激に市場や技術は伸びて行くと思うので、もうそんなに遠くは無いんじゃないかと予想されます。アイデアを出して、工夫しつつ、今の技術でできることを形にしていくことが大事になってきます。ソフトの部分で仕組みやシステムを考えている会社さんもあると思いますし、あとは、今のHololendsから、MRメガネくらいまで進化出来るといいなあと思っています。身に付ける装備なので、ハード面の開発も大事ですよね。

非常に新しい技術なので、最初は敬遠する人もいるかもしれないですけど、そこはスマートフォンと一緒で、便利だったら、すぐにみんなに普及すると思います。また、抵抗感をもたれないように、使い勝手としては、表現されるものはシンプルでわかりやすいものをつくっていく、アプリ、ソフト面での使いやすさを追求してやっていくことが重要です。子どもたちにも、鬼ごっこなど、外で遊ぶ楽しさがもっと広がるような体験をしてもらいたいですね。MRを使うことで、現実世界で冒険的なことが出来るだろうなと思います。

――ありがとうございました。最後に、立川さんの“将来の夢”をお聞かせ頂けますか?

そうですね…。あんまり将来って考えて居なくて、直近は目の前を楽しんで行こうかと(笑)、その延長線上に将来があるなあ、という感じではあるのですが、まずは、映像コンテンツをつくってみたいと思っています。今は3Dで、リアルタイムレンダリングで作れますし、そういった意味ではVRやMRの映像作りに興味をもっています。新しい表現、新しいコラボレーションができるんじゃないかと。

ですので、この「拡現人」を通じて、みんなでMRで作りだせる未来を考えて行きたいです。

MRに対しての理解を深められたり、情報交換したり、これを通じて一緒にコンテンツを作るきっかけになって、日本のMR、VR業界が少しでもプラスになるといいと思っていますので、ぜひどんどん連絡ください! MRは本当にまだまだ 新しく、標準が決まりきっていないので、すごく楽しいし、ワクワクしながらできるものだと思います!